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‘論争的人物’100人評伝に蘇る

原文入力:2011-05-27午後09:53:11(2305字)
6年越しの準備で国内最大シリーズ
過去・現在の観点 均衡 綱渡り
膨大な資料収集など‘険しい道’
安重根・崔南善,李完用 発刊

ク・ボンジュン記者、イム・ジョンオブ記者

←前列左から李完用・安重根・崔南善。後列左から申采浩・鄭寅普・趙光祖・明成皇后

<李完用評伝>キム・ユンヒ著/ハンギョレ出版・1万6000ウォン
<安重根評伝>ファン・ジェムン著/ハンギョレ出版・1万8000ウォン
<崔南善評伝>リュ・シヒョン著/ハンギョレ出版・1万5000ウォン

これまで国内出版界で類例のない評伝シリーズがリリースされた。100人の国内歴史人物を国内研究者が正面から光を当てる歴史人物評伝シリーズだ。ハンギョレ出版はその初めての成果物として3巻<李完用評伝>と<安重根評伝> <崔南善評伝>を先ず出版した。

この膨大な評伝シリーズは出版社と人文学大衆化作業を繰り広げてきた釜山大チョム・ピルチェ研究所が共同で準備した大型企画物だ。チョン・チュルヒョン(釜山大漢文学科教授)チョム。ピルチェ研究所所長は発刊辞で評伝作業の必要性と意味を一言で「評伝を書いて読むということは先人が残した足跡に従いながら彼の心と時代を推し量ってみる旅程」と整理した。

歴史という巨大な主題は事実その総体を立体的に理解することが非常に難しい。また、特定観点の歴史談論で時代を眺めることは、その時代の人々の人生をその観点だけで裁つことになる問題点もある。そのためにある人物の人生を通じて時代に会うことができる評伝は、一般大衆が歴史と時代に出会うのに最も効果的な接近法になる。自らの人生を一方的に広げて出すほかはない自叙伝とは違い、評伝は第三者の著者が当代でなく後代に評価することなので、自叙伝より歴史的客観性に優れることも長所であり特徴だ。

だが、こういう長所にもかかわらず、評伝は最も出しにくい本に挙げられる。社会全体的には歴史的人物に対する資料を忠実に取りそろえなければならず、評伝を書く筆者としては他の本よりはるかに膨大な資料を収集して初めて執筆が可能になり、執筆過程でも歴史的事実と筆者が生きている現在の観点の間でバランスを取ることが容易でないためだ。それで評伝は出版界では代表的な‘先進出版ジャンル’に挙げられる。時代が変わり歴史研究成果が新しく蓄積される度に歴史的人物に対する評価と注目する部分も変わるため、出版産業が発達した国であるほど主要歴史人物の場合、着実に新たな版の評伝が出版される。

国内では特定人物に対する評価や批判を敬遠する社会的風土が強く、唯一 評伝出版だけが珍しく、大衆の関心も少なかった。国内著者による評伝は今まで故チョ・ヨンレ弁護士の<チョン・テイル評伝>を除けば大衆的に広く売れた例を指で数えるほどにもならない水準だった。そうするうちに90年代後半以後、外国の有名人物に対する評伝翻訳書が紹介され、最近では国内筆者が書く国内人物に対する評伝も少しずつリリースされ始めた。
100人の‘論争的人物’を選び出版するハンギョレ出版の歴史人物評前シリーズはその規模が国内出版史上 最大水準であり、何よりも国内研究者が執筆する大衆的評伝という点で国内でも本格的に評伝出版が成り立つか関心を集めている試みだ。評伝の特性上、多くの資料収集など準備期間が必要であり、2005年の企画以来 6年、執筆して3年ぶりに初めての成果物がリリースされた。

1次分3巻の中で何より目を引くのは何と言っても<李完用評伝>だ。 韓国歴史上、最も憎しみを受ける人物だが、実際 李完用の親日行跡とその過程を歴史学者が整理した大衆書はこれまでなかった。

<崔南善評伝>もやはり1960年代、崔南善評伝が出てきた後 現在市中ではこの人物に対するきちんとした評価書がない状況であり、より一層うれしい本だ。崔南善で博士学位を受けたリュ・シヒョン氏が民族主義者から親日派に変節した崔南善の人生全般にわたって最大限豊かな資料を正確に示し彼の人生を把握できるように整理した。

反面<安重根評伝>は安重根に対する本がかなり多く出た反面、異見も多かったがこういう異見を忠実な資料分析を通じて総合整理したという点で意味がある。また、既存本が安重根の英雄的側面を強調した結果、確認されないまま流布された通念が定説のように扱われたケースも多かったが、そうした部分を正確に指摘した点も目につく。

たとえば青年時代、安重根は義兵を起こし東学軍と対峙し戦った経緯があったが、それを逆に東学軍と共に戦ったと書いた本も多かった。また、安重根が伊藤博文を狙撃する前、弾丸の前部に十字形を描いたことを巡っても意見が交錯していた。狙撃される伊藤にさらに致命的な負傷を負わせるためにという解釈と、安重根が天主教信者だったためという意見が主に出てくるが、著者は天主教信者説がさらに有力と見た。

出版社側はこの3巻の評伝に続き、今後 朝鮮時代の人物としては趙光祖・尹善道・柳子光・金宗直・南孝溫など、近代人物では申采浩・高宗・明成皇后・申采浩・金玉均、女性人物としては只召太后・黃眞伊・崔松雪堂などの本を出す計画だと明らかにした。 ク・ボンジュン記者 bonbon@hani.co.kr
イム・ジョンオブ先任記者 blitz@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/480160.html 訳J.S