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20年がかりの修理補修…弥勒寺跡に西塔が帰ってきた

登録:2018-06-20 22:45 修正:2018-06-21 08:01
東アジア最大・最高齢の百済石塔 
100トン超えるコンクリートを一つずつ引き剥がし 
かつての部材活用し輪郭線復元など 
20年かけた“修理補修大長征”終わる
今春までに復元の全工程を事実上終えた益山の弥勒寺址の石塔の北東側面の姿。いよいよ覆いを取り外し完全な姿を現わす作業だけが残った=国立文化財研究所提供//ハンギョレ新聞社

 巨大な覆いの中に入ると、目の前に薄く着色された当時の石と白い鳥石がモザイクのように組み合わされた古の塔の新しい姿が現れた。東アジアで最も大きく古い石塔として知られる1400年前の百済、弥勒寺(ミルクサ)址の西塔(国宝11号)の修理された姿は、新たに積んだ要塞や城壁を思わせた。

 20日午前、全羅北道益山市(イクサンシ)金馬面(クムマミョン)の弥勒山麓にある弥勒寺址西塔修理復元現場は、駆けつけた取材陣で混みあっていた。韓国の単一文化財修理工事としては最も長い20年間にわたり塔の“補修整備事業”を行ってきた国立文化財研究所は、この日最終成果を報告する説明会を開き、今春に修理を終えた塔を公開した。

 公開された塔の細部を見れば、下方に新しい新材が多く使われていることが分かる。基壇部の甲石は新材を使い新しく作られ、1階、2階の屋蓋石(屋根石)と屋蓋の支え石も相当数が新材で補充された。100トンを超えるコンクリート塊を一つずつ引き剥がすのに3年以上かかったという西側の傾斜面は、新材と当時の部材を半分程度ずつ混ぜて積み、城壁形に斜面の輪郭線を復元した。10年余りにわたり事業を進めたパク・ヒョンヨン学芸士は「過去の部材リサイクル率を80%まで上げたが、安定性を確保するために新材で基壇部側に新たな構造物を作り詰め込んだので、実際には過去の部材と新材の比率が65対35になり、新材がやや目立っている」と説明した。

ペ・ビョンソン石塔補修整備団長が益山の弥勒寺西塔の前で基壇部を指して取材陣に説明している=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 7世紀前半の百済武王の時に建てられた弥勒寺址の西塔は、1672個の部材で構成された高さ14.5メートルの塔だ。内側に傾いた礎石柱と柱の間をつなぐ水平部材である引枋など、百済木造建築の仕組みと築造技法が石塔に反映された独特の様式を帯びている。朝鮮末期以来、半分程度が崩れたまま6階の一部まで残っていたが、1915年に日本人たちが崩壊した西側傾斜面にコンクリートを塗り重ねて補強した状態で約90年を耐えた。

修理前の弥勒寺址石塔の南東側の姿=国立文化財研究所提供//ハンギョレ新聞社

 1998年の安全診断の結果、コンクリートが老朽化し塔の構造的不安定により崩壊の恐れがあると指摘され、1999年に文化財委員会が解体修理を決定した。これに伴い、2001年から国立文化財研究所が解体・発掘調査を始めた。特に2009年には、石塔1階の一番目の心柱石の穴から、百済武王時代の639年に大臣だった沙宅積徳の娘である王后の願いで建設したという発願文と、舎利を奉安した容器である金属製の舎利壮厳具が発見され、国民的関心を集めた。研究所は、修理期間を通して学術・技術研究、構造補強、および保存処理作業を行い、2013年から再組立工事に入り、2017年12月に残った6階までのすべての組立工程を終わらせた。本来は2008年までに解体および復元を完了する計画だったが、10年以上工期が延びた。解体の過程で、百済時代の原形は基壇部と1,2階程度だけが残っており、残りは雷や風化などで崩壊が繰り返されて原形を喪失しながらかろうじて塔形を維持してきた事実が判明し、修理範囲をめぐり多くの論議が起きたためだ。工事費用も、当初は80億ウォン(約8億円)だったが、考証研究の範囲が広くなり、部材接合、新材料などの修理技術を開発するなどの変数が生じ、結局230億ウォン(約23億円)かかった。

 20年かかった弥勒寺塔補修整備事業は、韓国の単一文化財修理工程としては最長期間の記録を立てた。研究所側は「調査および修理過程を緻密に進め、国内外の石造文化財修理の新たな基準を立てた。本来の部材を最大限に再使用し、文化財の真正性を確保しながら、科学的研究で構造的安定性を確保した点も意味が大きい」と評価した。

 修理現場は7月中旬まで公開される予定だ。7月末からは塔を囲む覆いなど、仮設構造物の撤去作業に入る。周辺の整備まで終わる12月には復元された石塔の完全な姿が現れると見られる。ペ・ビョンソン石塔補修整備団長は「武王の王后が639年に西塔に舎利を奉安してから1380周年になる来年3月12日に石塔修理竣工式を開く計画」と明らかにした。

益山/ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/849916.html韓国語原文入力:2018-06-20 17:34
訳J.S

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