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[ソン・ハンヨン コラム] 単一化さえすれば勝つという錯覚

原文入力:2012/10/03 21:43(1983字)

←ソン・ハンヨン政治部先任記者

 安哲秀(アン・チョルス)候補の選挙事務室である‘真心キャンプ’はソウル、鍾路区(チョンノグ)、公坪洞(コンピョンドン)にある。 鐘閣交差点から曹渓寺(チョゲサ)の向い側方向に歩いていけば公坪ビルディングがあり、その建物の5階と6階を使っている。

 5階には一般の人たちが行き来してキャンプの人々と対話できる広い空間がある。 大統領選挙と関連した政策建議を受けつける。 透き通った空間なのに加え、絶対に必要な仕切りも透明なガラスでできている。 昨年10月パク・ウォンスン ソウル市長候補の‘希望キャンプ’の雰囲気と似ている。

 候補と選挙参謀が使う事務室は6階にある。 安哲秀候補は日程がない時はここに留まっている場合が多い。 時々エレベーターや廊下で安哲秀候補と記者たちが会う。

 キャンプで仕事をする人々の中の相当数は数日前まで民主党員だった人々だ。 キャンプを総括するパク・ソンスク前議員は4・11総選挙で民主党の選挙を指揮した。 実務者も民主党出身者が多い。 互いに「脱党届出したか」と自然に尋ねるほどだ。 外郭も同様だ。 政治革新フォーラム代表キム・ホギ教授は4・11総選挙では民主党公認審査委員だった。

 安哲秀候補は昨日から2泊3日の日程で湖南(ホナム)を訪問中だ。 去る2日には金大中前大統領の夫人イ・ヒホ氏を訪問し歓談した。 もともと‘東橋洞(トンギョドン)の人’であるパク・ソンスク前議員が先に到着し、安哲秀候補を自然にイ・ヒホ氏に紹介した。 周辺参謀たちも主要日程を見れば、安哲秀候補は確かに野党圏候補であるようだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)候補と安哲秀候補は一卵性双生児であろうか? それは違うようだ。 支持者が異なっている。 文在寅候補の支持者は政党政治と国政経験を重視している。 安哲秀候補の支持者は新しい政治に対する熱望が強烈だ。

 朴槿恵候補とセヌリ党は野党圏支持層のこのような指向を非常によく知っている。 1987年の大統領直選制改憲以後、大統領選挙は別の見方をすればいつも三巴戦だった。 セヌリ党の戦略参謀たちは三巴戦の猛者たちだ。

 秋夕(チュソク)を前後してセヌリ党の攻撃は安哲秀候補に集中した。 文在寅候補は「過度に偏向的に検証がなされてはならない」と安哲秀候補をかばった。 しかし安哲秀候補の支持率が下落傾向に反転したことを最も歓迎した人は文在寅候補の参謀たちだった。

 "安哲秀候補の長所は清潔で、疎通、分かち合いの3点だった。 ところが清潔さと疎通に問題があることが明らかになった。 野党圏単一候補は文在寅候補になる。確実だ。"

 10月5日から国政監査が始まればセヌリ党議員は安哲秀候補の粗捜しに乗り出すだろう。 民主党議員は‘適当に’防御するだろう。 ‘殴る姑より止める小姑がさらに憎い’という昔話がある。 安哲秀候補の支持率が下がればセヌリ党の刃先は文在寅候補に向かうだろう。 今度は安哲秀候補と彼の参謀たちが楽しむ番だ。

 2者対決よりは三巴戦がはるかに複雑だ。 強者を打ち破るために二人の弱者が連合することがありうる。 しかし強者の刃を利用して競争者である弱者を切ったりもする。 1997年の大統領選挙でイ・フェチャン候補とイ・インジェ候補は金大中候補よりお互いを寄り一層嫌った。 イ・フェチャン候補の権言癒着疑惑をイ・インジェ候補が提起した。 2007年李明博候補に対する検証資料もチョン・ドンヨン候補よりは朴槿恵候補側からより多く出た。 今から一ヶ月間、文在寅・安哲秀候補が体験しなければならない状況も似ていることがありうる。 夫婦が経済的な理由で偽装離婚をしても、本当の離婚へ進むケースが多い。

 最も大きな問題は選挙が80日も残っていないのに時代を貫く政策議題が見られないということだ。 1997年には外国為替危機の克服と対北韓包容政策があった。 2002年には首都移転、2007年には韓半島大運河が大型政策議題であった。

 文在寅・安哲秀候補が単一化さえすれば政権交替がなされると信じる人が多い。 だが、候補らどうしで単一化を成し遂げたとしても出馬しない候補の支持者の20~30%が投票しなければ、大統領選挙は朴槿恵候補が勝つ。 ‘他の候補’に投票するために投票所まで出て行くには確実な名分と切迫さが必要だ。 単一化必勝論は希望を反映した虚構の仮説に過ぎない。

ソン・ハンヨン政治部先任記者 shy99@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/554152.html 訳J.S