登録 : 2015.10.06 11:01 修正 : 2015.10.11 16:00

懐かしくも辛い思いを込めた歌と踊り

3日、ロシアのサハリン州ユジノサハリンスク市内の韓国人文化センターで生徒が小鼓舞を披露している=ソン・ジュンヒョン記者//ハンギョレ新聞社
 79歳のイ・ボクスンさんは今も10代の娘の歌声を保つ。とてもきれいで物悲しい。「異郷暮らし何年目、指折り数えてみれば、故郷を離れた十数年に青春だけ過ぎ去り~」。そこにいたチョン・チェリョンさん(84)、イム・ジョンジャさん(80)、キム・チュンギョンさん(76)、イ・ジェファさん(76)、マ・テスンさん(75)、キム・ジョンヒさん(74)、コ・ヘンジャさん(69)も心の中で合わせて歌った。

 お婆さんたちはいずれもロシアのサハリン州ユジノサハルリンスク市にあるムクゲ合唱団員だ。毎週土曜日に2時間ずつ練習し、市創立日、父母の日、名節の時に自慢の歌声を披露する。8人のうち7人が在サハリン韓人1世。1945年8月15日以前から暮らしてきた人たちだ。日帝の強制徴用などで敗戦前に日本の領土だった南サハリンに連れてこられた人とその子供である。望郷の思いを募らせたまま70年の歳月が流れ、強制徴用と離散の痛みは今も続いている。故国行きを夢見ているが、1世しか受け入れない韓国の姿勢は変わらない。

 そんななかで韓人の1~2世は民謡や大衆歌謡を楽しんでいる。民族教育が廃止された後、3~4世は韓国語のほか歌や踊りを韓国人文化センターで習わねばならなくなった。ところが、思いのほか伝統文化に関心を持つ4世が多かった。問題は伝統芸術を習ったところで韓国人の劇場や劇団がなく、舞台に立つ機会がないことにある。悩みの種だ。4世のうち10代はサムルノリのリズムに熱中しながら「エクソ」や「アイユ」などKポップにも熱狂する。光復(解放)70年、離散70年を迎え、サハリンの韓人1~4世の人生と彼らの中にある韓国の歌と踊りを見て来た。1~2世はほとんど直接インタビューできたし、3~4世は通訳を通して尋ねることができた。

■ 民族学校がなくなり一時沈滞 韓国教育院ができて再び活気

韓人1世のキム・チュンギョンさん=ソン・ジュンヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 ムクゲ合唱団を指揮するキム・チュンギョンさんは、1944年に父親について日本の北海道からサハリンに渡ってきた。師範学校を出た共産党員出身で、サハリン州党機関紙『レーニンの道に』(新高麗新聞の前身)で幹部を務めた。旧ソ連政府が建てた造船所学校で。韓国語、愛国歌(韓国国歌)、アリランを習った。

 だが1960年代初め、民族教育の求心点で最後に残った朝鮮中学校が閉鎖された。理由は二つあった。一つはフルシチョフ書記長が「ロシア語単一教育」を打ち出し民族学教を廃校にさせたこと。もう一つは「ロシア語を外国語でなく母国語として学ばせたい」という親の要請だった。「民族音楽ができる楽団や劇場もなくなり、1960年代末には学校もなくなりました。1960年代末から1990年代初めは『サハリン韓人文化の沈滞期』でした」。キムさんはこう語り、「1993年にサハリン韓国教育院ができた後、伝統の踊りと歌も徐々に普及し始めました」と説明した。キムさんは韓国人文化センターで幼児教室とお年寄りの教室講師を担っている。

