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[時論] 根源的問題 表わす‘金曜日の惨事’ /キム・ジョンデ

原文入力:2010-03-28午後07:29:50(1669字)

←キム・ジョンデ<D&D フォーカス>編集長

金曜夜、西海,ペクリョン島近隣で起きた悲劇的な海軍艦艇惨事は私たちを精神的恐慌に追い詰める。爆発原因さえまったくわからないという事実の前に、私たちの常識と理性は麻痺する。長期にわたる軍経験を誇る海軍予備役たちでさえ、自分たちの直観に反するこのあきれる事件に対しては説明を躊躇する。ひたすらすさまじい痛哭と絶叫の中で、亡者たちの恨が幾重にも積もるあの西海北方境界線一円の悲劇的歴史が深まっている。

事件が起きた直後、大統領府と国防部が‘北韓関与説’を効果的に遮断し、人命救助に関心を集中させたことは高く評価するに値する。この事件はややもすると間違って処理すれば、西海一円の軍事的緊張を急激に高め、再び一触即発の状況へ向かう爆発力を持っている。ひとまずそのような危険を管理し南北関係に火の粉が飛び散らなかったことは幸いなことだが、大統領府の危機管理は考えてみる点がありそうだ。

安保関係長官会議を続けざまに開催し、全軍と公務員を非常待機させ外国を訪問した与党代表が急きょ帰国するなど騒々しい動きはあるが、本来危機管理の基準と原則が何かが分かり難い。もし現状況が危機ならば、状況を管理する対応の手続きと原則、そして対国民メッセージがなければならない。会議は招集されたが何をどのようにするということなのか内容は貧弱に見える。たまたま安保関係長官会議に参加した大統領と長官級以下の主要人物の相当数が兵役免除者であるとか補充役出身で危機管理専門家も殆どいないという事実が気にかかる。果たして専門家とシステムがまともに機能しているのか相変らず疑問だ。

しかし、この事件を通じて私たちが根源的に直視しなければならない事実がある。この前、空軍戦闘機が墜落してまもなく陸軍ヘリコプターが墜落した当時も、我が軍に対して何か漠然とした不安感があった。ところで今回水が漏れ整備を受けなければならない艦艇がどうしてもと言って出動し沈没する連続事故を見れば、陸海空軍を問わず貫通する根深い弊害が具体的に確認される。

まさに国防における人本主義の失踪だ。すでに古物となった老朽装備を淘汰させず無理に運用したことによって大きくした‘内部危険’が、生命を威嚇する現象が現れたということだ。寿命周期が過ぎた武器を陸海空軍が持っている本当の理由は何か? まさに武器の数を維持しなければならないという強迫観念のためだ。武器数が減れば部隊数も減り、人員も縮小されざるを得ないために各軍はこれをダブー視する。ここから敵の威嚇より内部の危険がより大きくなるという逆説が発生したのだ。

ここまではそうだとしよう。さらに大きな問題は軍の首脳部がすでにある装備でもきちんと管理し運営することに関心を注ぐことができず、さらに新しい武器を買うことに関心を優先集中する風土だ。非常にケチ臭く配分された整備費と劣悪な整備人員は武器の稼動率を急速に低下させる。その一方で制限された予算をさらに新しい高価な武器獲得競争に没入させているということだ。

新しい武器導入のためにデジタル陸軍,戦略空軍,大洋海軍という我が国の実情にも合わないバラ色ビジョンがあふれ出ているという事実は何を物語るのか? 米国軍隊では武器がどれほどまともに性能を発揮するかという稼動率がまさに強い軍隊を測定する基準だが、韓国軍隊は武器数をもって強い軍隊だと語る。だからひとまず数字だけ満たして見ようという方式でビジョンを乱発してきた、そのような軍隊運営ではないのか?

事件の早急な真相究明と共に李明博大統領はわが軍の根源的問題を清算する国防改革にも目を開かなければならない。

キム・ジョンデ<D&D フォーカス>編集長

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/412842.html 訳J.S