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[パク・ノジャ コラム] リビア空襲の真の理由

原文入力:2011-03-27午後08:03:17(1783字)

パク・ノジャ ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学

 "怪物の帰還" とでも言おうか? アフガン侵略から10年ぶり、イラク侵略から8年ぶりに、西側列強が再びイスラム圏国家、リビアを侵攻した。イラク同様に油田が多く アフガンのように地政学的に要衝地を占める国を空襲し、ひいてはその内戦に介入し突然に友軍となった "反政府軍" をしてリビア全域を統制させるために支援しようとしている。その支援は地上軍投入とリビア占領の企図につながるかはまだ未知数だが、そのような可能性もある。軍事作戦にはその内在的論理があり、空襲だけではカダフィ政権の除去はほとんど不可能なはずだからだ。そして今、空襲で亡くなり負傷している民間人の "保護" ではなく、カダフィ政権の除去こそがこの作戦の実質的目標だという事実はすでに火を見るより明白だ。

もちろんカダフィはリビア全体をカダフィ一家の縁戚企業にしてしまった凶悪な独裁者に間違いない。凶悪な独裁者、凶悪な狂信徒集団という修飾語を、各々イラクのフセインとアフガンのタリバンにもいくらでも付けることができただろう。しかし西側のアフガン・イラク侵略がひたすら凶悪な統治集団からの民間人保護を目的としていたという話をそのまま信じる純真な人を1人でも探すことができるだろうか?

リビアの場合も同じだ。もし西側が本当に独裁の終息と民主化を望んだとすれば、平和的デモを武力で踏みにじり、数百人の在野の人を殺したり不法拉致・監禁・虐待したバーレーンでもその後見人格のサウジ王国にこそ制裁しただろう。だが、一方で非暴力デモに対する流血鎮圧を傍観している列強が、他方では内戦に介入したとすれば、ここには "民主化" と関係ない底意があったと見なければならない。

 "油田の掌握が目標ではないか" という疑いを持つのは当然だが、今回の事態をそんなに単純に見ることも難しい。もちろん西側が支援の代価として "反政府軍" が執権した後に、油田開発利権をさらに多く分けてくれるだろうと期待しているだろうが、カダフィ政権にしても列強の石油企業に全く非協調的であったわけではない。スペイン、フランス、ノルウェー、英国の石油会社はすでに何年もの間 "凶悪な独裁者" と共生しながらリビアの石油産業に参加してきた。リビアに油田がなかったとすれば昨今のような西側の積極的介入もなかった筈だが、この介入を油田だけで説明するのは難しい。

何より先に注目を引くのは、米国中心のアフガン・イラク侵略とは異なり今回の武力干渉はフランスと英国の保守政権が主導しているという点だ。特に英国の場合には、世界恐慌による苦痛を労働者に転嫁しようとする過程で右派政権が政治的難関に直面していた。一例として2014年までに高等教育予算を40%削減するという政権に対抗し学生だけでなく教授たちもデモとストライキで対応している。フランスの右派政権も持続的に学生・労働者の抵抗に直面してきた。このようなヨーロッパ右派政権らの政治的な乱脈を考慮するならば、彼らが主導するリビア空襲は一面で国内問題から国外問題へ社会の関心を向け、"独裁者除去" を名分として人気を得ようとする政治工学的側面もあると見られる。具体的な状況は異なるが、大きく見れば韓国の保守政権が超強硬対北韓政策で北韓を先に刺激した後に北韓の強硬対応を "挑発" と規定し、反北韓主義的狂風を起こしながら投票者の心をつかもうとしているのと構造的に似たようなものだ。

これと同時に、最も根源的には中国とインド、ブラジルなどの非欧米圏国家が大きく頭角を現わしている今日、欧米圏列強らにとって 未だ保有している最も重要な利点、すなわち地球上でその誰もが正面対抗しにくい武力を大きく誇示する必要があるようだ。そのようにして剣で得た覇権を維持しようとしている彼らは「剣をとる者はみな、剣で滅びる。」(マタイ福音26:52)という聖書の言葉を肝に銘じなければならないだろう。

ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/470084.html 訳J.S