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韓国が開発したLK-99、結局は幻か…ネイチャー「超伝導体ではない」

登録:2023-08-18 04:54 修正:2023-08-18 09:02
不純物の硫化銅が超伝導体に見せかけていた
超伝導現象による磁気浮上効果を表現したイメージ=ゲッティ・イメージズバンク//ハンギョレ新聞社

 国際学術誌「ネイチャー」は16日(現地時間)、韓国の研究チームが開発した「LK-99」は「常温常圧超伝導体ではない」と報じた。

 ネイチャーはこの日、電子版の記事で、世界各国の研究者が行ったLK-99の再現研究を紹介し、「研究者がLK-99の謎を解明したようだ。科学的な探偵作業を通じて、この物質は超伝導体ではないという証拠を発見し、実際の特性を明確にした」と明らかにした。

 ネイチャーは「数十回にわたる再現の努力の末、多くの専門家は、LK-99は常温超伝導体ではないという証拠があると自信を持って言っている」としたうえで、「中国、米国、欧州の研究者が実験的・理論的な証拠を結合し、LK-99で超伝導性が発生することはありえず、超伝導体ではなく絶縁体であることを確認した」と明らかにした。特に14日には、ドイツのマックス・プランク固体研究所の研究チームが、不純物のないLK-99の単結晶の合成に成功した後、超伝導体ではないと報告した。研究チームは、透明な赤紫色の結晶の形で合成されたLK-99の単結晶を分析し、この物質は超伝導体ではなく数百万オームの抵抗を持つ絶縁体だとする結論を出した。

 ネイチャーは「(こうした研究の)結論は、銅・鉛・リンと酸素の化合物であるLK-99が常温と大気圧で発現する初の超伝導体だとする希望を打ち砕いた」と記した。

 LK-99をめぐる論議は、クォンタムエネルギー研究所のイ・ソクベ代表、漢陽大学のオ・グンホ名誉教授、米国ウィリアム・アンド・メアリー大学のキム・ヒョンタク研究教授らによって構成された韓国の研究チームが7月、査読前の論文を投稿する論文共有サイト「アーカイブ」に、「常温超伝導体の合成に世界で初めて成功した」とする内容の論文2編を登録したことによって始まった。常温・常圧超伝導体は、電気抵抗が完全に消失して周囲に磁場を押しだす性質を持つため、これまで科学界と産業界で「夢の物質」と呼ばれていた。イ代表らの論文掲載後、世界各地でこの発表を検証するための研究が続いた。

ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームが合成したLK-99の結晶=出処:ネイチャー//ハンギョレ新聞社

 オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学の物理学者であるマイケル・フューラー氏はネイチャーに「追加確認は唯一、(LK-99を合成した研究チームと)サンプルを共有する韓国チームから出てくる可能性がある」としたうえで、「そのチームが他のすべての人に確信を与えなければならない負担を抱えている」と述べた。

 超伝導体の真偽に関する論議に終止符を打つと期待される韓国の研究チームのサンプルの検証結果については、いつ出されるのかは不透明だ。韓国超伝導低温学会は2日、検証委員会を発足し、サンプルの分析計画を明らかにしたが、現時点ではサンプルを確保しておらず、分析を着手できずにいる。超伝導低温学会は「学会と検証委員会が科学的事実を検証する権限を与えられたわけではないので、研究者の同意なしにこれを行使することはできず、検証手続きを受け入れるかどうかについては当該研究者が判断すること」だとする立場だ。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1104691.html韓国語原文入力:2023-08-18 02:14
訳M.S

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