原文入力:2011-03-30午後07:34:43(1849字)
キム・ヨンヒ国際部長
日本、福島県、いわき市にある‘スパ リゾート ハワイアンズ’は日本人だけでなく外国人にも人気のあるレジャー施設だ。特に夜に木の香りが奥ゆかしい江戸風の静かな大型露天風呂にからだを漬けて人形劇を鑑賞する味わいは最高だ。東京からの往復バスを含めて1泊2食付きで1万円内外という相対的に安い価格、年齢帯別に多様に楽しめる大型施設という魅力で数年前に日本に住んでいる時は時々家族と訪ねた。2005年基準で年間利用者が何と150万人。去る11日の日本大地震直前までの話だ。
ハワイアンズは原子力発電所と共に福島現代史のまた別の象徴でもある。日本の高度成長が始まった1950年代末、当時 福島県の産業近代化率は176%で、全国平均の270%に比べかなり遅れをとっていた。その上、首都圏から最も近い炭鉱という理由で脚光を浴びたこの地域の‘常盤炭鉱’までが1960年代の石油によるエネルギー革命に押され衰退することになる。
在日同胞3世のイ・サンイル監督が作った<フラガールズ>(2006)は当時の話を扱った映画だ。鉱夫たちは 「時代が変わったからと私たちまで変わらなければならない理由はない。勝手に変わったのは時代の方」と言いながら人員縮小に抵抗するが、少女たちは炭鉱会社が新しく開くハワイアンズの舞台に立つためにこっそりとフラダンスを習う。
このようにしてかろうじて炭鉱会社が‘ハワイ’という夢を売るレジャー業者に変身した1960年代、福島県は東京電力を相手に原子力発電所の誘致に出た。 今、最も危険な状態にある第1原発1号機が1971年についに稼動に入った。その時、今日のような日を想像さえしただろうか?
先日<NHK>で東北地方のある視聴者が送った手紙が紹介された。「大変でも計画停電に参加して下さい。福島原子力発電所の電力は東北だけでなく、まさに関東地方のためのものなのです。」東京電力は首都圏と7県の電力を独占供給する業者。手紙は社会の責任共有を切実に訴えていた。
英国セラフィールド(旧名 ウインドスケール)原子力発電所団地があるコムブリア地方を訪問したある専門家の話を思い出した。1957年10月、5等級の放射能漏出事故が起きたそこでは当時 周辺牧畜地500平方kmで生産された牛乳が全て廃棄処分され、1986年のチェルノブイリ原発事故以後には放射性物質が混じった雨が降り、羊たちに対する屠殺令が出たりもした。彼は10年前に訪問した時も牛乳の放射能数値が微小だが依然として残っていて、最初から10ヶ地域の牛乳を混ぜてしまっていると伝えた。全量廃棄しなければならないのではないかという考えに先立ち、そのようにできる社会の合意が驚くべきことだった。
4年前、稼動30年をむかえ一時稼動停止に入る予定だった古里原子力発電所1号機を訪ねたことがある。記者たちは口では原発事故の危険性を問い質しながらも、格別危険を実感できないまま敷地を縫って歩いた。近所に地域住民たちのために建てられた豪勢な文化センターを見て「こういう施設があって良いね」と一言ずつ言ったりもした。とても恥ずかしい。釜山機張郡、長安邑、古里(古里),慶北慶州市、陽南面、羅兒里(月城),全南霊光郡、弘農邑、桂馬里(霊光),慶北蔚珍郡、北面富邱里(蔚珍)という村名と村の人々を我が国全体の電力の40%を消費する首都圏の人々は記憶しているか?
福島県で30年にわたり有機農栽培をしてきた自負心の強い農夫は日本政府の11ヶ品目食用禁止措置が下された翌日、自ら首をくくった。原子力発電所の他殺はすなわち社会による他殺だ。困難でも人類は代案を探していかなければならず、その時まで情報は透明に公開され最悪の状況に対する警告が常に伝えられなければならない。原子力発電所の他には代案がないという現実論がこの凄じい負債感を覆いかくしてしまってはならない。
ハワイアンズのホームページに入ってみれば、営業を中止しているという案内文が表示されている。いつまた営業を始めるか、今は約束することもできない。夜に星々があふれていたそこ、ハワイアンズに行きたい。 dora@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/470662.html 訳J.S