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[2030施錠解除] 労働犯罪に寛大な社会/ユン・ジヨン

原文入力:2012/08/19 18:50(1581字)

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 SJM暴力事態を契機に外注警備業者に関する記事が連日紙面を飾っている。 その中に学費を工面するために警備業者の募集公告に応じたというある20代の青年や。警備学科を卒業したものの仕事場を見つけられずに警備業者に入ったというある30代の青春に関する記事は私を悲しくさせた。 彼らもきちんと月給を受け取れずに会社で非人間的な待遇にあったという。 持たざる者どうしが戦う状況も悲しく、彼らを貧困と失業に追いやった現実も悲しい。 だが、最も悲しいことは自分たちがした行為が犯罪だということを分からなくさせた私たちの社会の姿だ。

 いくらひもじくても強盗をしてはならない。 たとえ誰かの指示によりやむを得ずしたとは言っても、そのような行為は合理化されえない。 それは常識だ。 殺人や詐欺、暴力も同じだ。 このような事実を彼らが分からないはずがない。 日常で彼らは犯罪を犯すほどの人々ではない。 ところがなぜ彼らは労働者に暴力を振るったのであろうか。 労働者のストライキは誤りだと判断したので、これに対抗する自分たちの行為にある程度の正当性を付与したのではないだろうか。 一般的な暴力は罪になるが、労働者に対する暴力は正当防衛だと考えたのではないだろうか。 労働権、労働3権(団結権・団体交渉権・団体行動権)の価値を彼らが知っていたならば彼らの選択は変わったかも分らない。

 ただし彼らだけが労働権、労働3権に無知なのではない。 労働力は人格と結びついていて、生存を左右する手段なので憲法も労働権、労働3権を明示している。 しかし私たちはとても簡単に労働権、労働3権を使用者が持つ財産権と同じ水準のものと判断する。 労働者がストライキを開始すれば、使用者は職場閉鎖で対抗する。 労働者が解雇の不当性を主張すれば、使用者は経営上の理由を掲げる。 賃金を未払いしたり労災保険に加入しない使用者は‘私も暮らしが厳しい’ということを理由として掲げる。

 しかし使用者の財産は使用者だけのものではない。 労働者の汗と努力があってこそ可能になるものだ。 使用者が自分のものだと主張する事業場は、労働者の仕事場でもある。 だから私たちの法体系は労働権、労働3権を侵害する行為を犯罪と見なしている。 それでも私たちは使用者の財産権と国家経済を反対論理として提示し、労働権、労働3権を侵害する犯罪行為には唯一寛大だ。 使用者は何気なく労働法に違反して、警察と検察は合意と不起訴処分で事件を縮小する。 司法府や立法府も例外ではない。 さらには大統領までが高所得労組のストライキは望ましくないとの妄言を吐きだしている有様だ。

 犯罪に寛大な社会の雰囲気は、加害者を犯罪に鈍感にすると同時に、被害者も被害に鈍感にさせる。 これはとても重要な意味を持つ。 なぜなら被害に鈍感になった人は自身に与えられた権利を当初から放棄したり最初からそういう権利があるということを忘却することになるためだ。 すなわち自らを被害者の地位に合わせることになるためだ。 そうなると誤った現実を変えようとする努力を断念し、正当な権利を持った者を引きずり下ろすことに血眼になりやすい。 正規職労働者のストライキを非難する非正規職労働者、非正規職労働者の正規職化闘争を非難する失業者が多い理由もここにある。 私たち皆のために労働権、労働3権を侵害する犯罪行為に対してより一層厳格になる必要がある。

ユン・ジヨン公益弁護士グループ 共感 弁護士

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/547677.html 訳J.S