本文に移動

[社説] 1ドル1000ウォン時代に備える時

登録:2012-10-25 22:56 修正:2012-10-26 10:32

 ドル貨に対するウォンのレートが昨日1ドル当たり1100ウォン台を割り込んだ。6月に1180ウォン台だったことを考えれば、ウォン強勢が急だ。ウォン価値が低評価されているという専門家たちが少なくないことを考えれば、ウォン高は更に進む可能性が高い。

 ドル貨に対するウォンのレートが下がるということは市中にドルが余っているという話だ。借金が多いアメリカ・ヨーロッパ・日本など先進国が量的緩和により自国通貨安政策を展開して、世界的に流動性が大きく増したことが原因だ。そこに国内的に貿易収支黒字が積み重なり韓国の国家信用等級上昇などで、外国資本が入り続けてウォン価値が上昇している。

 現在のウォン価値が適正か否かをめぐっては意見が錯綜している。適正レートが1100ウォン台だという意見もあるが、一般的には経常収支が均衡を成す適正為替水準は 1000~1050ウォンの間という見解も少なくない。そう見れば、現在の為替水準やウォン強勢はさほど憂慮するほどではない。ただし、その速度は緩いほうが良い。それでこそ政府・企業・家計などが充分に備えることができ、経済全般のショックも減る。

 ドル貨に対するウォンのレートが下がれば、輸出企業の採算性は一部落ちるが、レートは上がっても下がっても、もともと両面性があると決まっている。ウォンが強くなれば一般国民の暮しはよくなる。原油・穀物など主要原資材の輸入価格下落で物価が抑制されるメリットがあり、購買力が高まり内需市場の活性化も期待される。

 為替レートは基本的には市場均衡に合わせて動くのが一番無難だ。成長率を高めるためにウォン安政策で国民に負担を負わせる方法でマクロ経済を運用してきた事が繰り返されてはならない。

 ウォン高で輸出で生きる我が国が苦労すると言う声はすでにあちこちから出ている。しかしキム・チュンス韓国銀行総裁は、現在のウォン切り上げ水準は競争国と大差がなく、憂慮するほどの水準ではないと判断している。世界市場で国内製品と競合する日本の円について考えた時、わが国の企業の被害はさほど大きくないと言う。輸出企業はこれまでに享受したウォン安政策への甘えは忘れて、品質・サービス・ブランドなどの競争力を高めることに力を注がなければならない。

 今後は1000ウォン台の為替時代に備えなければならない。まず政府は直接市場に介入するよりは金利政策などを弾力的に活用し為替変動の緩急を調節する必要がある。今年に入って 9月まで株式市場の外国人売り越しだけで15兆ウォンを超えただけに、資本の出入りに注視しなければならない。また中小輸出企業が萎縮しないよう支援策を綿密に整備してもらいたい。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/557519.html 韓国語原文入力:2012/10/25 19:05
訳T.W(1432字)