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[ルポ] 高まるSNS疲労感…「我タグされる、ゆえに我あり」

登録:2015-01-22 12:26 修正:2015-01-24 20:35
望まないのに公開されるタグ付け問題ますます深刻に
地下鉄でスマートフォンを見ている人たち。キム・ミョンジン記者 //ハンギョレ新聞社

 「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でストレスを感じるのはいつか」と尋ねると、四方八方から激烈な理由が寄せられた。「部長と義母が相次いでカカオストーリーで友達の申請をしてきたんです」。「よく知りもしない人たちが私をタグして文を載せる時」。「自己誇示欲に満ちた人たちなんか見たくありません!」。「ツイッターで女性嫌悪主義者と非難されています」。

 2004年に始まったフェイスブックを基準にすれば、SNSが誕生して10年が過ぎた。個人のコンピュータ基盤のサービスから始まったが、スマートフォン時代に入り使用者数は爆発的に増加した。昨年は全世界で13億人、韓国だけでも1400万人が一月に1回以上フェイスブックを使っている。韓国人の4人のうち1人が使う疎通サービスである。より多くの人が使うようになり彼らを繋げるSNSの魅力は大きくなった。と同時に疲労感を呼び起こすストレスの要因も増えた。

 “SNS疲労感”はツイッターやフェイスブックなどのSNSがスマートフォンと結合して爆発的な人気を享受した2010年以後、国内外の様々な論文のテーマにされてきた。情報過負荷(常に確認することになる)、私生活侵害、機会費用(投資した時間に比べ得るものが少ない)、評判管理(他人に自分が否定的な評価をされるのが怖い)問題を主に扱った。

 最近の流れを一言で表現すれば“疲労感の細分化”だ。新しいSNSが次から次と登場し、使用者もSNSの各種設定を変更しながら「どれくらい閉鎖的に運営すべきか」自ら決めている。フェイスブック利用者といっても小規模の友達と繋がるだけの閉鎖的な運営をする人がいれば、最初から“全公開”で運営する人もいる。利用するサービスにより、運営方式で疲労感の種類と強度は千差万別だ。

SNS疲労感が脱SNSにつながるか
専門家はそうならないと答える
結局こうした疲労感は
世間との関係維持のため
努力から発生する感情による

 最近多くの人が最も疲労感を訴えるのは“無分別なタグ”だ。フェイスブックは2005年10月、誰もが文だけでなく写真も簡単に載せられるようにシステムを変え、写真の中の人物が誰なのか本人のフェイスブックにリンクできる“タグ”機能を追加した。誰かが自分をタグして掲示物を載せた瞬間、本人が隠しておきたい私生活も、人脈も、変な顔もそのまま公開される。

 「妻にたばこをやめたといってあり、その日の夕食を約束してあった友達には仕事が忙しいので延期しようと伝えてありました。ところが、仕事が終わってちょっと立ち寄った他の酒の席でたばこを吸う姿を誰かに撮られ、フェイスブックに私の名前までタグされていたんです。妻や友達にどれほどひどい目にあったことか」。切実でありふれた被害例だ。

 だからフェイスブックは「設定」に「タイムラインとタグ付け」設定を設けた。「私をタグした掲示物がタイムラインに表示される前に、「検討されますか?」を“オン”状態にして、「私のタイムラインにある私がタグされた写真を見ることができる人」に「私だけ見る」を選択し積極的に防御しなくては私生活侵害は防ぐことができない。

 “自己誇示”の強い文に対する疲労感は、ほとんどすべてのSNS利用者に現れる。内容は少しずつ異なる。カカオトークを基盤とした閉鎖型SNSの形態を備えた「カカオストーリー」は“母親たちのSNS”としても言われる。そこには子供の写真や幸せな家族の写真が多く載る。電話番号登録をするカカオトークをサービス基盤としているので、夫の親族を意識せざるを得ない“嫁”も多い。“ママコミュニティ”の特性上、お互いに優しいコメントをしなければならない“感情労働”も最も激しい部類に入る。

 「カカオストーリーを止めて写真管理だけのために非公開のミニホームページ『サイ』を再び始めた」という人も最近増えている。2011年に掲示物の全公開が41%、親しい人だけに公開が40%だったミニホームページのサイは、2014年現在49%が非公開に変わっている。加入者数も1年間に110万人増えたという。

 論争が最も盛んなSNSの「ツイッター」は“認められたい欲求”や政治的傾向が現れだし負担や幻滅を感じる人が多い。フォロワー数やリツイート数で影響力が決められ“パワーツイッターライン”の順位まで決められるため、ツイッターというSNS空間自体が一つのイシューとなることが多い。「従北」などの単語を使う“攻撃者”が度々登場する空間でもある。自浄能力があっても論争中に傷つく人も少なくない。

 うつ病指向が高かったり自尊感が低いほど、こうした疲労感をより大きく感じることがある。ソウルサイバー大学校のイ・ウギョン相談心理学科教授は「心理相談をする患者の中に、誰も自分の文に“いいね”を押してくれないと憂鬱になったり、コメントが多いと幸せになるなどSNSに一喜一憂する人が増えている」とし、「自尊感が低い人ほどSNSの関係の中で傷つく可能性が高い」と話した。孤独な人ほどSNSにより多くの私生活を露出してしまうというオーストラリアのチャールズ・スタート大学の昨年の研究結果もある。

 SNS疲労感は脱SNS現象をもたらすか?多くの専門家は「そうならない」と答える。フェイスブックを含めSNS利用者数は着実に増加している。結局、こうした疲労感はSNSの世界での関係維持のための努力から発生する感情であることが多い。そしてほとんどの人が「疲れる」と言った後で再びSNSに接続する確率のほうが高い。

イム・ジソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.01.21 20:45

https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/674704.html 訳Y.B

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