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[土曜版]‘読む面白味’で勝負…韓国・中央・京郷・国民 後に続く

原文入力:2012/07/20 20:35(4058字)

ハンギョレ1月28日初の試み、その後に大勢となった土曜版発行
新しい形式に高級コンテンツ装着‘話’のある息の長い記事
雑誌形態の新聞として再誕生
大学生など若年層の "新聞は退屈だ" という認識を破る

読者により近づこう

 土曜版。2012年1月28日<ハンギョレ>が1面表題横に赤色の三文字‘土曜版’を刻み込む以前まで、韓国新聞業界には存在しなかった用語だ。 ハンギョレが言論界内外の期待と憂慮の中で土曜日の新聞を新しく出して6ヶ月、土曜版はこの日に発行される総合日刊紙の‘業界標準’に位置している。 21日現在、土曜版を出している新聞はハンギョレと<韓国日報>・<中央日報>・<京郷新聞>・<国民日報>などだ。 これらの土曜版は各自の方式で今まで新聞では見ることができなかった息の長い記事および企画物をリリースして新聞読者の‘読む楽しみ’に責任を負っている。

韓国 H, 中央 Saturday, 国民 K…

 土曜版を最初にリリースした新聞はハンギョレだった。 去る1月28日、土曜版1号1面からハンギョレは全面のほとんど半分を占める大きさの写真と記事を‘カバーストーリー’の名前で送りだした。 世界的な作曲家、故ユン・イサン氏の行跡論難を扱ったカバーストーリー(‘スパイのレッテル貼り遊びはやめよう’)は1面では終わらず3面と4面につながった。 強烈なイメージの写真を1面冒頭に掲げた果敢な編集と3面のほとんど全体を占めるイ・スジャ氏(ユン・イサン氏の夫人)単独インタビューなど深みのある内容、200字詰め原稿用紙基準で30~40枚に及ぶ記事分量などは過去の新聞では見いだし難い破格だった。 企画性カバーストーリーに集中する代わりに製作当日に発生したニュースは5面から8面まで続く‘今日’面に圧縮して載せた。

 ハンギョレ土曜版は単純な情報でなく‘話’を入れようと考えた。 現場の声にもっと耳を傾ける‘ルポ’、事件・現象の裏面まで探索してみる‘ニュース分析 なぜ?’というハンギョレ土曜版が新たに用意したコンテンツであった。 事実関係を並列的にならべる‘長い記事’ではなく、ナレーティブ(叙事)が生きている紙面、‘家族’と‘生命’は既存新聞ではほとんど扱われなかったり、あるいは小さく扱われた家族の日常と動物の暮らしを本格的に扱って斬新だという評価を受けた。

 各界の専門家に紙面を開放したこともハンギョレ土曜版の特徴だった。 大型の事件・事故のかくされた話を暴いた‘キム・ヒョンテ弁護士の備忘録’と1970年代維新体制の醜悪な姿を告発した‘ハン・ホングの維新と今日’、深層インタビュー記事である‘キム・トゥシクの告白’等はハンギョレ土曜版を代表する人気商品になった。

 ‘土曜版旋風’を継承した新聞は韓国日報と中央日報であった。 韓国日報は去る3月3日、自社の英文イニシャルを付した土曜版‘H’を出し始め、中央日報は同月17日から土曜日の新聞を土曜版‘サタデー’(Saturday)という名前で発行している。

 韓国日報の土曜版はかつて‘本紙の中のセクション’形態で発行した8面週末エディションHの拡大・改編形態であった。 まず1面から‘Hカバーストーリー’を前面に出して平日分新聞との差別性を強調した。 カバーストーリー関連企画記事は2~3面や14~15面など2面に広げた。 Hの主なコンテンツはカバーストーリー以外にもチョ・ジェウ先任記者の深層インタビュー記事である‘チョ・ジェウの共感’とチェ・ユンピル先任記者の記名コラム‘空間のぞき’、国内外の便りを集中的に伝える‘Hビュー(view)’および‘Hワールドビュー’、一面全てを占める画報‘Hレンズビュー’等だ。 Hの製作・編集を総括しているファン・サンジン韓国日報デジタルニュース部長(副局長)は19日」土曜日の新聞は事実上月曜日朝まで読者の週末48時間に責任を負わなければならないので、面白味と深層性、そして時宜性を同時に備えなければならない」として「特に3面にわたって載せ得るカバーストーリーは週末を通してSNS等オンラインで話題を集めることができるアイテムで満たそうとしている」と明らかにした。

