22日(現地時間)、サウジアラビアがカタールのルサイルスタジアムでアルゼンチンを2対1で破った。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング53位が3位を相手に大金星を挙げた記念碑的な「ジャイアントキリング(番狂わせ)」だ。サウジはW杯歴史でアルゼンチンを破った初のアジアチームとして記録される一方、アルゼンチンは2年4カ月間にわたる無敗記録が36で止まった。同日、練習前に記者会見場を訪れた韓国のキム・ジンス(全北現代)は、この試合の意味をこのように解釈した。
「サッカーというスポーツには強いチームが負ける試合もあれば、弱いチームが勝つ試合もある。同じアジア諸国として、私たちにも望みがあると思う」
彼の言葉のようにウルグアイとの一戦を控えた韓国には「アンダードッグ(負け犬)」の反乱が求められる。FIFAランキングで韓国(28位)はウルグアイ(13位)より15ランク下だ。選手団の価値総額で見ると、ウルグアイは5億9000万ユーロでカタールW杯参加国の中で9番目に高い。韓国は1億5900万ユーロで、32カ国のうち26位だ。アルゼンチンとサウジの差ほど劇的ではないが、異変の秘訣を探る必要はある。
サウジアラビアの勝利には様々な要素が働いた。8万席規模のルサイルスタジアムを事実上ホームにしてしまったサウジアラビアのサポーターたちがアルゼンチン選手たちを圧倒したうえ、今大会から導入された人口知能(AI)を活用した準自動オフサイド判定技術(SAOT)のおかげもあった。何より重要なのはきめ細かな守備ラインのコントロールと間隔の維持にあった。サウジアラビアはひたすら後ろに下がることなく、むやみに前進しようともせず、空間の支配に集中した。
サウジアラビアは最終守備ラインを高く上げ、MF(ミッドフィルダー)とMFの間、MFとDF(ディフェンダー)の間の間隔を狭め、中盤に入ってくるボールと選手を制御した。中央が塞がれたアルゼンチンは両サイドにボールを回すしかなく、果敢に浸透を図った時はオフサイド・トラップにかかった。同日の1試合でアルゼンチンが犯したオフサイドは10回。4年前のロシアW杯の4試合での記録(6回)より2倍近く多い。
「韓国放送(KBS)」のク・ジャチョル解説委員はユーチューブ放送で、韓国代表チームの試合のうち最も印象的だったものとして、昨年11月のイラクとのW杯3次予選を挙げ、「MFの体力を温存させる守備ラインのコントロールがその試合の核心だった。その些細な違いが3対0の勝利をもたらした」と評した。今回のサウジアラビア対アルゼンチンの試合と、韓国対ウルグアイとの対戦を単純比較することはできないが、強いチームであれ弱いチームであれ、ラインコントロールが勝利の土台を作るという分析だ。
試合を現場で中継したKBSのハン・ジュンヒ解説委員は「サウジアラビアの簡潔で一糸乱れぬ守備組織はきっと今大会に臨むすべてのアンダードッグたちのお手本になれるだろう」と話した。ただ、「サウジアラビアは守備ラインのコントロールをミスなくこなしたうえ、ゴールキーパー(GK)と守備陣も最後まで闘志を失わなかった。これらすべてがうまくかみ合うのは容易ではない」と付け加え、ほどよい線を守ることの難しさについて語った。
韓国代表チームは勝利のための「ほどよい線」を維持できるだろうか。