バージニア大学 物理学科教授 BY:イ・スンホン 2010.11.30(1614字)
←延坪島で発見された砲弾(左側)と天安艦事件の時に発見された魚雷(右側)
延坪島に落ちた北韓の砲弾にある数字が焼けなかった。なぜか? 朝鮮日報は11月28日付社説に、それは天安艦沈没事件時に合調団が提示した‘1番’魚雷が事実的証拠だったことを強く示すと主張する。‘取るに足りない’物理学者の‘いんちき科学’を嘆きながら。
果たしてそうか?
興奮を静め再び科学に戻ってみよう。私が最近書いた回顧録<科学の良心、天安艦を追跡する>(創作と批評)に詳しく説明をしたように、合調団が15gの爆薬で行った模擬爆発実験で半径0.25mほどの高圧ガスバブルができた。
近似的には、バブルの半径は爆薬質量の1/3乗に比例する。したがって、ある量の爆薬が爆発した時にできる高温バブルの半径 Rは次のような数式で得られる。
R=(爆薬質量/15g)の1/3乗 X 0.25m
天安艦事件の時に提示された1番魚雷はTNT火薬350kg相当の爆薬を持ったという。したがって形成された高温バブルの半径は概略7.1mだ。"1番" マークは弾頭部から5.8m離れていたので高温ガスに包まれて焼けるしかなかった。これを立証するように "1番" 周辺のペイントは焼けてしまい腐食の跡を見せている。焼けなかった "1番" は科学的に説明されえない幻影だった。
延坪島に落ちた122mm砲弾の諸原は現在知られておらず、正確な分析は不可能だ。だが、世界の色々な軍隊が使う砲弾の諸原に基づき推定することは可能だ。通常的にこのような砲弾の長さは2.8mで、弾頭部から番号が書かれた部分までの距離は最小2mになるだろう。爆薬の質量は122mm砲の場合には2~3kgで、122mmロケットの場合には5~6kgと伝えられている。したがって砲弾の場合にはできる高温バブルの半径は最大1.5メートルであり、ロケットの場合には最大1.8メートルであろう。したがって、その高温バブルはその番号に届かなかった。それで、その番号が焼けないのだ。
国防部はこのような科学的推論にともなう結論を恐れるかのように、北韓の軍事力を大きくし始めた。すなわち、28日 国防部は砲弾の威力がTNT 10kgに該当するという主張を繰り広げた。これは通常の122mm砲弾爆発力の2倍に該当するという主張であり厳密な検証を必要とするが、この主張が正しいと仮定すれば高温バブルの半径は2.2m程度になるので番号が焼ける条件になる。しかし、その主張が正しいならば国防部は説明できないまた別の現象に直面する。 1番の上方にある砲弾本体の外装ペイントが全く焼けていないためだ。朝鮮日報に載せられた写真を見れば、番号が書かれた部分より弾頭部に近い本体にある淡い青色ペイントと見えるものが全く焼けた跡が見られない。番号が書かれている部位のどこにも高熱や火炎の跡はない。国防部はこれをどのように説明するのだろうか?
朝鮮日報は訂正記事を出すなり、でなければ私のこの科学的意見を記事化することを公式に要求する。
昨今の韓半島で高まる緊張状況を見て、複雑で息苦しい心は言い表しようもない。どのようにすればこのような不祥事の再発を防げるのか、国民の皆が、特に韓国、北韓政府は深慮熟考しなければならないだろう。唯一の解決策である韓国、北韓平和共存のために皆が理性を取り戻し、対話の場に出てくることを祈ってやまない。危機状況を利用して非科学的な論理で天安艦を巡る偽りを覆い隠そうとする試みは、危機の解決にも不祥事の再発防止にも役立たない。ただ真実だけが真の平和を作ることができる。