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9メートルに3000キログラム…巨大な「オニイトマキエイ」がエクアドルに2万匹

登録:2022-11-17 06:21 修正:2022-11-17 12:08
[アニマルピープル] 
2万2000匹の規模と推定、既知の生息地に対し10倍の規模 
長さ9メートル、重さ3000キログラムの大型エイ、世界的に絶滅の危機 
保護種だが漁獲・混獲が続く…レジャーダイバーが撮影に寄与
最大のエイであるオニイトマキエイの世界最大の生息地が南米エクアドルの海岸で発見された=ミシェル・グレロ氏提供//ハンギョレ新聞社

 中型バスの大きさの「オニイトマキエイ」は、大洋の表層を遊泳しプランクトンを食する最大のエイだ。こうした巨大な体つきの軟骨魚類が2万匹以上集まる世界最大規模の集団が、南米エクアドルの沖合で発見された。

 英国マンタ・トラスト研究所のカニナ・ハーティー研究員らからなる国際研究チームは、科学ジャーナル「海洋生態学進展シリーズ(Marine Ecology Progress Series)」最新号に掲載した論文で、「これまで知られていたものより10倍以上規模が大きいオニイトマキエイの集団を、エクアドルのプラタ島海域で発見した」と明らかにした。

 研究者らは「2005~2018年の間、この海域で合計2803匹のオニイトマキエイを識別した」とし、「直接撮影したり市民科学者たちが撮った写真をもとに推定した結果、この海域に棲息するオニイトマキエイの全個体数は、2万2316匹と推定される」と明らかにした。

オニイトマキエイはゆっくり成長して長生きし繁殖率が低い、典型的な乱獲に弱い動物だ。エクアドル海洋大型動物財団提供//ハンギョレ新聞社

 オニイトマキエイは、世界全域の熱帯から温帯海に分布するが、繁殖率が低く成長が遅いうえ、不法漁業と混獲により、世界的に絶滅の危機に直面している。国際自然保護連合(IUCN)は2019年、このエイの保全状況評価を「危急」から「絶滅危惧」に変えた。

 今回の発見は、世界的にオニイトマキエイの集団が減少するなか、大規模で活発な集団を確認したという点で意味が大きい。研究に参加した米国オレゴン州立大学のジョシュア・スチュワード教授は、同大学の報道資料で「海洋では珍しいと思われる肯定的な話」だとし、「世界のオニイトマキエイの集団は、ほとんとが1000~2000匹の規模にすぎず、今回の発見は前例のないもの」だと述べた。

世界最大のオニイトマキエイの生息地であることが明らかになったプラタ島(Isla de la Plata)近くの海域の位置=カニナ・ハーティー他(2022)、Marine Ecology Progress Series提供//ハンギョレ新聞社

 今回発見された大規模な生息地は、南極から来る冷たく栄養価の豊富なフンボルト海流がペルーとエクアドルの近くで海表面にわき上がり、世界的な漁場を形成する場所だ。エイはプラタ島近くの海域で、オキアミや動物プランクトンなど好んで食べる豊富な餌を探し、寄生虫を掃除するために集まって来ることが分かった。

掃除魚に寄生虫の除去などの掃除サービスを受けるオニイトマキエイ=ヨン・ハンソン氏、ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社

 オニイトマキエイは、長さは9メートル、重さは3000キログラムまで育つ大型のエイだが、ゆっくり育ち繁殖率が低く、乱獲に脆弱だ。雌は体の幅が5メートルに達してから繁殖を始め、2~3年に1回、1年間の妊娠の末に子どもを1匹産む。寿命は40年。

 国際的な取引は規制され、エクアドルでは漁獲が禁止されたが、漁場でははえ縄や巾着網でたびたび混獲される。研究に参加したエクアドル海洋大型動物財団のミシェル・グレロ研究員は「プラタ島と向かいのエクアドル海域が、この絶滅危惧種の世界的に重要なホットスポットであることが明らかになった」とし、「他の場所のオニイトマキエイのように減少しないよう、保護措置が急がれる」と述べた。

 グレロ研究員は「エクアドルとペルーでは、このエイの捕獲はそれぞれ2010年と2016年に禁止されたが、不法漁獲と混獲の脅威は変わっていない」とし、「今回の研究で識別した563匹から外傷を発見し、そのうち半数以上は網などの漁具による傷だった」と述べた。グレロ研究員は「オニイトマキエイは水温の変化とそれにともなう餌の変化に敏感で、気候変動にも脆弱だ」と付け加えた。

オニイトマキエイを撮影するレジャーダイバー。これらの人々が撮影した写真は個体識別に有用に使われている=エリアス・レビー氏、ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社

 今回の研究では、ダイバーの写真が大きな助けとなった。第一著者であるカニナ・ハーティー研究員は「レジャーダイバーが撮影した多数の写真が個体識別に使われている」とし、「ダイバーが市民科学者として参加した」と述べた。オニイトマキエイには一匹ごとに腹に独特な点柄があり、個体識別に用いられる。

引用論文: Marine Ecology Progress Series, DOI: 10.3354/meps14189

チョ・ホンソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/ecology_evolution/1067465.html韓国語原文入力:2022-11-17 00:55
訳M.S

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