原文入力:2012/07/04 18:19(2314字)
←慶北(キョンブク)、蔚珍郡(ウルチングン)北面(プンミョン)富邱里(プグリ)にある韓国標準型原発である蔚珍原子力5号機。 慶北道は2028年までに国費13兆4000億ウォンを引き出し蔚珍、霊徳(ヨンドク)、慶州(キョンジュ)、浦項(ポハン)などを結ぶ‘原子力クラスター’を作る計画だ。 <ハンギョレ>資料写真
チャン・ジョンウク日本、松山大経済学部教授
歴代政権は景気衰退時に政策的にインフレーションを助長したが、その主要手段として不動産政策が利用された。 輸出依存度が高い韓国の場合、海外景気の変動に影響を受ける構造的な弱点のためにヨーロッパ連合の財政危機で最近国内の不動産担保による家計負債の増大問題が再論されている実情だ。
ところで政府はこのような構造的な問題を解決するどころか、むしろ悪化させる不動産投機政策を史上最大規模で推進している。 すなわち慶北地域に原子力発電所、再処理工場、ナトリウム冷却高速炉(SFR),高温ガス炉などの施設を建設する‘原子力クラスター’計画だ。 この計画の科学的な実現可能性は殆どなく、さらに危険性は原子力発電所の比ではない。 ただし、ここではこのような施設が地域経済開発および地方財政の自立に果たして寄与できるかを検討してみる。
1960年代の世界的な原発拡大も、79年のスリーマイル島(TMI)原発事故を契機に安全性欠如だけでなく地域経済発展にも寄与できないという点が証明されて立地地域の反発を買うことになった。 その打開手段の一つとして、日本は1974年に電気料金に賦課した電源開発促進税の財源で立地地域に交付金、すなわち危険(生命)手当てを配分する‘電源3法’という制度を導入した。 国内でもこの制度を援用して89年に‘発電所周辺地域支援法’を制定して、こうして確保された財源で立地地域に対する支援金および韓国水力原子力の特別事業に使っている。 一方、立地地方自治体は支援金で人口規模に似合わない大型官公庁建物、温泉、道路の拡充などのようなコンクリート中心の公共事業を繰り広げ、一部建設業者だけが利益を享受するマフィア的産業構造が形成された。
そして原子力発電所および関連施設の誘致が地方財政に寄与(?)する点としては財産税の増大があげられる。 だが、地方税の最も大きな収入源である財産税も、特別減価償却制度のために稼動16年後にはわずか5%程度の財産に対する課税に減って、特に稼動して3年以後の急激な資産税収入減少で公共施設の維持費用さえ確保に困難をきたすなど、むしろ地方財政の持続性と安定性を奪い取る。 したがって地方自治体は再び支援金と税収確保のために原子力発電所を増設しなければならないという悪循環を繰り返すことになる。
一方、原子力クラスターの関連施設は技術および資本集約的な産業で立地地域の雇用創出効果が非常に限定的だ。 地域企業による雇用創出も外部大企業の下請け企業である中小建設業が中心となるが、これまた5年ほどの建設期間で終わる。 もちろん関連施設内の清掃および食堂などの単純労働では地域住民の雇用が続くだろうが、住民所得の大幅な増大は期待できない分野だ。
また、宿泊業・飲食業などサービス業も数的には多いが、原子力発電所の建設および定期検査期間にだけ活気を帯びることになる。 特に原子力発電所の定期検査は18ヶ月間隔で電力需要が少ない春・秋に集中しており、その上、費用削減のために検査期間も短縮される傾向を見せているためサービス業の経営はより一層不安定になる。 また、道路の拡充で地域住民の購買力も近隣の大都市へ流出し(‘ストロー効果’)かえって地域商業は停滞または衰退が続く。
付け加えれば原子力発電所の立地でインフラ設備が充実することになるという広報も一方的な歪曲だ。 住民のための基本的な公共施設およびサービス提供に地方自治体の財源が不足する場合には、政府が地方交付税および国庫補助金などの財政調整制度を通じて当然不足分を支援しなければならない義務があるという事実が一方的に無視された結果に過ぎない。 慶北道と関連地方自治体の責任者は都市化、すなわち‘小さいソウル’だけを追求するよりは、地域の資源を活用した持続可能な発展を試みることが望ましい姿であろう。
最後に政府と慶北道、そして推進を主張する学者は△原子力クラスターの関連施設の実現可能性△輸出有望産業としての可能性△使用済核燃料の処理および処分に対する科学的で実証的な根拠を提示して、国民に説明する義務と責任がある。 数百兆ウォン以上の予算と数万人の人的資源が浪費される国家的災難を持たらしかねないだけに、従来の大規模土木事業のように一方的な推進方式を踏襲してはならない。
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