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着実に積んだ最下位チームでの5年…世界をつかんだチョ・ヒョヌの「磁石の手」

登録:2018-06-29 09:06 修正:2018-06-29 09:43
FIFA、ドイツ戦最優秀選手に選定 
かろうじて1部リーグの最下位・大邱FCで活躍 
まじめで厳しい訓練が専売特許 
シン・テヨン監督のサプライズカードで登場 
ファン「ヨーロッパの舞台で見たい」熱望
チョ・ヒョヌが今月28日(韓国時間)、ロシア・カザンアリーナで行われた2018ロシアワールドカップFグループ別リーグ3回戦の韓国対ドイツの試合で2-0で勝つと、両腕を広げて歓呼している=カザン/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 ワールドカップは「一世一代の試合」に他ならなかった。世界1位のドイツを破るのに、彼は決定的な善戦を果たした。試合後、守備手たちは「君のおかげで勝った」と誉めた。だが、いざ本人は「自分はまだ1番のゴールキーパーとして考えたことがない」と謙遜した。彼はまだ頂点を極めていないのだろうか。

 韓国サッカー代表チームのゴールキーパー、チョ・ヒョヌ(27・大邱FC)が28日(韓国時間)、ドイツとの試合(2-0勝)を通じて国際的スターの誕生を知らせた。ドイツの攻撃陣は26本のシュートを浴びせたが、ゴールポスト内に入ってきた6回の脅威的なシュートはすべて彼の“蜘蛛の手”にかかった。英国のBBCはチョ・ヒョヌに両チーム合わせて最も高い評点8.85をつけ、国際サッカー連盟(FIFA)は彼を試合の最優秀選手(MOM)に選んだ。

 背が高くてやせた体型がマンチェスター・ユナイテッドのゴールキーパー、ダビド・デ・ヘアと似ており、「テヘア」(大邱(テグ)のデヘア)と呼ばれる彼に、競技場ミックストゾーン(共同取材エリア)で会った。危なかった瞬間を聞くと、彼は後半3分のレオン・ゴレツカのヘディングシュートを挙げた。「体を飛ばして指先で跳ね飛ばしたが、それが失点だったら本当に大変だった」。単に運が良くてゴレツカのシュートを防いだのではない。彼は「これまでビデオ分析を通じて、クロスがどの地点から来て、ヘディングをどこで打つかを分かっていた」と説明した。

 誠実さは彼のトレードマークだ。1メートル89センチ、75キロのすらりとした体を維持する彼は「一日も欠かさずジムで補強トレーニングを行う」と話した。トレーニングの時は厳しい。彼は「本運動の時にゴールを入れられると、まるで実戦でゴールを入れられたよう悔しくなる。でも、実際の試合ではすべてを下ろして楽な気持ちでいる」と語った。

 本番では変わる。「他の人は分からない。私は幼い時からサッカーが面白くて楽しくて、気楽にやりたかった。そのようにリラックスしたらいいプレーができるようだ」。勝負に執着する韓国のサッカー環境で、彼は“突然変異”だ。

 2013年のドラフト1位で大邱に入団した彼は、所属チームが2部リーグを転々とし、今シーズンの1部リーグでも最下位チームだ。しかし彼は「鶏群の一鶴」といえる。3年連続でベストゴールキーパーに選ばれた。2015年にはウリ・シュティーリケ監督の代表チームに呼ばれたが、Aマッチデビュー戦は2年後の2017年11月、セルビア戦で実現した。

 その後、彼に注目した代表チームのシン・テヨン監督は、ワールドカップFグループの初戦(スウェーデン戦)の直前に、彼を主力のゴールキーパーに指名した。チョ・ヒョヌは「練習期間中ずっと知らなかったし、試合当日のミーティングが終わった時に初めて知った。監督は何を考えているのか本当に分からない」と話した。

 ワールドカップのように大きい舞台で、Aマッチ6試合に出場した初心者を投入したのは冒険だった。ドイツ戦を控えて「おじけづき、怖くもなった」と吐露した。しかし、生まれもっての反射神経と長い腕、スプリングの弾力を備えた彼は、機会を逃さなかった。スウェーデンのアンドレアス・グランノルドクビストにペナルティーキックを取られた後、彼は「8年前から彼のペナルティーキックの映像を何度も見た。確率を信じて飛んだが、彼は反対にボールを蹴った」と悔しがった。

 ライバルでありゴールキーパーの先輩であるキム・ジンヒョン(31・セレッソ大阪)とキム・スンギュ(28・ヴィッセル神戸)の二人のアドバイスは大きな力になった。彼は「ドイツ戦が終わると、2人の先輩が走ってきて『お前、かっこいいぞ』『本当によくやった』と言ってくれた。一方では申し訳なかったが、嬉しかった」と笑った。

 ワールドカップ舞台の善戦で彼のヨーロッパへの進出を希望するコメントが上がっている。しかし、彼は兵役を終えなければならない。8月のジャカルタ‐パレンバンアジア大会でソン・フンミン(トッテナム)とともにワイルドカードで出場すれば韓国チームの戦力が補強され、金メダルを取れば兵役で恩恵が与えられる。

 彼のヘアスタイルが気になった。彼は「デ・ヘアの髪型をまねたのではない。いろいろなスタイルの中から妻が選んでくれたもの」と明かした。人気を得ただけに、家族が悪質なコメントに悩まされる時は胸が痛いという。彼は「妻が外に出ると気がつく人がいるというので、自分が有名になったんだなと思う。すべてがファンの関心だと思う。私の任務は代表チームで闘魂を尽くしてプレーすること」と語った。

カザン/キム・チャングム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/soccer/851095.html韓国語原文入力:2018-06-28 23:24
訳M.C

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