原文入力:2010-03-12午後08:09:04(1165字)
ハン・ミョンスク前国務総理の5万ドル授受疑惑は、疑惑を裏付ける何の物証もなしに、ひたすらお金を渡したというクァク・ヨンウク前大韓通運社長の陳述のみの事件だ。こういう類型の事件で最も重要なことは、わいろ供与者の陳述の信憑性だ。陳述がどれほど一貫し道理に合ったいるかが有無罪を判断する鍵となる。ところが、昨日と一昨日に開かれた公判でクァク氏が行った陳述内容を見れば最初からあきれる状況だ。彼は検察の起訴状内容を大部分覆してしまった。一貫性どころか、行ったり来たりの橫說竪說(しどろもどろ)だらけだ。この程度の陳述を根拠に前職国務総理であり野党の有力ソウル市長候補者を起訴したという事実がとうてい信じられない。
クァク氏はお金をハン前総理に直接渡したのではなく、総理公館の椅子に置いて出てきたと話した。ハン前総理がこれを見たかどうかも分からないと述べた。彼の言葉通りならば金を受け取ったのはハン前総理ではなく‘椅子’だったということだ。2004年4月の総選挙を控えてハン前総理に1000万ウォンを渡したという検察主張も否認した。ハン前総理が総理公館の昼食の席でチョン・セギュン当時産業資源部長官に‘クァク・ヨンウクをお願いする’と話したという控訴状内容もひっくり返した。昼食当時の具体的情況を尋ねる質問にも、皆"よく思えていない" "よく分からない" という返答の連続だった。一言で‘虚しいギャグ’の水準だ。
状況がこれほどになれば、いったい検察が何を信じてハン前総理を起訴したのかという問いを投げざるをえない。特にお金を椅子に置いて出てきたという陳述がどうして起訴状では直接渡したと記載されたのかは徹底的に問い直されるべき部分だ。検察の高圧的な捜査疑惑も糾明されなければならない。クァク氏は「拘置所に帰ってくるのが明け方3時になる時もあった」「恐ろしかった」と話した。その間、ハン前総理側は「検察の強圧的な雰囲気の中で、健康状態もの悪いクァク氏が検察の懐柔と脅迫に耐えられず虚偽の陳述をした」と話してきた。クァク氏の陳述により今回の捜査が合わせこみ標的捜査だという主張はより一層の説得力を得ることになった。
クァク氏の陳述が一進一退し、法曹界では検察の起訴維持自体が難しくなったという指摘が少なくない。検察の中でも有罪判決を受けられる見込みはないという嘆きが出ているという。それなら検察はこれ以上遅くなる前に今からでもハン前総理に対する起訴を取り下げることが賢明な選択なのではないか。
原文: 訳J.S