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93歳で身体能力は30代…運動に遅すぎるということはない、ルーチンを知ろう

登録:2024-01-24 07:11 修正:2024-01-24 10:33
93歳のリチャード・モーガンさん(右)が6年前の2018年に室内ボート競技に出場した際の様子=Row2k.com提供、ワシントン・ポストのインスタグラムよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 シニア・ボート競技の選手でアイルランド人のリチャード・モーガンさんは、生物学的な年齢は93歳だが、最近の分析結果によると、身体年齢は30~40代であることが分かった。70代初めまで規則的な運動をしていなかったモーガンさんが、どうやって若い体を持つことができているのだろうか。最近、アイルランドのある大学の研究チームが、モーガンさんの身体と運動能力を研究した結果を公開し、モーガンさんの運動法と食習慣を紹介した。研究チームの結論は平凡だが重要だ。研究結果は「人の体にとって、運動に遅すぎるという時はない」と要約できる。

 16日(現地時間)、米ワシントン・ポストは、昨年12月にアイルランドのリムリック大学のフィリップ・ジェイクマン教授(教育・保健科学)の研究チームが、シニア室内ボート競技の選手であるリチャード・モーガンさんの身体能力と運動法、食習慣などを分析し、米国応用生理学ジャーナルに掲載した研究結果を紹介した。アイルランドのコークに住むモーガンさんは、室内でローイング・マシン(室内ボート漕ぎ器具)に乗ってロープを引く方式で仮想の船のオールを漕いで記録を競争する室内ボート競技の選手だ。ボート選手である孫の勧めで73歳から運動を始めた。2022年に軽量級90~94歳部門の世界チャンピオンになるなど、現在も室内ボート競技の選手として活躍している。

リチャード・モーガンさんが84歳だった2014年、室内ボート競技に出場した際に現地メディアと自身の家の倉庫でインタビューしている様子=Irish ExaminerのYouTubeよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

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73歳で運動を始めたが…心臓は40代

 22日の研究結果によると、研究チームは、パン職人などの仕事をして73歳まで規則的な運動をしていなかったモーガンさんが、90歳を越える年齢にもかかわらず旺盛な運動能力を示すことに注目した。老化によって筋肉が減り身体能力が鈍化することは避けられないのか、それとも運動不足のためなのかの答えを探るために、モーガンさんが参考になると考えたのだ。

 研究チームは、モーガンさんをリムリック大学の生理学研究室に招待した後、肺と心臓の機能を分析し、食習慣などを調査した。ローイング・マシンで2000メートルを漕がせ、彼の心臓・肺・筋肉をモニタリングもした。分析の結果、モーガンさんの体は若かった。モーガンさんの体脂肪率は15%で、健康な若い男性の体脂肪率を示した。ローイング・マシンに乗る間、心拍数はその年齢の平均をはるかに上回る毎分最大153回を記録した。ワシントン・ポストは研究チームの話を引用し、モーガンさんの身体能力は健康な30~40代と同等だと報じた。

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「1日40分」の地道な運動

 若さの秘訣は何だろうか。ワシントン・ポストと研究チームは、モーガンさんの「単純で短い」運動習慣に注目した。モーガンさんは今でも自宅の裏庭にある倉庫でほぼ毎日運動するという。以下はモーガンさんの「運動ルーチン」だ。

(1)1日平均40分(ローイング・マシンで)30キロメートルほど漕ぐ。

(2)低強度・中強度・高強度の運動を混合して行う。70%は簡単な運動、20%はきついが耐えられる程度の水準の運動、10%は続けるのが難しい強度の運動をする。

(3)1週間に2~3回、ウエイトトレーニングをする。自分に合ったダンベルを利用してランジを3セットするなどの動作を繰り返す。

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毎日「高タンパク」中心の献立

 ワシントン・ポストは、モーガンさんが自分の体重に合う1日のタンパク質の摂取推奨量60グラムを上回るタンパク質を堅実に摂取していると報じた。アイルランドのメディアのアイリッシュ・インディペンデントも19日に研究結果を報じ、モーガンさんがタンパク質の含有量が高い「きわめて一貫した献立」を維持していると報じた。今回の研究に参加したモーガンさんの孫(ボート選手とは別の孫)でアイルランドのシャノン工科大学のローカン・ダリ助教授(運動科学)は、祖父の献立をアイリッシュ・インディペンデントに詳細に公開した。「毎日同じ朝食と昼食を食べる」というモーガンさんは、朝はポリッジ(オートミールに牛乳を入れて作ったおかゆ)を、昼にはハムと全粒粉のスコーンなどを食べるという。夕方にはジャガイモと野菜を添えた鶏肉や豚肉を食べる。運動後にはタンパク質のプロテインシェイク(タンパク質のサプリメント)を飲む。1カ月に1回程度、ワインを飲む。

リチャード・モーガンさんが84歳だった2014年、室内ボート競技に出場した際に現地メディアと自身の家の倉庫でインタビューしている様子=Irish ExaminerのYouTubeよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

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「運動に遅すぎるということはない」

 研究チームはモーガンさんの事例を通じて、運動は年齢と関係なく健康で運動能力の高い体を作るために役立つことを指摘した。研究を進めたジェイクマン教授は「93歳のモーガンさんの体力と身体能力は、人間は年を取っても筋肉と有酸素能力(aerobic capacity)を失うとは限らないことを示している」とし、「運動が年齢と関係なく役立つ」と述べた。研究結果を調べた米国インディアナ州のボールステイト大学・生体力学研究所のスコット・トラップ所長はワシントン・ポストに、「生涯にわたる運動適応の理解を明らかにする興味深い事例研究」だとし、「人体がどの年齢であっても運動に適応できる能力を有しているという証拠は、きわめて明白だ」と述べた。

 ただし、研究チームは、モーガンさんの健康な体は遺伝的な影響も作用したものだと指摘した。また、モーガンさんの最近のボート競技の記録は、10年前や5年前より落ちている。研究チームは、運動は老化を防止できないが遅らせることができると述べた。

 運動は身体だけを丈夫にするのではない。達成感と満足感も向上させ、心の健康にも良い。モーガンさんはワシントン・ポストに「世界選手権大会に出ることに喜びがある。(運動をして試合に出ることで)多くの楽しみがあることを知った」と述べた。孫であるダリ助教授も、祖父を「優しく賢い人」だと表現し、「健康な生活方式にともなう心の健康も身体と同様に素晴らしい。運動は彼に目的と喜び、幸福感などを与える」と語った。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1125334.html韓国語原文入力:2024-01-23 15:35
訳M.S

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