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イ・ミギョンCJ副会長がなぜそこで受賞の感想を?

登録:2020-02-12 01:33 修正:2020-02-12 09:51
『パラサイト』CPの名で前面に立ち物議 
「映画発展への貢献は認めるが…」 
大手企業中心の映画界の現実を物語る
現地時間9日、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開かれた第92回アカデミー賞授賞式で『パラサイト』が作品賞を受賞すると、この映画の投資者であり責任プロデューサーとして名を連ねるイ・ミギョンCJグループ副会長が感想を述べた=ロサンゼルス/AFP・聯合ニュース

 ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞を受賞した際、CJグループのイ・ミギョン副会長が受賞の感想を述べたことが物議を醸している。

 アカデミー賞作品賞は本来、映画製作者に授与される。アカデミーのホームページの受賞者名簿には、パルンソンE&Aのクァク・シネ代表とポン・ジュノ監督の名前が載っている。作品賞を受賞した際には、クァク代表がまず受賞の感想を述べた。その後、イ副会長がマイクの前に移動した瞬間に照明が消え、客席前の前方の席に座る俳優たちが続けろというサインを送ると、明かりが再びついた。するとイ副会長は、かなり長い感想を語り始めた。弟であるCJグループのイ・ジェヒョン会長に対する感謝も忘れなかった。これについて視聴者の間からは「あの人は誰なのか」という疑問と共に「俳優と監督の代わりにあえてあのように出て来なければならなかったのか」という批判も出ている。

 イ副会長は『パラサイト』に責任プロデューサー(CP)として名を連ねている。映画界では馴染みのない職責だが、厳密に言えば投資者がより正確な表現だ。イ副会長は、朴槿恵(パク・クネ)政権時代に弾圧を受けながらもポン監督映画に投資と支援を続け、オスカー受賞のために100億ウォン(約9億2800万円)超を投じた宣伝キャンペーンを展開した。「このように大きく貢献したのだから受賞の感想を述べる資格は十分ある」というのがCJ側の主張で、これに同意する人も少なくない。

 一方、貢献は認めるが、主人公のように前面に出るのはやり過ぎだという指摘もある。評論家のチョン・ジウク氏は「イ副会長は忠武路(チュンムロ、韓国映画産業の中心地)で公式の席に出たことは一度もない。しかし投資者は参加できないアカデミー賞の授賞式に、CPという聞き慣れない名前で前面に出てきたので首をかしげた」と話した。江南大学のカン・ユジョン教授も「イ副会長が韓国映画の発展に貢献してきたのは確かだが、最後まで見えざる手のように静かにいた方が良かったのでは」と語った。

 この場面が韓国映画界の光と影を示しているという意見もある。カン・ユジョン教授は「CJに代表される大企業の下への垂直系列化が韓国映画産業の高度成長の土台になったことは事実だ。しかし、それによって大作商業映画を中心に映画界がマンネリ化し、その副作用で『ポスト・ポン・ジュノ』となるべき才能ある新人が出にくい環境になった。このような功罪をすべて示した場面」だと述べた。

 この際、イ副会長が韓国映画のバランス発展に向けて積極的に行動すべきという要求も出ている。チョン・ジウク氏は「イ副会長が韓国映画界のために責任ある役割を果たすべき。独占寡占を解消し、独立映画を支援するなど具体的な実践をしてほしい」と訴えた。

ソ・ジョンミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/927859.html韓国語原文入力:2020-02-11 18:33
訳D.K

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