コン・ユとパク・ボゴム主演の映画『徐福』が劇場とオンライン動画サービス(OTT)で同時公開される。韓国のブロックバスター映画がこのように公開されるのは初めてで、映画界に及ぼす影響が注目される。
投資と配給を担当したCJ ENMは3日、『徐福』を4月15日に劇場とネット配信で同時に公開すると明らかにした。『建築学概論』のイ・ヨンジュ監督の新作『徐福』は、クローン人間を素材にして制作費160億ウォン(約15億円)をかけた大作だ。当初は昨年公開予定だったが、コロナ禍の長期化で封切を見合わせてきた。
コロナ禍で『スペース・スウィーパーズ』や『狩りの時間』など韓国映画の期待作が劇場公開を諦め、ネットフリックスに直での公開を選んだことはあるが、劇場とOTTでの同時公開は初めての事例だ。それに韓国国内1位の投資・配給会社CJ ENMの映画がOTTに直行するのは初めて。海外ではワーナー・ブラザースやディズニーなどが映画館と自社OTTでの同時公開戦略を取っている。
CJ ENMの関係者は「コロナ禍で変化した環境の中で、共存のため、プラットフォームを多様化する決定を下した。ネットフリックスとは違って、劇場での同時公開が可能というTVINGの条件も(今回の選択に)影響した。今後、他の映画もそれぞれの特性を考慮し、劇場またはOTT、二つのプラットフォームでの同時公開など、多様な選択肢があるだろう」と話した。『徐福』以降、他の映画もOTTで公開する可能性を示唆したのだ。
TVINGは昨年10月、CJ ENMから分割して独立法人としてスタートした「韓国独自のOTT」で、最近、JTBCが公式に合流した。TVINGは、国内OTT市場を掌握したネットフリックスに立ち向かうため、オリジナルコンテンツの強化を進めている。巨額をかけて『徐福』の放映権を確保したのもこのような理由からだ。CJ ENMがネイバーと提携し、近いうちにネイバーのプラスメンバーシップの有料サービスにTVINGを含める案を議論している点も影響を及ぼしたものと見られる。TVINGとネイバーは『徐福』を通じて会員数の同時増加を狙っている。
映画界では『徐福』の事例を注視している。劇場上映だけでは十分な収益を見込めない状況で、OTTを通じてある程度安定した収益を上げ、劇場の興行によって追加収益を上げることができるためだ。そうなれば、他の映画も似たような戦略を取るものと見られる。しかし、OTTだけに利益があり、劇場の観客数は微々たるものであれば、一気に主導権が劇場からOTTへと移る転換点になりかねないという懸念の声もあがっている。