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[社説]コロナ後に韓国の自営業者の負債増化、対策はないのか

登録:2024-05-13 06:27 修正:2024-05-13 09:35
昨年11月、ソウル瑞草区の教大駅に、「借金帳消し」をうたう法務法人の広告が貼られている/聯合ニュース

 新型コロナウイルス禍以降の4年間で、自営業者の負債が50%以上増えている。3カ月以上延滞している金額の規模が同期間に2倍以上に増え、3社以上の金融会社から貸付を受けている多重債務者が自営業債務者の半数を占めるなど、不良債権化リスクが高まり続けている。

 12日に野党「共に民主党」のヤン・ギョンスク議員が信用評価会社「NICE評価情報」から提供を受けて公開した資料「個人事業者の家計・事業者の貸付の現況」によると、今年3月末現在の個人事業者(自営業者)335万9590人の金融会社からの負債(家計の借金+事業者としての借金)額は1112兆7400億ウォン(約126兆円)。コロナ禍直前の2019年末と比べると、債務者数は60%、負債額は51%増えている。特に3カ月以上延滞している返済リスク借主の負債規模は、同期間に15兆6200億ウォンから31兆3000億ウォンへと2倍ほに増加している。3つ以上の金融機関から借金している「多重債務者」は172万7351人で、個人事業負債者の半数以上(51.4%)を占めている。

 コロナ以降、自営業者の負債規模と延滞金額が増えているうえ、負債の質が悪化しているのは、コロナのショックから抜け出せない個人事業者と小商工人が依然として多いからだ。コロナ当時は防疫に協力するために店を閉めて損失を受け入れなければならなかったし、コロナ禍の終息後は高金利と物価高にともなう消費の萎縮に苦しんでいる。家計と自営業者がそれぞれの理由で困難に陥っているのだ。

 自営業者が積極的に防疫に協力したおかげで、韓国は他国に比べて経済的に大きなショックを受けることなくコロナ危機を克服できた。しかし、自営業者に対する支援は他国に比べて非常に少なかった。国が取るべき責任のかなりの部分を民間が背負い込んでいるのだ。2020年4月にはじまった自営業者に対する元利金返済猶予措置も、昨年9月に終了している。満期の延長は来年9月までひとまず延ばされているが、元利金の返済がはじまったことで、それに耐えられない自営業者が増えている。

 自営業者は韓国の全就業者の20%を占めるほど重要な経済主体だ。彼らがコロナ対策に協力した代価として背負った損失に耐えられずに破産したら、次に同じような危機に襲われた時に誰が防疫に協力するのか。民主党は、25万ウォン(約2万8400円)の民生回復支援金を地域貨幣のかたちで支給すれば、物価を刺激せずに地域の自営業者を助けることができると主張している。政府と国会で早急に議論することが必要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1140207.html韓国語原文入力:2024-05-12 18:00
訳D.K

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