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[チョン・ヨンジュ コラム] 組織暴力 言論一網打尽 2

原文入力:2011-01-24午前08:57:04(1919字)

←チョン・ヨンジュ言論人

1年余り前、<ハンギョレ>にまたコラムを書くようになった。その初めてのコラムの題が「組織暴力 言論一網打尽」だった。 その文で私は、「朝・中・東」の三つの保守新聞に総合編成チャンネルを与える場合、それは「死の罠」になると展望した。 市場論理だけから見ても暴力団体質のこの三つの新聞は放送市場で生き残ることができないのみならず、違法とあらゆる不当・不公正な特典でかためられた体制なので、再許可の際 当然許可が取消されなければなければならないと言明した。

総合編成チャンネルが4つ許容された現在、その思いはより一層強まっている。市場論理だけから見ても、彼らが滅びるのは資本主義市場の自然な秩序だ。 放送は巨大資本が必要な「規模の経済」を前提とする。発電所を誰でも作るというわけにはいかないのと同じだ。 放送装備購買に巨大な初期埋没費用(サンク コスト)が発生し、番組製作費も新聞の場合とは比較にならない。 放送会社の収入の孝行息子であるドラマや演芸・娯楽番組は、多くの試行錯誤と失敗の末に大当たり番組が出てくるのだ。 強固な資本力が必要だ。 それがなければ滅びる。 賭博場と似ている。 あちこちからお金を掻き集めてくるにも限界がある。 今、放送市場で支援金が強固な放送会社は地上波3社だ。すでに飽和状態の放送市場でこれらと対抗しなければならないゲームの結末は明らかだ。

広告市場を見れば 状況はより一層明らかだ。 2003年春、私がKBS社長に就任した当時、地上波広告市場は2兆7000億ウォン程だった。 その後、地上波広告市場は毎年1000億ウォン程減り、昨年には2兆1000億ウォン程度になった。地上波放送社間の競争が激しくならざるを得ず、それで視聴率競争をするようになり、その結果 必然的に刺激の強い末世的ドラマ、末世的娯楽番組が出てくることになった。

地上波広告市場で減った部分はケーブルなどニューメディア側に移っていった。 しかしケーブル市場の広告は広告時間ははるかに長いが、広告単価は地上波広告の10分の1程度だ。 朝中東3社の総合編成が進出する放送市場は地上波とは構造的に違うこのケーブルの世界であり、その総合編成チャンネルはケーブルと衛星放送を通じてのみ接することができるものだ。 地上波放送をアンテナだけ設置して直接受信できる世帯(全テレビ利用世帯中約20%程度)には朝中東放送はもともと伝えられることすらない。一言で言ってマイナーリーグだ。 にもかかわらず広告主に地上波同様の広告料を要求するならば、それは明白な不公正取り引きだ。 広告主を脅して解決できる問題でもない。

朝中東放送はこのように資本主義市場の秩序に任せて置けば滅びるほかはない運命を持って生まれた。 そしてそのために途方もなく深刻な問題が発生することになる。 総合編成チャンネルが一つだけできても地上波と競争するのは力に余る条件なのに、1つどころか4つもできたのだから、彼らが生存のためにどんな暴力団的あがきと害悪を及ぼすのかは火を見るよりも明らかだ。

ケーブル チャンネルに地上波放送と隣接する黄金チャンネル番号を与えよ、中間・間接広告と広告直接営業、医薬品広告許容など各種の特典を与えよ、ケーブル チャンネルに必ず朝中東放送が出るようにする「義務再転送」をすべきだ等々…各種の特典要求品目には切りが無い。その上、地上波放送に厳格に適用されている編成比率(ニュース、教養、娯楽番組の比率)、自社内製作と外注製作の比率、外国番組の放送時間制限などの諸規制が朝中東総合編成チャンネルには適用されないに決まっている。 適用すれば死ぬからだ。 これもまた別の意味での不当・不公正行為だ。 そのような規制がなくなれば、低質娯楽番組の乱開発で放送が低質化、荒廃化するのは必然的だ。 そして製作費負担のために安モノの外国番組も洪水のように押し寄せることになる。

資本主義市場にまかせれば当然滅びることになっているその市場条件を暴力団的に解決しようとする結果、このようにあらゆるものが荒廃してしまう。 何より最も荒廃するのは、保守言論が新聞だけでなく放送まで掌握することによって世論の多様性が抹殺される、民主主義の土壌の荒廃化だ。 どうしたらいいか。

企画連載:チョン・ヨンジュ コラム

原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/228/460130.html 訳A.K