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「米国の対中競争の意図は不明…韓国は慎重な外交を」

登録:2023-11-12 19:39 修正:2023-11-13 07:16
『脱冷戦期の米中関係』の著者、キム・ジェチョル教授 
米中関係、30年間で妥協→妥協・競争→競争へと変化 
「米中、『極端な競争』の決心ははっきりしていない 
韓国は米中対立の緩和のための政策を」
カトリック大学のキム・ジェチョル教授//ハンギョレ新聞社

 「現在韓国政府は、米国と中国の競争が激化し互いに異なる二つの陣営が形成され、この陣営対決で米国中心の自由主義陣営が勝つという前提に立ち、対米・対中政策を推進していると思われます。その結果、対中政策は韓米同盟強化の必要性という上位変数に従属して考慮されているようです。しかし、これは性急で過度な決定論に基づいていると考えます」

 1990年代初めに発足した米クリントン政権から現在のバイデン政権まで、この30年間、米中関係がどのように展開されたのかを緻密に指摘した本『脱冷戦期の米中関係-妥協から競争へ』(社会評論アカデミー)を先月出版したカトリック大学のキム・ジェチョル教授の言葉だ。

 ここ20年にわたり米中関係を研究してきたキム教授は、著書『中国と世界:国際主義、民族主義、外交政策』(2017)で韓国政治学会学術賞を受賞した。

 近著では、この30年間の米中関係を、妥協(クリントン、G.W.ブッシュ米大統領の時期)から妥協と競争が共存した複合性(オバマ大統領)を経て、競争(トランプ、バイデン大統領)の段階へと変化したと分析した。ブッシュ大統領時代までは、両国は米国主導で妥協を導き出し、このような流れは経済面での相互依存の増大で強化されたが、2008年の世界金融危機を契機に、妥協に加え競争の構図も形成されたというのが著者の判断だ。中国は、経済危機に瀕した米国を積極的に支援する一方で、国際政治の舞台で米国に負けまいとする姿勢を示し、米国の対中戦略の変化を招いたという説明だ。この「複合性」の段階は、トランプ大統領が中国に対する圧迫を通じて優位を確保しようとしながら競争段階に進入し、バイデン大統領時代には科学技術制裁と台湾問題に対する圧迫などで競争戦略の体系化を試み、脱冷戦期の終焉を告げることになったと分析する。

キム・ジェチョル教授の新作『脱冷戦期の米中関係-妥協から競争へ』(社会評論アカデミー)//ハンギョレ新聞社

 6日、電子メールでのインタビューに応じたキム教授は、米中関係が協力から競争に移動した最も大きな要因として「習近平主席の中国が自信を強調し、トランプがこれを国内政治に活用したこと」を挙げた。バイデンがトランプの対中競争政策を体系化したが、だからといって両国関係がトランプ時代よりさらに悪くなったわけではないと言う。「競争はさらに明確になったが、バイデン政権が『競争の管理』を強調し両国の間で衝突が発生する可能性は、トランプの時に比べて相対的に減ったといえる」

 著書において、キム教授はトランプ政権もバイデン政権も対中競争の意味や目標、その実現戦略を明確に提示できずにいると強調した。では、キム教授が考えるバイデンの対中競争の戦略目標とは何だろうか。 「現実的に、バイデン政権は中国に対する有利な力のバランスを追求しているとみられます。つまり、優位の力を確保することで、『強力な地位』(position of strength)で中国を相手にしようとしているのです。米国の国力の限界を自覚したバイデン政権は、同盟国を動員しようとしています。しかし、中国は米国の競争を、中国の成長と浮上を制御しようとする試みであり『覇権的行為』だとみなし、米国の『覇権』に対する闘争を強調し、国連と『国際法に基づく国際秩序』を提起し、米国の国際的主導権の正当性を弱めようとしています。中国のこうした対応から、米国の競争が効果を発揮しているのかに疑問が生じます」

 続けて「米中が互いに異なる陣営を形成し、極端な競争をも辞さない決心を固めたのか、またその場合、その目標を実現する能力を備えているのかも明らかではない」として「たとえ両国が新冷戦に進むとしても、かなりの時間がかかり、その間に予想できなかった事件や要因が米中関係の様相に影響を及ぼすだろう」と分析した。著書の結論で、米中関係の未来シナリオで協力の復元や全面衝突よりは制限的共存や新冷戦の様相を帯びる可能性が高いと予測したのもこのような脈絡からだ。

 キム教授に米中の競争構図において韓国外交が進むべき道を尋ねると、このような答えが返ってきた。「米中競争は激化しているが、両国が陣営を分けて調和できない競争を展開するのかについて、まだ明確な決心はしていないと思います。したがって、両国関係の行方をより慎重に判断し、ひいては米中関係の対立を緩和するよう試みる必要性があります。もちろん簡単ではないでしょうが、外交とは不可能を可能性に転換する芸術ではないでしょうか」

カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1115968.html韓国語原文入力:2023-11-12 18:42
訳J.S

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