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「韓国の書院」ユネスコ世界遺産リストに登録

登録:2019-07-08 09:29 修正:2019-07-08 10:21
韓国の14番目の世界遺産に確定 
6日、世界遺産委員会で最終決定
今回ユネスコ世界遺産に登録された書院のうち建立年代が最も早い慶尚北道栄州の紹修書院。1543年、朝鮮最初の書院として建てられた//ハンギョレ新聞社

 朝鮮時代の国内各地に建てられた儒教の教育機関である「韓国の書院(Seowon、Korean Neo-Confucian Academies)」が韓国の14番目のユネスコ世界遺産になった。

 文化財庁は、先月30日からアゼルバイジャンの首都バクーで第43回会議を開いているユネスコ世界遺産委員会が6日夜(現地時間)、登載遺産の審議を行った結果、韓国政府が昨年申請した「韓国の書院」9カ所を世界遺産リストに掲載することに決定したと同日発表した。今回の登録決定で、韓国は1995年に慶尚北道慶州(キョンジュ)の石窟庵・仏国寺、慶尚南道陜川(ハプチョン)の海仁寺の蔵経板殿、ソウルの宗廟が初めてユネスコ世界遺産リストに掲載されて以来、24年間で14番目の世界遺産を持つことになった。また、昨年7月に登載された「山寺、韓国の山地僧院」に続いて2年連続で世界遺産をリストに載せた。

今月6日午後(現地時間)、アゼルバイジャンのバクーで行われた第43回世界遺産委員会で「韓国の書院」が世界遺産に登録され、チョン・ジェスク文化財庁長(前列左)とイ・ビョンヒョン駐ユネスコ韓国代表部大使(前列右)をはじめ関係者たちが喜んでいる=文化財庁提供//ハンギョレ新聞社

 「韓国の書院」は慶尚北道栄州(ヨンジュ)の紹修書院、安東(アンドン)の陶山・屏山書院、慶州の玉山書院と大邱達城(タルソン)の道東書院、慶尚南道咸陽(ハミャン)の南渓書院、全羅南道長城(チャンソン)の筆岩書院、全羅北道井邑(チョンウプ)の武城書院、忠清南道論山(ノンサン)の遯岩書院による連続遺産で、すべて国家史跡だ。世界遺産委員会は「今日まで韓国で教育と社会的慣習の形態で続いてきた性理学と関連した文化的伝統の証拠」とし、「性理学の概念が環境に合わせて変わるという歴史的過程をあらわしているという点で『卓越した普遍的価値』(OUV:Outstanding Universal Value)が認められる」と、登録の背景を説明した。

今月6日午後(現地時間)、アゼルバイジャンのバクーで行われた第43回世界遺産委員会で「韓国の書院」が世界遺産に登録され、書院の有司や関係者たちが喜んでいる=文化財庁提供//ハンギョレ新聞社

 「韓国の書院」は2011年に世界遺産暫定リストに登録された後、一度申請を撤回した末に再申請をするという紆余曲折を経た。政府は2015年1月に初めて登録申請書を出したが、翌年の世界遺産登録を審査するユネスコ諮問機関の国際記念物遺跡協議会(ICOMOS)が「差戻し」意見を出し、同年4月に登録申請を回収しなければならなかった。ICOMOS側は、当時差戻し意見を出し、屏山書院などの書院周辺の景観が登録申請書の遺産領域から外された点を指摘し、なぜ9カ所の書院だけを登録するのか明確な根拠を出すよう要求した。

 文化財庁と外交部はその後、専門家らの意見を収集し、類似した国内外の遺産と比較研究し、内容を補完した。9つの書院が16~17世紀に建てられた国内書院の始まりであり、基準になるような連続遺産の性格であることを強調した申込書を昨年1月に再び提出した。これに対しICOMOSは1年以上の調査を経て、今月5月に「登録勧告」意見を出したことで青信号が灯り、今回の世界遺産委員会の会議の決定で、8年余にわたった登録推進作業は実を結んで終えられた。文化財庁は「世界遺産委員会は、登録以降9つの書院に対する統合保存管理策を設けることを勧告した」とし、勧告事項の履行に向けて関連自治体などと引き続き協議すると明らかにした。

世界遺産リストに登録された陶山書院。内部の庭で先代の儒学者らに祭礼を捧げている様子//ハンギョレ新聞社

 書院は16世紀半ばから17世紀まで、地方知識人たちが朝鮮王朝の支配的な理念である性理学をはじめとする儒学を教えるために建てた教育機関だ。性理学的な知識人を育て、地域の主要な儒学者を祭祀(チェサ)で祀ることで地域学派を形成し、地域社会の公論を集め郷村の人々を教化する役割も果たした。

 特に、今回登録された書院9カ所は朝鮮性理学の教育機関の典型として書院の特徴と価値を保存してきた。建設年代を見ると、1543年に朝鮮最初の書院として建てられた栄州の紹修書院を筆頭に、南渓書院(1552年に建立)、玉山書院(1573年に建立)、陶山書院(1574年に建立)、筆岩書院(1590年に建立)、道東書院(1605年に建立)、屏山書院(1613年に建立)、武城書院(1615年に建立)、遯岩書院(1634年に建立)の順に続く16世紀序盤から17世紀初めまでの書院だ。

全羅北道地域の代表的な朝鮮時代の書院である武城書院の境内の様子//ハンギョレ新聞社

 紹修書院はこの地に一番最初に建てられた書院だ。学問を磨き研究する講学と、地域の偉大な学者を称える「祭郷(祭祀)」に関する規定を初めて定立し、後代の書院に大きな影響を与えた。続いて朝鮮に二番目に建てられた南渓書院は、地域の士林(社会・政治を主導した勢力)らが単独で建てた最初の書院遺産であり、韓国の書院建築の定型的な軸線と配置方式が初めて登場した典範になる。書院にはじめて板の間をつけてその後一般的な様式として流行させた玉山書院、学問と学派の中心機構として書院を位置づけた陶山書院、士人の活動の中心地だった屏山書院、性理学の実践理論である礼学を完成させた拠点として評価される遯岩書院なども、歴史的意味の大きい書院遺産として挙げられている。

文=ノ・ヒョンソク記者 写真=文化財庁提供 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/900741.html韓国語原文入力:2019-07-06 23:07
訳M.C

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