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1%だけのための成長…雇用の質が下がり労働者の取り分 減少

原文入力:2012/05/03 21:56(1783字)

←昨年6月、廃棄物野積場から出火した火事で灰になったソウル江南区(カンナムグ)、浦二洞(ポイドン)1226番地の再建マウルに垂れ込めた闇の後にタワーフェリスなどの高層住宅商店複合ビルが華やかな灯りを誇っている。 シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

[富の集中 ますます深化] 外国為替危機後、所得格差悪化 なぜ?
‘スーパー富者’勤労所得より配当・不動産比重が大きく
大企業に経済力集中…CEO成果給など増加
韓国 分配改善率 OECD 最下位…租税整備が必要

 我が国の全所得者の中で上位1%に所得が急速に集中し始めたのは、外国為替危機以後だ。 大きな変化がなかった上位1%の所得は韓国経済が大きな衝撃を体験した1998年以後に急速に増加する傾向を帯び始めた。 1998年に6.97%だった上位1%の所得集中度は、2011年には11.50%に大きく膨らんだ。上位1%の所得者とは具体的にどんな人々なのかを正確に知れる資料はない。大企業オーナーと最高経営者(CEO),医師・弁護士・弁理士・会計士などの専門職従事者が大部分であると推定されているだけだ。

 キム・ナンニョン東国(トングク)大教授(経済学)の‘韓国の所得集中度推移と国際比較’資料によれば、上位1%の年平均所得は1億9500万ウォンにもなる。 このような点を考慮すれば上位1%は一般会社員や自営業者とは距離が多少遠い人々だ。‘スーパー富者’の場合、相対的に勤労所得より配当所得と事業および不動産所得の比重が大きい特徴を示した。‘新しい社会を開く研究院’のヨ・ギョンフン研究員は「2009年度総合所得を基準として見た時、自営業者の年平均所得は2000万ウォンぐらいになるが、この内、医療・保健側の平均所得が1億1000万ウォンと現れた」として「医師や薬剤師が上位1%の相当数を占めるものと見られる」と話した。

 私たちの社会の‘富’が上位1%に急速に集中し始めた時点は外国為替危機以後という事実には異見が殆どないが、その原因に対する解釈は多様だ。 キム・ナンニョン教授は「高度成長期の所得分配が相対的に良かったことは急速な雇用拡大を通じて成長の成果が底辺によく広がったため」とし「外国為替危機以後、雇用の質が下がり自営業者を中心にしたサービス業が拡大する中で所得集中度が深刻化された」と語った。

 輸出大企業への経済力集中が上位1%に所得が集中する結果を産んだという分析もある。 チャン・インソン国会予算政策処経済分析官は「輸出大企業が創り出した付加価値がまんべんなく広がらずに、ほとんどが企業所有者や最高経営者などに株価上昇や配当などの形で戻っている」と話した。実際、企業らの利益が増え全体の‘パイ’が大きくなっても、労働者の賃金として戻る取り分はますます減っている。

 ここに高所得の専門職など熟練労働者の急速な所得増加、大企業最高経営者と役員に対するストックオプション(株式買い取り選択権),成果給拡大などの要因も作用した。 反対に非正規職の拡大などで下位層の所得は増えず、相対的に上位1%の所得比重をより一層大きくする側に作用した要因も大きい。

 ‘経済が成長するほど不平等が緩和される’という成長至上主義の限界があらわれているということだ。 これに対する解決法は、国家の役割の拡大に求めなければならないという声が出ている。 国策研究機関である租税研究院は最近‘超高所得層の特性に関する国際比較’で「上位階層の所得比重増加は不平等度の拡大を意味するので、所得再分配のための租税政策の整備が必要だ」と指摘した。 我が国は国家の租税および公的年金などの社会支出を通した‘所得分配改善率’がデンマーク・スウェーデンなど北ヨーロッパ国家の8分の1水準で、経済協力開発機構(OECD)の中でも最下位水準だ。 所得分配改善における国家の役割があまりに小さいという意味だ。

リュ・イグン記者 ryuyigeun@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/531207.html 訳J.S