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KなしのK-POPの時代…米国でデビューして本社も米国に

登録:2023-12-09 09:16 修正:2023-12-09 10:26
K-POP企業「タイタン・コンテンツ」、米国に本社設立 
HYBE・JYPなどの多国籍K-POPループ、米国でデビュー 
専門家「K-POPの境界と定義に対する悩みが続く」
JYPエンターテインメントがグローバル・オーディションを通じて結成した多国籍ガールズグループ「VCHA」=JYPエンターテインメント提供//ハンギョレ新聞社

 「過去約20年間、K-POPは常に世界へ進出してきました。日本、中国、アジアを越えて米国や欧州にまで、全世界に向けての挑戦の歴史でした。昨年米国に行き、コロナ禍以前とは比較できないほどK-POPの影響力が強くなったのをみて、こう考えました。『今度は堂々とエンターテインメントの本場の米国で始まるK-POP企業を作るのはどうだろうか』。それが始まりでした」

 タイタン・コンテンツのハン・セミン取締役会議長は先月29日、ソウル江南区論ヒョン洞(ノンヒョンドン)の社屋で開かれた発足式でそのように述べた。タイタン・コンテンツは、ハン議長が4月に米国で設立したK-POP企業だ。はじめから米国にK-POP企業を作った初の事例だ。6月に韓国法人を設立し、今回韓国事務所を開いたのに続き、来年1月にはロサンゼルスに本社事務所を開く予定だ。

 K-POPが韓国を飛び出し、はじめからグローバルに拡大する流れが強まっている。タイタン・コンテンツのように米国で始めるK-POP企業が出てくるかと思えば、HYBEやJYPエンターテインメントなどの大手K-POP企業は、多国籍K-POPグループを最初から米国でデビューさせることを試みている。韓国人のいないK-POPグループも登場した。K-POPはもはや韓国という地政学的な意味を越え、システム自体を世界化する段階に入ったと専門家らはみている。

米国に本社を設立したタイタン・コンテンツの創立メンバー。左からハン・セミン取締役会議長、リア・キム最高振付責任者(CPO)、カン・ジョンア最高経営責任者(CEO)、イ・ギョン最高視覚責任者(CVO)=タイタン・コンテンツ提供//ハンギョレ新聞社

 ハン議長は、過去約20年にわたりK-POPの流れを主導してきたSMエンターテインメント代表の出身だ。他の3人の創立メンバーも錚々たる面々だ。SM出身で東方神起、少女時代、EXO、THE BOYZなどを発掘・育成したカン・ジョンア最高経営責任者(CEO)、TWICE、MAMAMOO、ソンミなどの振りつけを作ったリア・キム最高振付責任者(CPO)、SEVENTEEN、GOT7、THE BOYZなどのビジュアルを作ったイ・ギョン最高視覚責任者(CVO)が一つになった。多くの国際投資会社が投資し、バラエティーやビルボードなどの米国現地メディアは発足のニュースを大きく扱った。

 タイタン・コンテンツは、2028年までに多国籍ボーイズグループを2組、ガールズグループを2組、男女ソロをそれぞれ1人ずつデビューさせることが目標だ。来年にはグローバル・オーディションを開始し、2025年に初の新人を公開する予定だ。Web3、メタバース、人工知能(AI)などの新技術を活用したプラットホーム事業も同時進行する。中小芸能事務所のK-POPアーティストも世界中のファンたちと容易に会えるプラットホームの役目を果たすということだ。K-POP制作システムとファンダムのビジネスモデルを国際的に拡大するかたちだ。

 K-POPブームの主役である大型芸能事務所も新たな動きで忙しい。防弾少年団(BTS)を育てたHYBEのパン・シヒョク議長は最近、「K-POPからKを外さなければならない」と頻繁に語っている。既存の限定されたファンダム市場を越え、「より広い市場で、より広い消費者層に会わなければならない」ということだ。さもなければ、成長に制限が生じ、K-POPに危機が迫る可能性があるというのがパン議長の考えだ。彼が新たな突破口の一つとして試みたのが、グローバル・オーディションを通じた多国籍K-POPグループの結成だ。