1面編集の慣性が崩れる

 かつて本紙とは別に土曜セクション‘J’を発行してきた中央日報は‘土曜休日に読む家族新聞’を目標にし、Jの代わりに新しい土曜版サタデーを作っている。 1面から始まるカバーストーリーは15面から本格的に用意されたサタデー紙面でより長く続く。 当日ニュースは1面の一部と14面以前に集めた。 ニュースの裏面をつく‘ニュースの中に’と国内外の多様な話題を扱う‘世の中で’、話題の人物に光を当てる‘人の中に’等がサタデーを代表するニュース コンテンツだ。 ドキュメンタリー写真作家カン・ウング氏の作品をサタデーの最も前面に配置したのもこの新聞の土曜版の特徴だ。 中央日報関係者は20日「遊ぶ土曜日を狙って家族皆が読める新聞を作ろうということが土曜版のコンセプト」して「記者たちの実際の経験を盛り込んだ体験型レジャー記事‘記者たちが行くドタバタ1泊2日’等‘話’(story)と‘人’(people),‘面白味’(fun)が生きている紙面に焦点を合わせている」と話した。

 京郷新聞と国民日報はそれぞれ6月16日、7月7日から土曜版という名前で曜日版を出している。 京郷新聞は先月30日、40代未婚男女増加現象を扱った‘私は40代シングル’企画記事を皮切りに、華城連続殺人事件(1986~1991年)後日談を扱った‘なんとしても捕まえたい、そいつ’(7月7日付),弘大(ホンデ)商圏の興亡盛衰に光を当てた‘弘大前は銭の戦争’(7月14日付)等をカバーストーリーとして送りだした。 イ・ギス京郷新聞週末企画チーム長は「平日の新聞が論争的だったり重いイシューを主に扱うとすれば、土曜日分では相対的に軽いながらも必ず一回ぐらいは顧みなければならないニュースに強調点を打っている」と話した。 国民日報の土曜版‘K’は1~3面につながるカバーストーリーを中心にしている。 この他にも<ソウル新聞>は土曜版という名前は付けていないものの毎週土曜日の新聞を通じてカバーストーリー形式の企画記事を報道している。

 総合日刊紙の土曜版発行の流れに対する言論界内外の評価はひとまず肯定的だ。 キム・ソンフ<記者協会報>記者は韓国言論振興財団が発行する月刊誌<新聞と放送> 5月号(特集‘新聞週末版の変身’)で“(各新聞の土曜版が)新しい形式に高級コンテンツを装着した雑誌形態の新聞として再誕生した。 息の長い企画記事とインタビュー、読み物を適切に接続させて読者の注目をひきつけている”と紹介した。

 各新聞の土曜版が概して良い評価を受ける最も大きな理由は活字媒体だけの特長といえる‘読む面白味’で勝負している点だ。 ハンギョレなど土曜版を出す新聞は過去の固いだけの1面紙面を果敢に壊し、大型写真と共に長期にわたり企画・取材したカバーストーリー記事を送りだしている。 ウォン・ヨンジン西江大教授(コミュニケーション学部)は「その間の変化を無視してきた韓国新聞が土曜版発行と共に読者の日常により近付こうと努力している点は評価に値する」として「大学生など若年層を中心に‘新聞は固くて重いもの’という認識が広まっている状況で各新聞土曜版の新しい形式と内容は新聞に対する認識の変化に少なくない寄与をするだろう」と見通した。 チュ・ジョンミン全南(チョンナム)大教授(新聞放送学科)は「各新聞土曜版が紙新聞読者のための読み物提供に集中する方向は正しいと見る」として「土曜版の編集と構成が類似した方向へ進んでいるだけに、各新聞が内容の差別化をどのように見せるかも今後は熟慮しなければならない」と話した。

“専門家たちに果敢に紙面開放しなさい”

 反面、土曜版記事素材の多様化と‘キラーコンテンツ’の発掘は依然として宿題だという指摘だ。 チョン・ジュンヒ中央(チュンアン)大講師(新聞放送学科)は「英国を代表する日刊紙<ガーディアン>の場合、平日版と差別化された編集政策をとる土曜版と日曜版<オブザーバー>は平日分に比べてコンテンツの分量はもちろん範囲と深さもはるかに広く深い」として「新聞製作人材が常に不足している韓国日刊紙の特性上、コンテンツの量で勝負しにくいならば読者を販売店にひきつけるように土曜版だけのヒット商品開発により注力しなければならない」と話した。 ガーディアン土曜版は本紙48面と32面G2セクションなどで構成される平日分とは違い、本紙56面とその他セクション260面で構成される。 新聞価格も平日分は1.2ポンド(2100ウォン台),土曜版は2.1ポンド(3700ウォン台)と異なっている。

 イ・ワンス東西(トンソ)大教授(映像マスコミ学部)は「TVとインターネット、スマートフォンなどニューメディア媒体に情報伝達機能を渡した新聞が、土曜版を通じてはじめて‘読み物’を作り出しているということは望ましい変化」としつつも「ただし一部新聞の土曜版は依然として読者が‘読みたい記事’ではなく、新聞社内部構成員が‘作りたい記事’の水準から大きく抜け出せずにいる点は惜しい」と指摘した。 また、イ教授は「新聞コンテンツの多様化と内容の専門化のために紙面の相当部分をより果敢に各界の専門家に開放するなどの努力が必要だ」と話した。

文 チェ・ソンジン記者 csj@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/543573.html 訳J.S