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[インタビュー]「韓国でも消費者コンテンツで“メディア民主化”が進行中のようだ」

登録:2015-02-26 21:10 修正:2015-02-27 06:43
ハフィントンポスト最高経営者 ジミー・メイマン
ジミー・メイマン ハフィントンポスト最高経営者。 写真シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ハフィントンポストの最高経営者(CEO)ジミー・メイマン(44・写真)が、ハフィントンポスト・コリア創刊1周年を迎え韓国を訪れた。 彼はハフィントンポスト・メディアグループの会長であるアリアナ・ハフィントンに次ぐグループのナンバー2だ。 ハフィントンポストは米ニューヨーク・タイムズ紙のオンライン訪問者を超えるなど、オンラインメディア部門の強者に位置し、昨年2月にはハンギョレと手を握りハフィントンポスト・コリアを創刊した。25日、ソウル孔徳(コンドク)洞のハンギョレ新聞社で彼に会った。

 デンマーク出身のメイマンは25歳までハンドボール選手としても活躍した。 大学で経済学を専攻し、英国のロンドンビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得した後「GO VIRAL」というオンライン動画流通会社を設立させ、オンライン ビジネス業界に足を踏み入れた。その後、同社はアメリカオンライン(AOL)に9670万ドル(韓貨約1060億ウォン)で売却された。 2012年にはハフィントンポスト最高経営者になった。

 ハフィントン・コリア創刊1周年 1年ぶりの訪韓
 ブロガーなどオピニオンリーダーの参加のおかげ
 韓国人の声・関心事の把握で成果
 「紙新聞からモバイルへ」冷徹な現実
 「記事アップロード後の読者との疎通」が一層重要
 「変化を恐れず革新的思考をしなさい」

-ハフィントンポスト・コリアがスタートから1年で大きな成果を上げている。

 「ハフィントンポストはグローバル モデルだが、世界各国(14カ国)の文化的差異を把握するために努力している。過去1年間、韓国人の声が何か、韓国人がどういう部分に関心があるかを把握するために努力してきた。 そこへ有名ブロガーなどのオピニオンリーダーが参加し、討論を引き出していることが功を奏したようだ」

-1年前にも訪韓した。韓国のメディア環境の変化が感じられるか?

 「韓国でもメディアの消費パターンが急激に変わっている。社会関係網サービス(SNS)の急成長が主な原因と見られる。 過去のメディアによる一方的な提供から消費者が自らコンテンツを生産する“メディア民主化”が進んでいる」

-報道機関がニューメディアに投資することは容易でない状況だ。環境変化への適応と収益という二匹のウサギを共に捉えるために悩みが多い。

 「今は投資をするかやめるかを悩む時ではない。 メディアの変化という流れに乗らなければならない。 既存メディアの影響力はますます下がり、広告主はこれを明確に知っている。 黙って見守ってばかりいればメディアの影響力と収益が同時に減る悪循環に陥るだろう。 一日も早く変化した環境に相応しいコンテンツを生産しなければならない。 収益に結びつけることはその後に悩む問題だ」

-今後メディア産業がどのように変化すると展望するか?

 「大きな変化(Big shift)はモバイル化だ。インターネットがデスクトップからモバイルに急激に移動中だ。 モバイルに相応しいコンテンツの生産が急務だ。 新聞記事をそのままオンラインに移すことは失敗だったと私たちは理解している。 モバイル化はニュース消費者の消費形態自体を変えている。 記事の内容、ヘッドライン、写真、収益構造など、すべての方式をモバイルに合わせてアプローチしなければならない」

-ニューヨークタイムズやBBCのような伝統的メディアが最近革新報告書を出すなど、変化に努めている。

 「私も読んだ。 報告書がハフィントンポストを大きく取り上げていたよ。(笑) 150年の歴史を持つニューヨークタイムズだが、15年後にはなくなるかもしれない。 それが現在のメディア業界の冷徹な現実だ。 ニューヨークタイムズの記者は記事をアップロードすれば仕事が終わるが、ハフィントンポストの記者はアップロードした後に本格的に仕事が始まる。 読者の反応をチェックし続け、結果をデスクらと討論して修正を繰り返す。 簡単に言えば私たちは敏捷だ。 伝統的メディアもこのような点を見習わなければならない」

-ハフィントンポストの成功も驚くべきことだが、『BuzzFeed』や『Quartz』のような新生競争メディアの成長にも驚いている。 ハフィントンポストならではの強みは何か?

 「既存メディアの慣習に縛られず変化に素早く適応できることが第一の強みだ。第二は技術力だ。 読者のニュース消費形態を分析したビッグデータを通じてコンテンツを生産し配列する。 ヘッドラインの選定とニュースの配置もこのデータに基づいている。 第三に、私たちはニュースサイトではなく、読者が参加し共有するプラットホームだという点が他のサイトとの違いだ」

-ハフィントンポストがたくさん生産する“リスティクル”(Listicle)記事に対して『ジャーナリズムではない』という指摘まである。(リスティクルはリストと記事articleの合成語で、「あなたが今度の夏期休暇に行かなければならない10カ所」のような記事)

 「私たちの長所は読者が何を望んでいるかをデータを通じて把握していることだ。私たちは全世界1億人の読者からデータを得ている。 もちろん“オバマのこと”(政治ニュースを意味する)もニュースとして価値があるが、読者の生活と関連した柔らかい記事にも意味がある。両側のバランスを取るために努力している」

-ハフィントンポストは今後どのように育ててゆくつもりか?

 「私たちは安住しない。 今後一日8時間以上動画ニュースを提供するサービスと、モバイル利用者に最適化されたニュース“体験”を提供するための技術開発に努めている」

-韓国の報道機関に対する助言があれば?

 「変化を恐れるな。そして革新的に思考しなさい」

イ・ジョングク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/679902.html 韓国語原文入力:2015/02/26 19:22
訳J.S(2610字)

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