HYBEがグローバル・オーディションを通じて結成した多国籍ガールグループ「KATSEYE」=HYBE提供//ハンギョレ新聞社

 HYBEは2年あまりの間の過程を経て、先日グローバル・ガールズグループ「KATSEYE」の最終メンバー6人を確定した。ソフィア(フィリピン)、ララ(米国)、ユンチェ(韓国)、メーガン(米国)、ダニエラ(米国)、マノン(スイス)がその6人だ。HYBEと米国のゲフィン・レコードの協業によるオーディションプロジェクト「ザ・デビュー:ドリームアカデミー」を通じて選抜されたこの6人は、米国デビューの準備に入った。パン議長は、米国経済メディア「ブルームバーグ」のインタビューで、「世界最高のグループに成長し、K-POPの枠を広げ永続性を持たせることに寄与することが、今回のプロジェクトの目標」だと明らかにした。

 米国ビルボードのメインアルバムチャート「ビルボード200」の1位を4回連続で達成したグループ「Stray Kids」の所属会社のJYPも、グローバル・ガールズグループ「VCHA」を結成し、デビュー準備に拍車をかけている。VCHAは、JYPとユニバーサル・ミュージック・グループ傘下のリパブリック・レコードの協業によるグローバル・オーディションプロジェクト「A2K」を通じて誕生した。米国の5つの主要都市と韓国を経て、9月に最終メンバー6人(レクシー、KG、カミラ、サバンナ、ケイリー、ケンドール)を選んだ。米国人4人、カナダ人1人、韓国と米国の二重国籍1人だ。6人は9月にプレデビューシングル「SeVit(NEW LIGHT)」を出したのに続き、今月1日には2作目のプレデビューシングル「Ready for the World」をリリースした。VCHAは来年1月26日に公式デビューの予定だ。SMも英国のエンターテインメントグループのM&Bと手を組み、現地でボーイズグループをデビューさせるためのプロジェクトに着手した。

全員が外国人で構成されたK-POPガールグループ「BLACKSWAN」=DRミュージック提供//ハンギョレ新聞社

 韓国でも韓国人がいないK-POPグループが登場するなど、これまでとは違う事例が相次いでいる。中小芸能事務所のDRミュージックのガールズグループ「BLACKSWAN」は、2020年にデビューした。韓国人と外国人が混じった多国籍ガールズグループとして出発し、韓国人メンバーが外れて新たに外国人メンバーが加わり、昨年から全員が外国人のグループになった。現在はガビ(ブラジル)、スリヤ(インド)、エンビー(米国)、ファトゥ(ベルギー)が活動中だ。彼女らは韓国での活動はもちろん、先月には米国西部4都市をツアーで回るなど、グローバルな活動も展開している。インドネシアのガールズグループ「StarBe」は8~11月に韓国でK-POP研修を受け、自分たちの音楽とK-POPを結合する試みを行った。いわゆる「Kインニポップ」(K-POPとインドネシアポップの合成語)という新領域に拡張したのだ。

K-POPと結合したインドネシアのガールズグループ「StarBe」=スニエンティ提供//ハンギョレ新聞社

 業界専門家らはこうした流れに注目している。音楽スタートアップのスペース・オディティが先月開いた「K-POP RADAR CONFERENCE」で、大衆音楽評論家のキム・ヨンデ氏、キム・ユンハ氏、チャ・ウジン氏とアイドル・スケジュール・アプリ「blip」のファンダム研究院マネージャーのチョン・ソヨン氏は、今年のK-POPのトレンドのキーワードの一つとして「KなしのK-POP」を挙げた。彼らは「現在のK-POPの境界と定義に対する悩みが続いており、それにともない、K-POPのカテゴリーも広がっている」として、K-POPに対する様々な定義について討論した。キム・ヨンデ氏は「こうした流れが続けば、韓国が作ったK-POPグループ、韓国が作った外国人K-POPグループ、韓国と外国が合作したK-POPグループ、外国人が作った類似K-POPグループがビルボードチャートのトップ10で競争するとしてもおかしくない時代が来るかもしれない」と予想を語った。

ソ・ジョンミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1118919.html韓国語原文入力:2023-12-04 13:35
訳M.S

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