登録 : 2015.12.15 03:05 修正 : 2015.12.15 05:59

岩井俊二監督「脚を引きずりながら歩く馬、それが今の日本」

岩井俊二監督=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
 「例えるなら、今の日本は大きな傷を負った馬のようだ。ここ4年間、力を振り絞って立ち上がろうとしたが、脚を引きずりながら歩くのがやっとだった」。「岩井俊二企画展 - あなたが憶えている初めてのときめき」に出席するため、11日に韓国を訪れた岩井俊二監督(52)は、日本社会が抱えている危機意識に触れながら、声を高めた。

叙情的な映画の世界20日まで上映 
その中心には日本社会への批判が 
2011年福島を取り上げたドキュメンタリーも 
「まだ韓国にはちゃんと紹介されていない... 
私の考えの根底にあるものを、ぜひ見てもらいたい」

 映画『ラブレター(Love Letter)』(1995)、『四月物語』(1998)、『花とアリス』 (2004)など、絵画のような映像で初恋の淡い叙情を描いてきた彼の映画の世界を「岩井ワールド」という。ところが、その岩井ワールドの中心には、日本社会に対する監督の冷徹な批判意識が横たわっている。2011年ドキュメンタリー『フレンズ・アフター(friends after) 3.11』を発表した彼は、「津波が来たら水没せざるを得ない地域に住んでいながら、そこから離れたり、逃げられない人たちがいる。それでも日本政府は原発を放棄していない。先日、福島原発の隣接地域には新たに学校までできた。このような奇妙なことが起きている社会で生き残らなければならない人たちが日本国民」だとし、「映画人として、作家として、やるべきことがたくさんあると思っている。伝えなければならないことが非常に多い」と話した。

 1999年、釜山国際映画祭に招待され、初めて韓国を訪れた際の記者会見で、彼が「私の映画は、社会的なメッセージではなく、楽しみを追求したもの」と述べたことから考えると、大きな変化だ。しかし、その表現方法はあくまでも「岩井ワールド」らしいものになりそうだ。昨年、彼が制作と脚本を務めたドラマ『なぞの転校生』は、滅亡という恐怖に直面した少年を、暖かい視線で見つめたものだった。来年封切りを控えた新しい映画『リップヴァンウィンクルの花嫁 』も現在の日本を舞台に生きていくヒロインの波瀾万丈な人生を描いているが、大地震や災害が直接登場するわけではないという。

 精神病院に入院した少女を描く『PiCNiC』や初恋の相手を追って大学に進学したヒロインが登場する『四月物語』など、作品の中の主人公は主に女性だった。今年5月に公開された『花とアリス殺人事件』は、2004年に公開された映画『花とアリス』の中の主人公たちの高校時代の話を監督が直接アニメ化したものだ。彼の映画の中の主人公のほとんどが、まだ成長期の少年や少女たちなのは、(周りから)離脱した者や周辺の人たちの情緒を描いてきた監督の作品世界と深く関わっている。彼は「私は主に孤立した人間を描くが、健康な普通の男性からは、なんとなくグループ化されたイメージしか思い浮かばない。社会や集団を離れて、完全に個人に戻った男性を想像するのは難しい」と話した。

 日本の大衆文化が開放された当時、韓国人の心を最初に掴んだ日本の監督でもある、彼の12本の映画を上映する今回の企画展のチケットは、あっという間に売り切れた。長い間、彼は自分の作品の中で『リリイ・シュシュのすべて』が最もお気に入りだと言ったことで知られているが、今回のインタビューでは、「私の心は常に現在に向けられているため、今は新作『リプベンウィンクルの花嫁』が最も大切な作品」と話した。

 しかし、今回の企画展で彼が韓国の観客たちにぜひ見てもらいたいと思っている作品はドキュメンタリーだ。「『市川崑物語』と『friends after 3.11』はまだ韓国ではちゃんと紹介されたことのないドキュメンタリーであり、私の考えの根源にあるものでもある。ぜひ韓国の観客に見てもらいたい」。企画展は、10〜20日、ソウル銅雀区アートナインで開かれる。

ナム・ウンジュ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-14 19:31

http://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/721782.html訳H.J

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