「ドキュメンタリー『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』や『Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密』を見て感動した方におすすめです」
3月24日に公開されたドキュメンタリー『Seaspiracy: 偽りのサステイナブル漁業』が口コミで広がり、静かな反響を呼んでいる。Seaspiracy(シスピラシー)は「海をめぐる陰謀」(Sea+Conspiracy)というタイトルの意味のように、全世界の海洋生態系が直面した危機とそれを脅かす要因について暴いたドキュメンタリーだ。
ドキュメンタリーは、監督のアリ・タブリジのナレーションで始まる。幼い頃から海とクジラが好きだった監督は、大学を卒業した後、人間が捨てたプラスチックゴミがどのように海洋生態系を破壊するのかを広く知らせるプロジェクトに着手する。彼は毎年人間が海に捨てるプラスチックがすでに太平洋に1億5千万トンもの巨大ゴミの島を作っている現実から指摘する。
監督はその活動の中で、日本が世界的な反対にもかかわらず、商業捕鯨を再開するという話を聞き、和歌山県太地町を訪れる。太地町は毎年春、イルカを入り江に追い込んで捕殺する追い込み漁で悪名高い所だ。監督はそこで数多くのイルカが捕殺される姿を見て疑問を抱き始める。水族館に売らないイルカまで殺す理由は何だろうか。
クジラがあまりにも多くの魚を食べるためという日本政府の説明とは違って、監督は絶滅危機種を濫獲して取り引きする裏には商業的な利害関係が絡んでいることを突き止める。さらに「イルカ保護」ラベルをつけた海産物までも、数多くのクジラやイルカの混獲を防ぐことができないという事実を知ることができる。
また、商業漁業の副産物が実際に個人が使用して捨てるものより大きな割合を占めている事実も示される。監督は「全世界がプラスチックのストローを捨てないよう呼び掛けているが、実際に海に流れ込むプラスチックの0.03%だけがストローだった。一方、太平洋の巨大なゴミの島の46%は漁船が捨てた漁網だった」と語る。
同ドキュメンタリーは、商業漁業がいかにして海洋生態系を破壊するのかを明らかにすると同時に、一部の環境団体がどのように漁業分野の大手企業からロビーを受けているのかを暴露する。海洋環境団体「シーシェパード」の活動家が行方不明になったり、遠洋漁船で行われる奴隷労働などについても言及し、海産物が私たちの食卓に上がるまでどれほど多くの“陰謀”が潜んでいるのかを暴いていく。
同ドキュメンタリーは、公開初日、米ネットフリックス映画部門で9位にランクされ、注目を集めた。29日現在、世界のネットフリックスランキングを集計するホームページ「フリックス・パトロール」も、映画部門で7位を記録している。劇映画を除いたドキュメンタリー部門では1位だ。
このような関心を反映し、韓国国内の動物団体でも先週末に上映会を開催した。動物権団体「DxE Korea」は27日、ソウル市鍾路区(チョンノグ)のノドゥル障害者夜学で上映会を開き、感想を話し合う時間を設けた。出席者らは「私たちがマグロを食べるとき、ウミガメやクジラ、サメがどのように犠牲になるのか知った」や「気候危機問題と動物の権利(アニマルライツ)を守る活動、両方とも関心を持っているが、知りたかった内容が満載の映画だった」などの感想を語った。