"民主共和国だけでは国家矛盾解決できず"(2332字)
"普遍価値 結合すれば資本主義 制御可能"
チェ・ウォンヒョン記者
←左側からソ・ドンジン、チャン・ウンジュ
我が国進歩陣営でも ‘愛国主義’ を大切にしなければならないという ‘進歩的愛国主義’ に関する論争に再び火がつく気配だ。前回<ハンギョレ>紙面で広がった論争が進歩的愛国主義自体の性格と可能性に対することとすれば、今回はマルクス主義が介入し国家を媒介とした政治的企画自体の矛盾を指摘した。
ソ・ドンジン、 国家枠組みより社会に注目しなければ
チャン・ウンジュ、 左派的純血主義では解決できない
最近出てきた半年刊誌<市民と世界>夏号はソ・ドンジン桂園デザイン芸術大教授の ‘果たして共和国だけで充分なのか: 愛国主義論争を顧みなければならない理由’ と 進歩的愛国主義を主に主張したチャン・ウンジュ 霊山大教授の ‘民主的愛国主義と民主的共和主義: 批判と問題提起に対する応答’ 等、2編の文を並べて載せた。ソ教授が昨年末、誌上論争とは別に<ルモンド ディプロマティク>に載せたチャン・ウンジュ教授の主張に対する批判の文を再整理し掲載し、チャン教授がそれを含む進歩的愛国主義に対する多様な問題提起に対し応答をする形式で組まれた。
今回の論争に付けることができる小題目は ‘共和国だけで充分なのか’ だ。 ‘民主共和国’ を明示した憲法を前面に掲げ進歩的愛国主義を主張したチャン・ウンジュ教授は 「愛国主義は特殊主義的だが、人権をはじめとする普遍的価値と結合する限り、民主主義を推進し拡張する良い手段となりうる」 と主張した。 これに対しソ教授は共和国の理想だけでは普遍主義的な国家の矛盾を克服できず、これを見過ごし国家を新しい進歩政治を企画する広場としたことが進歩的愛国主義の問題と批判する。
民族または、民族を通じて構成される国家という共同体は、人々を直接的な生の世界から引き離し ‘個人化された個人’ を作り出すイデオロギーとしてすでに普遍主義的だという主張だ。簡単に言えば、‘私は韓国人’ と言う時、日本人・フランス人とは違う共同体に属するという側面で特殊主義的だが、階級・性別のような直接的な生の世界から離れて ‘国籍’ に規定される個人になるという点は普遍主義的だということだ。
←‘市民と世界’ 夏号
ソ教授のこういう主張はフランス政治哲学者エティエン パリバールの理論に主に寄り添っている。パリバールは近代国家は普遍的人権および市民権を拡大してきたが、他の一方で ‘国民’ という特権的共同体を作り、その権利を限定した点に注目する。近代国家は資本主義と一体だが、資本主義が起こす階級闘争および社会的葛藤を調節するために、人々が労働者・農民になる以前に市民的権利を与え国民に仕立てる作業を遂行してきたということだ。
したがって国家は資本主義的普遍性と政治的共同体としての普遍性を同時に持っている矛盾を抱いているというのが ソ教授の主張だ。彼は「資本主義的社会関係の内、搾取と不平等を告発し拒否するためにさらに多くの権利やさらに良い法に訴えなければならないが、国家は一層効果的な政治的共同体としての役割を果たせない」 と診断する。もし進歩的愛国主義が言うように "国家が政治的共同体として普遍性を持とうとすれば、それは結局資本主義との対決を要求する" ということだ。
チャン・ウンジュ教授はこういう指摘に対し "民主的憲政主義に対する左派主義的懐疑" と規定し "‘資本主義の克服’という急進性を左派的純血主義の追求という方式で思考する頑固な知的習慣から出たもの" と批判した。彼は自身が主に主張した進歩的愛国主義の背景的理念を ‘民主的共和主義’ と名付け、 "民主主義の理念と原則が持つ真の解放的潜在力を信頼する根本・急進民主主義を追求すること" と規定する。
特に彼はソ教授が指摘した普遍主義的国家の矛盾をすでによく知っていると前提にし、「まさにその内的矛盾が絶えず国家内で実質的普遍化に対する強力な内的動学を発生させる」と主張した。すなわち人権と同じように抽象的だが、最も普遍的な原則が普遍的に立法化されること自体が現実的実践がなされうる出発点ということだ。 従って "民主主義の急進化を通じ資本主義を制御・規制することができる" とし ‘共和国だけでは不可能だ’ という批判に反論する。
二人の見解差があまりにも大きく、今後 論争が続けられるかは未知数だ。ただし “共和国だけではだめだ” というソ教授の批判は、進歩的愛国主義だけでなく最近 関心が集まった共和主義など政治哲学にも適用されるため、また別の論争の余地がある。彼は“ ‘権利の政治’ を基盤として看做せば、しばしば代案を探し国家や憲法に渡される姿を見出せる” とし “そうであれば搾取と不平等が実際にあらわれる生の空間としての ‘社会’ が忘れられている” と話した。すなわち市民的権利に寄り添うとして資本主義的社会関係を正面から扱わなければ、労働問題も労働現場では解決できず国家人権委員会のような機関に嘆願を入れて解決しなければならない状況が広がりうるという憂慮だ。
チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr, 写真<ハンギョレ>資料写真
登録:2010-07-07午後06:38:58
原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/429273.html 訳J.S