食品加工の程度を基準に作られた食品分類体系(NOVA)によると、食品は非加工食品、加工食材、加工食品、超加工食品の4種類に分けられる。
このうち、健康面で主に問題になるのは超加工食品だ。超加工食品(ウルトラプロセスフード、UPFs)とは、自然食材から抽出した物質を加熱、発酵などで化学的に変形させ、味や食感などを高めるために甘味料や防腐剤、色素など各種の添加物を入れたものをいう。ラーメン、ハム、菓子類、アイスクリーム、シリアル、炭酸飲料などが代表的な超加工食品だ。
超加工食品は加工の過程でナトリウムや脂肪、糖などが追加され、ビタミン、繊維質などは少なくなるため、多く摂取すれば栄養バランスを崩し、健康に良くない影響を及ぼす。
米国人の場合、摂取カロリーで超加工食品が占める割合が58%にもなる。一方、地中海食をよく食べるイタリア人の超加工食品摂取の割合は10%と低い。韓国人は平均25%で、比較的低い方だ。
米国のジョンズ・ホプキンズ大学、オーストラリアのシドニー大学、フランスのソルボンヌ大学などの専門家で構成された国際研究チームが、この3年間で発表された超加工食品の健康影響研究の集大成を分析した論文を、国際学術誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」に発表した。
研究チームは計1千万人を対象にした45の研究内容を検討した結果、超加工食品は心臓疾患、2型糖尿病など32種類の疾患および死亡のリスクと直接的な関連があることが分かったと明らかにした。これまで超加工食品と健康の関係に関する研究は数多くあったが、このように包括的に検討したことはなかった。
心血管疾患による死亡リスクが最大50%高まる
研究チームは、個別の健康問題に関する超加工食品の影響の証拠能力を「確実・非常に強い・強い・弱い・なし」に分類して評価した。
まず、「確実な証拠」のカテゴリーでは、超加工食品の摂取量が多いと心血管疾患関連の死亡リスクが最大50%高くなることが分かった。また、不安やメンタルヘルスの障害のリスクは最大48~53%、2型糖尿病のリスクは12%高くなった。
また、「非常に強い証拠」のカテゴリーでは、超加工食品の摂取量が多いほど、すべての原因による死亡リスクが21%高かった。心臓疾患の死亡、肥満、2型糖尿病、睡眠障害のリスクは40~66%、うつ病のリスクは22%高くなった。
研究チームはこのほか、喘息、腸の健康、一部のがん、そして高血糖や善玉コレステロール不足など、心臓疾患の危険要因との関連性も発見されたが、その程度は制限的だと補足した。
英ガーディアン紙は、世界的な超加工食品専門家とされるクリス・ヴァン・トゥレケン教授(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の言葉を引用し「今回の研究結果は超加工食品の比重が高い食事が早期死亡を含む様々な健康問題と直結しているという数多くの研究と完全に一致する」と報じた。
「タバコと同じような国際条約の施行を」
しかし、ニューカッスル大学のクレア・コリンズ教授(栄養学)は、研究結果に肯定的な評価を下しながらも「この研究は観察研究であるため、超加工食品と疾患の因果関係を立証することはできない」と指摘した。
2009年、超加工食品の概念を初めて提示したブラジルのサンパウロ大学公衆保健大学のカルロス・モンテイロ教授は、BMJに同時に掲載された社説で、「超加工食品は安価な成分を化学的に操作し、香料や色素、乳化剤などの添加物を組み合わせて味と魅力を加えたもの」だとし、「もはや国連機関が加盟国と共にタバコに関するものと同じような条約を作って施行すべき時だ」と主張した。
同教授は「超加工食品は健康を害し寿命を短縮させる」として、包装の前面に表示、広告の制限、学校と病院での販売禁止といった規制と共に、非加工あるいは最小限の加工食品と新鮮な調理食品を超加工食品くらい簡単に安い価格で買える措置が必要だと強調した。
オーストラリアのセントラルクイーンズランド大学のシャーロット・グプタ博士は「看護師、医師、消防士、タクシー運転手、鉱夫、接客業従事者などの夜間交代勤務者は、生鮮食品をなかなか食べられなかったり、食べ物を準備する時間があまりないため、超加工食品に依存する場合が多い」とし、「個人が献立で超加工食品を減らそうとする努力だけでなく、より健康な食品を簡単に入手できるようにする公衆保健措置が必要だ」と強調した。
*論文情報
https://doi.org/10.1136/bmj-2023-077310
Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses.