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[世相を読む] エリート犯罪/キム・ドンチュン

原文入力:2011/07/04 18:52(1720字)

反省しないエリート犯罪者たちは自身が賢いために
その地位と金を享受する資格があると勘違いする

←金東椿(キム・ドンチュン)聖公会大社会科学部教授

今日も釜山貯蓄銀行預金者は草梁洞本店内で座り込みをしている。数ヶ月が過ぎたものの変わったことは何もなく、大仰に刀を抜いた検察は特典引き出しされた金額がせいぜい85億ウォンにしかならないと中間発表をし、この全ての金融不正、監督職務遺棄事件に対する捜査を適当に終えようとしている。しかも弁護士に転職した前中央捜査部長と前大統領府民政首席は、これら犯罪者らを弁護する側に立ち3億ウォンの手付金まで受け取ったという。

 「雪が降ろうが雨が降ろうが牛のように働きました。家政婦、洗車場、廃紙回収、やらなかった仕事がないほどです。」 障害者の夫と暮らし、去る30年余り このようにして稼いだお金を毎日 貯蓄銀行に預けてきたというパク・ソンジャ(65)おばあさん、劣後債権がどういう意味かを知らずに、職員の勧誘に任せてお金を預け2400万ウォンのお金をフイにした。別に大きな金ではないと? 「私の一生のが込められたそのお金は、私と夫の生命のようなお金です。私のお金を返して下さい。私はそのお金がなければ生きていく理由がありません。」彼女の2400万ウォンは彼女の生命とも同じで、10年間にばらまかれた貯蓄銀行ロビー資金 1兆ウォン以上の重さを持っている。

釜山貯蓄銀行の場合、被害者の90%が庶民老齢層であり、1億ウォン未満の預金者が97%に該るという。ところでVIP顧客である財力家と法曹人、監督当局関連者は前もって金を引き出していた。金融不正の主役である大株主・役員、金融監督院・監査院など監督機関高位公職者は我が国社会の最高学歴の‘エリート’たちだ。特に数億ウォンの金品ロビーを受け貯蓄銀行監査を揉み消した容疑を受けている李明博大統領の最側近 ウン・ジンス前監査委員はいわゆる三試をパスした我が国社会の最高エリートだ。

私たちは貧困が犯罪を産むことを知っている。泥棒、強盗、窃盗などは大部分が貧困と関連した犯罪だ。ところでこういう犯罪はほとんど暴かれ、関連者は起訴され監獄に行くが、権力層とエリートの犯罪、企業犯罪、国家犯罪は公開されることも珍しく、ひょっとして知らされても根はそのままにして曖昧に終えられる。ところで前者は被害者数人に影響を与えるだけだが、エリート犯罪はすべての社会を汚染させるため それは国家と社会に致命的な害毒を及ぼす。釜山貯蓄銀行事態を見れば私たちの社会のエリート犯罪はほとんど重症水準だ。

中国の社会学者ペイシャオトゥン(費孝通)は「地主は小作なしでは土地から収益を得ることができないが、小作人は地主がいなくとも土地を耕せる」と言った。同じ論理で私たちは、金融不正に関連したすべての力の強い人々は預金者や国民なしには収益を得られないが、後者はこれらがいなくとも生計を維持できると言える。汗を流す人なしでは世の中は一日も回っていけないが、彼らの汗のおかげで暮らす人々はいなくとも世の中は崩れない。ところが、今日反省しないこれらエリート犯罪者らと彼らの犯罪を弁護して金を儲ける人々は、自身が賢いために その地位と金を享受する資格があると勘違いしている。

被害者パク・ソンジャ氏は「それでも彼らは習った人々ではないか」と尋ねた。そうだ。習ったからこそ、そのようにしてはいけないということが庶民の常識だ。ところが実状はその反対だ。習えば習うほど、より大きな泥棒になる韓国社会だ。どこから始めなければならないか? まずこの事件の関連者らに対する厳しい断罪と処罰だけが崩れた信頼を取り戻すことができる。その次は本末を勘違いしている高位公職者、特に経済エリートや法曹人のこういう歪んだ考え方がどのようにして作られたのかを総体的に顧みなければならない。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/485745.html 訳J.S