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「日本が『植民地支配の不法性』認めれば良いことばかり」(2)

登録:2022-09-13 02:57 修正:2022-09-13 08:08
『日韓関係の危機をどう乗り越えるか?』出版 
最高裁判決の核心は「植民地支配は不法」 
慰安婦・強制動員被害者は「ヒューマンライツ問題」 
「両国は『常設仲裁裁判所設置』に合意を」 
1992年に「慰安婦」に代わる「性奴隷」を初提起 
「乙巳勒約は無効」とする国連報告書も発見
戸塚悦朗弁護士=戸塚弁護士提供//ハンギョレ新聞社

(1のつづき)

 韓日請求権協定によって個人の請求権の問題も解決済みだというのが日本政府の立場だが、戸塚氏はこの協定が日本軍「慰安婦」や強制動員の被害者の請求権まで消滅させることはできないと考える。なぜか。「ヒューマンライツ、とりわけ奴隷制からの自由は、ユスコーゲンス=強行法規、つまり国際法上絶対に破ることができない規範なのです。1999年の国連ヒューマンライツ小委員会は、性奴隷のような被害者の権利は、平和条約でも、二国間条約でも消滅させることはできないという決議をして、このことを確認しています」「ヒューマンライツは、ポツダム宣言の1カ月前、1945年6月26日に採択された国連憲章で確立された新しい法律用語だったのです。国連憲章は、国際法の平面上で最も基本的な法秩序として平和とヒューマンライツを定めたのです」

 国際法と人権の専門家である同氏は、韓国と日本の人権環境の違いも両国間の亀裂を大きくすると考える。「日韓の対立は、ヒューマンライツという新しい国際法秩序を拒否している日本と、これを受容してきた韓国という構図を見据えることによって理解が容易になります。韓国は、ヒューマンライツを侵害された被害者個人が国連機関に不服申し立てをする権利を保障する国際手続きを受容しています。しかし、日本はこの手続きを拒否しています」「日本政府は、あらゆるヒューマンライツ侵害の問題も含め、すべて1965年日韓請求権協定で解決済みと主張してきました。つまり、国家間の約束でヒューマンライツさえも消滅させることができるという考え方を取っています。これに対して、韓国は、被害者中心主義という言葉を使って、ヒューマンライツを尊重する姿勢を取ってきました。日本の方は、戦前からの古い国際法観=国家中心主義の考え方に立っているのに対して、韓国は、国連憲章下で確立されてきたヒューマンライツを保障する新しい国際法観を取っているのです」

 韓日の「ヒューマンライツ」認識の格差についての同氏の説明は続く。「日本は、1966年に国連が採択した社会権と自由権の二つのヒューマンライツ規約を1979年に批准しました。ところが、その際、被害者による国連への不服申し立て権を保障する手続き条約である個人通報権を保障する自由権規約選択議定書の批准を拒否したのです。未だに批准していません」。一方、「韓国は、1991年に二つのヒューマンライツ規約と共に、個人通報権を保障する自由権規約選択議定書も同時に受け容れて、完全な批准をしました。それから30年経ってしまったのです。ヒューマンライツの受容の仕方を見ると、今では、日韓のギャップはとても大きなものになってしまいました。その差が、日韓の間で、ヒューマンライツ認識、ひいては世界観の違いまでも生むようになってしまったのではないか。もし、そうだとすると、日本は、韓国を理解することができなくなってきているのではないか?と恐れています」

 韓日関係の改善の意志を示す尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に助言するとしたら、何と言うかも尋ねた。「尹大統領が、日本との関係を改善しようと熱心に努力しておられることは高く評価しています。しかし、日本政府は、日本の要求を丸呑みすることを韓国に要求しています。仮に、そのようにしたと仮定してみても、恒久的な関係改善を実現するのは難しいでしょう。何故なら、(1)安倍政権以降の日本政府は、歴史認識を少しずつ発展させてきていた2012年以前の歴代政権とは異質になってしまったのです。そのうえ、(2)日韓の間のヒューマンライツ認識に巨大なギャップが生まれてしまっていて、簡単には越えられない状況になっています。この二つの断絶のために、すぐに同じような日韓の間の紛争が起きてしまうでしょう」。同氏は、韓日の紛争解決の糸口を国際司法機関である常設仲裁裁判所(PCA)に求めることを提案した。「現在日韓が直面している紛争は、国家間の紛争ではないことに注目すべきです。韓国人であるヒューマンライツ侵害の被害者個人と国家(日本)あるいは日本の企業の間の紛争であることに着目する必要があります。ヒューマンライツは、国家間の交渉で消滅させることができないので、政治解決ができないのです。そこで、ヒューマンライツ問題に限定して被害者個人に申し立て権を認める特別の国際法廷を日韓政府の合意によって常設仲裁裁判所(PCA)に設置すれば、この枠組みを使って、最終的な紛争解決をはかることができるでしょう」

 最後に、同氏が1992年以降に国連という枠組みの中で「慰安婦」問題の解決に努め、おさめてきた成果の中で、最も意義深いと考えるものは何かを尋ねた。「1994年の現代奴隷制作業部会勧告をあげたいです。常設仲裁裁判所(PCA)の活用によって、『慰安婦』被害者と日本の間の紛争を解決してはどうかという国連勧告が出されました。1994年の国連・現代奴隷制作業部会に対して、私は、IFOR(国際友和会)を代表して、常設仲裁裁判所(PCA)に関する手続きなどについての情報を提出し、『日本軍「慰安婦」問題のような国家と被害者個人との間の国際紛争の解決のためにハーグの常設仲裁裁判所を利用できる。日本政府は、被害者が要求した場合は、常設仲裁裁判所による紛争解決に同意すべきだ』と指摘したのです。このIFORの主張は、国連による問題の研究から一歩踏み込んで、『どのような方法で早期に公正かつ最終的な紛争解決ができるか』という視点からのものだったのです。この国連勧告に対し、挺対協と日本軍『慰安婦』被害者(8名)は直ちに国連現代奴隷制作業部会勧告を受諾すると表明したので、これを支援するため日本では『「慰安婦」問題の国際仲裁を推進する弁護団』(59名の日本弁護士が参加)が結成されました。日本政府がこの国連勧告を受諾していれば、とっくに『慰安婦』問題は公正な解決手続きによって全面解決に至っていたに違いないのです。しかし、とても残念なことに、日本政府はこの国連勧告を拒否しました。そのために、今日まで日韓関係の危機が続いているのです」(了)

カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1058315.html韓国語原文入力:2022-09-12 18:42
訳D.K

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