昨年『パラサイト 半地下の家族』が示した韓国映画の力が、言葉の壁を超えた熟年の俳優の流麗な演技で、もう一度オスカーの舞台を圧倒した。
今年で演技人生55年目の俳優ユン・ヨジョンが26日、韓国人初のアカデミー助演女優賞を受賞したことを受け、国内外からお祝いのメッセージが殺到した。特に、ユン・ヨジョンをロールモデルとする後輩の女優たちは、彼女の受賞を自分のことのように喜び、尊敬の意を表した。俳優キム・ヘスはインスタグラムに、ユン・ヨジョンが過去のバラエティ番組「花より姉さん」で「私も初めてなのよ。67歳として生きていくのはね」と語ったことを引用し、お祝いのメッセージを載せた。2007年カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞した俳優チョン・ドヨンも、所属事務所を通じて「皆が信じて疑わなかった受賞の知らせだ。素晴らしい。(ユン・ヨジョンを)誇りに思う」と伝えた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は同日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて「情熱の炎を絶やさず、他の文化で生きてきた方たちにも共感を与えた演技と人生に敬意を表する」と述べた。
海外メディアも先を争ってアジア俳優の2度目のアカデミー助演女優賞受賞のニュースを伝えた。米国の「ロサンゼルス・タイムズ」は25日(現地時間)、受賞発表直後に「『ミナリ』のユン・ヨジョンが韓国人俳優として初めてオスカー受賞の歴史を書いた」という見出しの記事を掲載した。同紙は「韓国のユン・ヨジョンが日曜日夜、アメリカ映画デビュー作のリー・アイザック・チョン(韓国名チョン・イサク)監督の『ミナリ』で、お茶目で知恵に富んだおばあさんのスンジャ役でアカデミー助演女優賞を受賞し、歴史に名を残した」と報じた。
ニューヨーク・タイムズもユン・ヨジョンの受賞と共に「私があなたたち(助演女優賞にノミネートされた俳優たち)より少し運が良かっただけ」と述べた彼女の受賞スピーチを報じた。ロイター通信は「ユン氏は韓国で数十年間話題を呼び続けた俳優で、最もウイットと示唆に富んだ役を演じてきた」と報道した。
日本のマスコミもアジア系女性が助演賞や監督賞など主要賞を受賞したことに大きな意味を与えた。朝日新聞は「『ミナリ』のユン・ヨジョン氏の演技力が高く評価されたていた」とし、「監督賞と助演女優賞などアジア系女性2人がアカデミー賞を受賞する歴史的な授賞式になった」と付け加えた。
評論家たちは、韓国語の演技に対してアカデミー賞が演技賞を与えたことに大きな意味を付与した。評論家のチョン・チャニル氏は「昨年、韓国語で作られた『パラサイト』がアカデミー賞で作品賞と監督賞を受賞したが、演技で賞を取るのははるかに難しい」とし、「この点において、ユン・ヨジョンの受賞は昨年の『パラサイトの』受賞に劣らず歴史的な快挙だ」と話した。キム・ヒョンソク氏も「言葉の壁を崩す試みは昨年の『パラサイト』でも確認されたが、『ミナリ』によって演技についも評価されるようになった。それだけ言語の壁を超えた普遍的な演技をしたからだと思う」と述べた。
ユン・ヨジョンの同日の受賞は、5年前のアカデミー賞授賞式の演技賞候補がすべて白人だった点に比べれば大きな変化と言える。2016年の受賞候補は全員白人であり、SNSを中心に「オスカーは白すぎる」(#OscarsSoWhite)というハッシュタグがつけられるなど、アカデミーによる長年の白人優越主義に対する非難が殺到した。
これを受け、米映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は2018年、新入会員における黒人やアジア系女性の割合を画期的に増やした。毎年10%台を推移していたアジア系と黒人の割合を38%まで増やし、女性の割合も49%で半分を占めるようになった。ユン・ヨジョンの助演女優賞受賞にはこのような変化の影響もあったものと見られる。評論家のキム・ヒョンソク氏は「昨年『パラサイト』の4部門受賞と今回ユン・ヨジョンの助演女優賞の受賞は、アカデミーの自己革新の意志が反映されたもの」だとし、「『ノマドランド』のクロエ・ジョオ監督がアジア女性監督として初めて監督賞を受賞するなど、米国だけの映画祭から脱しようとする変化が目立った」と指摘した。