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[世相を読む] リュ・クニル コラムと希望バス

原文入力:2011/07/03 19:33(1722字)

金のために涙を流す学生たちに
申し訳ない思いは感じられなくとも
駄々をこねるなと言うのはどんなものだろうか

←クム・デソプ弁護士

ろうそく集会が最盛期だった2008年7月<朝鮮日報>主筆を務めたリュ・クニル氏が「‘1150万票’に戻らなければ」という題のコラムを書いた。李明博大統領の政局対処について忠告する内容のこの文には「政治の1章1節は、敵が誰で味方が誰なのかをきちんと識別することだ。自分を殺そうとする者が誰であり、自分を生かそうとする者が誰なのかを正確に把握しなければならない。そして敵を‘最小’に孤立させ、味方を‘最大’に構成しなければならない。」「彼を選ばなかった850万票の一部‘骨髄’は意識せず、彼を選んだ1150万票の心を再び得なければならない」という内容が書かれている。

個人的にこのコラムを読み大いに驚いた。一般政治家ではない大統領に、選挙で彼に投票しなかった国民を、それも850万人にもなる国民を‘意識’もするなという内容も衝撃的だったが、同じ国に住む人々を‘敵’とまで表現したことには驚かざるを得なかった。その時は個人の極端な見解に過ぎないとも考えた。

しかし、その後 我が国社会の一部構成員らの態度、また政府の政策を見ながらこのような考えは単にひとりのものではないということを悟ることになった。敵として取り扱う状況には至らなくとも、同じ国民であるにも関わらず他人の切迫した困難に全く関心さえ持たない。整理解雇に反対し韓進重工業85号クレーンの上で籠城中のキム・ジンスクや、とうてい耐え難い授業料問題の解決を要求しろうそく集会を開いた大学生たちに見せる姿がまさにそうだ。

警察は‘希望バス’に乗り韓進重工業に訪ねて行った人々に、調査を受けにこいという出頭要求書を送った。もちろん警察の立場では、実定法違反有無を調査するということかもしれないが、一日にして職場を失い籠城している労働者たちを慰労するために全国から集まった人々に召喚状を突きつけることが果たして政府が優先的に行わなければならないことであろうか。

韓進重工業事態に対してチョ・ナモ会長を呼び経緯を問い詰めると意気盛んだった与党国会議員は実際に聴聞会が開かれるや全員が参加しなかった。労使が合意したという理由を挙げているものの、当初から問題になっていた整理解雇問題は全く解決されていない。国会議長を務めたキム・ヒョンオ議員は「なぜ社主や最高経営陣が責任を負わずに労働者だけを大量解雇するのかという点を明確に問い詰めたい」と話していたが、実際に大量解雇された労働者は全く救済を受けられていないのにこれ以上言うことはない。整理解雇された人々が自分たちは国民ではないのかと問うならば何と答えるのだろうか。

最近<朝鮮日報>イ・ヒョヌ記者は記名コラムで、授業料を下げれば「学生たちは‘示威をしたから半額に下げてくれたよ’と言い、再び半額を要求するだろう。その時、政界と教育行政当局はどんな論理ですでに‘群れ’の力を知ることになった学生たちの主張に反論するだろうか?」「むしろ廉恥を失い全てを‘群れの力’に依存しようとする無責任な思考ばかりを育てかねない」と書いた。政治や社会問題に過度に関心がないと批判を受けさえする若い世代が、どれ程ならば街頭に出たのだろうか。他でもない学校に払う金のために両親に申し訳ないと涙を流す大学生らに、既成世代として申し訳ない思いを感じられないとしても駄々をこねるなとまで言わなければならないのだろうか。

警察から召喚状を受け取った希望バス搭乗者は、大部分が韓進重工業やキム・ジンスクと何の関係もない人々だ。困難に出会った見ず知らずの人々のために千里の道走って行く行動と、同じ国民に‘敵’と言ったり‘駄々をこねるな’と言う行動。私は私達の子供たちに前者を見習えと教えなければなければならないと考える。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/485568.html 訳J.S