「どうしたの? なぜ泣くの?」 「しくしく…」
「いったいどうしたんだ?」「しくしく…」
私は妻にどうしたんだと尋ねながら、カードキーをさした。すると客室内に電気が点いた。妻はより一層大きな声でしくしく泣きに泣いた。あー、まさか、こんなバカなことを! 妻はどれくらい泣いたのか目がぷっくりと腫れていた。生まれて初めて高級ホテルに行った私はカードキーを抜けば自動で電気が消えるということを知らなかった。帰ってきた時、ドアを開けて入ってくることだけを考えてカードキーを抜いて外に出て行ったのだ。カードキーを抜く時は電気がしばらくしてから消える仕掛けになっていた。妻は暗闇の中で30分間も一人で泣いていたのだ。すねた新婦をなだめるのに3時間以上てんてこ舞いしたのはもちろんだ。
ハン・イェチャン/京畿道城南市、盆唐区、栢峴洞、栢峴マウル
記事修正:2010-12-17午後03:44:15