■ 父に国に帰るよう言われたけど、韓国は2世の永住帰国を認めない

韓人2世のパク・ヨンジャさん=ソン・ジュンヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 韓人2世のパク・ヨンジャさん(64)の父は全羅南道新安(シンアン)郡荷衣島(ハイド)出身。「お父さんは『おまえは必ず祖国に戻って暮らしなさい』と言いました。でもロシア人たちは、『日本人、ユダヤ人、ドイツ人は5世でも6世でも自分のルーツさえあれば連れて行くのに、韓国はなぜ1世と2世を分けるのか、なぜ永住帰国できないようにするのか」と私に尋ねます。韓国政府は1世本人の永住帰国しか受けつけません。2~3世と離れられず帰国しない1世がほとんどです」

 パクさんは6歳の時に北朝鮮映画『沈清(シムチョン)』で水の中から聞こえてくる伽耶琴の音色を聞き惚れ込んでしまった。そんな音楽を聞いて育ったものの、民族学教が廃校になり、自分たちの伝統の踊りや音楽を習う機会を失った。2004年、韓国から訪れた僧侶が踊る“立舞”を見て、あまりの美しさに「絶対習う」と心に決める。2007年に韓国人文化センターがオープンし、韓国からきた先生に立舞、扇舞、アリラン舞、鼓、伽耶琴、25弦伽耶琴、珍道(チンド)アリランを習った。そして今年2月に「アリラン伝統舞踊チーム」を結成させ8分のアリラン舞を振りつけた。

■ 韓国芸術を教えても正月の舞台がない…韓国劇場が必要

韓人3世のキム・イェプゲニアさん=ソン・ジュンヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 韓人3世のキム・イェプゲニアさん(42)は芸術学校で伝統舞踊を教える。8~15歳の8年過程のこの学校には、ロシア民俗課と韓民族文化芸術課がある。一般学校に通う生徒たちは1週間に3~5回、ここで伝統芸術を習う。韓民族文化芸術科は今年で20周年を迎えた。昨年はソチ冬季オリンピックの文化イベントに招請され韓国音楽を演奏した。伝統の踊りは北朝鮮の影響が強い。越北した舞踊家のチェ・スンヒが教えたチェンガン舞と牙拍舞、扇舞、軽鼓舞などを習う。サムルノリ、伽耶琴、短簫など器楽と民謡中心で、今年からKポップまで広げた声楽部分もある。

 この学校はサハリンで韓国伝統文化を継続する“生命線”だ。キムさんは9歳の時に踊りを習い始めた。踊りも見ていないのに韓国歌だけを聞いて踊りたくなったと言う。彼女はこう話す。「韓国語を話す国に行って出演もして、専門家の踊りをさらに見てみたいです。エトゥノス芸術学教で残念なことといえば、勉強を終えても正月の晴れ舞台がないということです。韓国劇場があればいいのだけど」

■ 韓国でサムルノリを習いたいけどKポップも好き

左から4世のソン・アリクさん、キム・アリナさん=ソン・ジュンヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 韓人4世ソン・アリクさん(24、ソン・チョンソク)は、2006年に韓国文化芸術委員会が派遣したモク・ジノ先生からサムルノリを習った。シン・インガさん(24)らと「空のサムルノリチーム」を結成したが、モク先生が帰国した後は解散してしまった。アルリクさんも3~4年間はサムルノリを諦めざるを得なかった。2012年末に再び結成された空のサムルノリチームは、専門演奏チーム3人(シン・インガ、パク・イラ、ソン・アルリク)と11~15歳の青少年チーム14人となった。

 アリリクさんの韓国に対する立場は明確だ。「ロシアで暮らしながらサムルノリもこの地で発展させ、韓国では学び遊んでみたいです」。韓人4世のキム・アリナさん(16)は空のサムルノリチームで鼓を習って1年になる。鼓と同様に好きなのがKポップだ。なかでもアイユ、エイリー、ヘンリー、ビースト、2PMを好きらしい。「ヘンリーの『トラップ』が好きで、声がとてもきれい」。空のサムルノリチームの女子生徒はほとんどがエクソが好きなのだという。でも男子生徒はあまりKポップには興味がないらしい。

ユジノサハルリンスク/ソン・ジュンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-05 15:07

http://www.hani.co.kr/arti/culture/music/711337.html訳Y.B

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