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[朝の陽射し] 韓-米FTAの真実ゲーム/パク・スンビン

原文入力:2011/10/19 10:38(1836字)


我が国国民に未知の道であるFTAについて
実体をきちんと知らせようとせずに
盲目的支持を強要する政府


←パク・スンビン論説委員


記者は文を書く時‘述以不作’を指針としている。作り上げずにありのままを書くという孔子の言葉だ。だが見聞きしたことをそのまま伝えるだけの記者は殆どいない。 見聞きしたことの意味と性格、脈絡などを把握してこそ良い記事が書ける。現実には難解ななぞなぞのように内幕を把握しにくいケースが多い。 政府が客観的な情報を公開したがらない事案であるほど一層そうだ。 韓-米自由貿易協定(FTA)がその代表的事例だ。

2006年3月6日<ハンギョレ>は交渉の‘4大先決条件’を初めて単独報道した。 米国が交渉の先決条件として薬価適正化方案と自動車環境基準強化案の保留、国産映画義務上映制(スクリーンクォーター)縮小、米国産牛肉輸入再開などを掲げると我が国政府がそれを屈辱的にも受け入れたという内容だった。 報道根拠は、外交通商部通商交渉本部を担当していたソン・チャンソク記者がキム・ジョンフン当時交渉首席代表に直接会って聞いた話だった。


報道の波紋は大きかった。 交渉を始める前に一方的に譲歩からするのかという批判が沸き立った。 直ちに外交部がマスコミ仲裁委員会に調整を申請した。 ハンギョレが虚偽報道をしたので訂正報道を出すよう調整してくれという趣旨であった。 言論仲裁委にはキム・ジョンフン代表が直接出てきた。 彼はソン・チャンソク記者が自身の話をねつ造したと主張した。 ハンギョレとしてはおとなしくは対応し難い状況だった。その場でソン記者がキム代表の生々しい声が録音されたMP3プレーヤーのスイッチを入れた。 ハンギョレではなく通商交渉本部の虚偽・ねつ造申請が明白になるやキム代表はソン記者の録音行為を問題視しようとしたが、言論仲裁委員らに苦言(?)を聞いただけで帰った。


その後もキム・ジョンフン代表は4大先決条件の実体を継続的に否認した。 「4項目は韓-米通商紛争懸案なので米国側の話を聞いてあげただけであり自由貿易協定交渉とは何の関係もない」という主張を繰り返した。4大先決条件に対する真偽攻防はハンギョレ報道後6ヶ月程が経過してから大統領府が「4大先決条件の存在を認める」と発表し結局一段落した。 残念なことに4大先決条件を全て聞いてあげたまま…。


←キム・ジョンフン外交通商部通商交渉本部長


韓-米自由貿易協定を巡るハンギョレと外交部の真実ゲームはしぶとい。交渉開始前から火がついて国会批准同意手続きを前にした今も進行形だ。 最近外交部はハンギョレ報道と関連して2件の調整申請を言論仲裁委に再び出した。 一つはキム・ジョンフン通商交渉本部長が米国に対してコメ市場開放の追加交渉を約束したという報道であり、もう一つは韓-米間に協定の法的地位に激しい不均衡があるという報道だ。これに対して言論仲裁委が直ちにどんな調整決定を下すかについてはそれほど関心がない。真実はいつか明らかになることになっている。


韓-米自由貿易協定は我が国国民にとっては一度も歩いたことのない道だ。 米国との協定が世界的大勢でもない。 経済協力開発機構(OECD) 34会員国の中で米国と協定を結んだ国は5ヶ国だけだ。 協定が国家にとって利益になるという主張があると同時に、農民と中小企業・中小商人に‘火に灼けた鉄串’として迫るという憂慮がするどく拮抗している。 盲目的反対には意味もなく国民統合のためにも望ましくない。 それと同様に盲目的支持も大きな害悪だ。ところが国民統合を導かなければならない政府があまりに盲目的支持を強要しているようだ。協定発効を‘絶対的課題’として一線を引き、それを抜け出した人々の考えと声は押し潰そうとしている。それと共に協定内容が実際に国家経済と国民の暮らしにどんな影響を及ぼすのかを真剣に調べようとする言論活動を事実上妨害している。この頃は、‘述以不作’の教えをしばらく脇に置きこんな言葉を吐きだしたい時が多い。


オイ!この極悪非道な従米事大主義者どもよ!


sbpark@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/501303.html 訳J.S