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[世相を読む] 不動産、今が最後の機会だ/ソン・デイン

原文入力:2010-08-27午前09:27:50(1830字)

←ソン・デイン キム・グァンス経済研究所副所長

米国発経済危機を正確に警告したヌリエル・ルビーニ教授は‘危機経済学’でこのように語っている。"最近の災難は突発状況ではなかった。それは十分に発生しうる状況であり、さらに予測も可能だった。なぜなら金融危機というものは、一般的に似た経路に沿って繰り返されるためだ。弱点が積もった結果、結局は頂点に達することになる。」 米国発経済危機は制度的不備と政策の失敗が累積し発生した‘予告された危機’であり、早期にきちんと対応したとすれば避けることができるか、少なくとも衝撃を最小化できたということだ。
事実、国内の不動産バブル危機も国内住宅価格が恐ろしく膨らんだ時にすでに予告されたことだった。現在の国家債務危機と韓国土地住宅公社(LH)借金問題、各地方自治体財政難および傘下開発公企業らの負債危機、龍山開発事業座礁危機なども全て昔から予告されていた危機だ。そしてこれらの危機は全て不動産バブル危機から派生した危機だ。

予告された危機に対処する方式としては、危機を未然に防止することが上策であり、危機が予告される初期に改善することが中策だ。危機がさく烈してしまってから あらゆる大騒ぎしながら防ぐことが下策、危機が現実となっても対処を先送りしある時点で手を打てなくなり破局に突き進むのが最下策といえる。

私たちの研究所は少なくとも上策や中策を用いることができる段階からこれらの予告された危機に対し多くの警報音を鳴らしてきた。しかし、度重なる政府・政界の政策失敗とアパート広告に依存している相当数言論の扇動報道のために対処を先送りし、今や選択肢が下策または最下策しか残っていない状況だ。すでに多くの失敗をした状態で、現在の不動産危機を何もなかったように戻す方法はない。それでも最下策に至ることは防ぐべきではないだろうか。

それは低金利状況を利用し家計負債ダイエットを誘導すること、政治的貪欲にともなう各種不動産乱開発を減らし、既存の無理な事業を整理すること、市場退出が実際に起きる建設業者と貯蓄銀行に対する強力な構造調整などだ。また、不動産バブルの振幅を拡大し投機を煽った二大制度である先分譲制と3年据え置き後元利金償還式貸出構造を根本的に改革しなければならない。投機に強い耐性を持つ不動産保有税制の強化と公共賃貸住宅在庫を画期的に増やすこと等も不動産市場健全化のための基本課題だ。

それでも現政権は‘軟着陸’という美名の下にバブル除去を遅延させ、公共負債と家計負債を動員し不動産浮揚策を乱発した。最近の総負債償還比率(DTI)規制緩和を含む追加浮揚策の動きを示していることもその延長線上だ。

問題はこのようにずっと先送りすればするほど、不動産バブル崩壊の衝撃はより一層大きくなるという点だ。政府の不動産浮揚策と投機助長策に力づけられ昨年の家計負債が45兆ウォンほど増えたことが代表的事例だ。住宅貸し出し据え置き期間満期をずっと延長すれば、2012年には分期別に昨年の倍近い満期到来額が一度に迫ることになるのも同じだ。だが、政府も、金融圏も、家計も先送りすることを選択し、90%以上の住宅貸し出しが再延長されている。ずっとこのような形で先送りするならば、本当に手のほどこしようもない事態を招きかねない。

それでも現政権はあらゆる負債を動員して作った強力なモルヒネ注射で国民をげん惑させながら、任期内だけ健やかならばそれで良いという式でバブル除去を先送りしている。だが現政権出帆以降だけで200兆ウォン以上も国公債発行を増やしたのに不動産バブル崩壊を防げずにいる。しかも今は中央及び地方政府、公企業の別なく、費用と負債を減らさなければならない状況だ。反面、各種国公債満期は2012~2013年に追い込まれている。今からでもバブルを除去し衝撃を分散してこそ、まだしも一時に衝撃が集中することを避けられる。今でも遅きに失したが、それ以上に今が最後の機会という点を政府は肝に銘じなければならない。

ソン・デイン キム・グァンス経済研究所副所長 ツイッター@kennedian3

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/436906.html 訳J.S