原文入力:2012.02.21 19:14(1823字)
←ハン・スンドン論説委員
無謀なほどの新自由主義への没頭と過度な米国傾斜も
誤った南北関係設定と展望不在のせいではないか
イ・ミョンバク政権の失敗は、太陽政策を捨てて平壌(ピョンヤン)との対決路線を選んだ瞬間からすでに予定されていたのかも知れない。 この話をするには、もう一度去る1月中旬に行なわれた台湾の総統選挙に戻ってみるのが良い。
2008年馬英九の国民党に敗れた台湾第一野党 民進党は、今回の選挙で伝統的票田である南部地域に大きな期待をかけた。 民進党と台湾南部地域との関係は私たちにすれば、セヌリ党と釜山(プサン)・慶南(キョンナム)または嶺南(ヨンナム)地域の関係くらいなるだろうか。 ところが結果は判断錯誤であった。 2004年に民進党候補が勝った時と比較すると、南部6つの市と県地域の民進党支持票が大幅に減り台南と高雄、屏東など主な都市では目標値の半分しか得票できなかった。 台北など北側、私たちにすればソウルなど首都圏に就職中だった南部出身者があえて投票しに故郷まで行かなかったこと、そして新しく有権者になった大学生の多数が期末試験のために棄権したというような分析が出回った。 つまりその地域の民進党票田は堅固だが、偶然な状況のために生じた一時的現象だという確信がそこには敷かれている。
だが、うまくいけば政権交替も可能だという展望の中で厳しい接戦が予想された今回の選挙で、民進党支持者がそれ位の理由で大挙棄権したと見るのは無理だ。 また、棄権のために南部地域の民進党支持票が吹っ飛んでしまったと見るのもやはり無理がある。 問題は、民進党に対する民心離反だった。 南部人多数が今回は国民党支持に変わったり、そこまではとてもできないという人々は最初から棄権してしまったのだ。 釜山・慶南の有権者多数がセヌリ党に背を向けてしまったという格好だ。 なぜだろう?
今回の選挙のまた別の特徴的様相の一つは、台湾の企業家が声明等を通して大挙「両岸関係逆行不可」、「両岸の平和」、「一つの中国合意遵守」を叫んだという点だ。 中国との関係改善持続、私たちにすれば太陽政策継続推進を要求したという話だが、これは国民党支持を公開表明したも同然だ。 中国で事業をしている台湾人が投票のために飛行機を借切って故郷へどっと集まったのも、その延長線上にある。
これがいわゆる“2008年効果”だ。 その年に執権した馬英九政権は中国と経済協力基本協定を結ぶなど台湾式太陽政策を推進した。 国共内戦を法的に清算する平和協定にまでは行っていないが、両岸関係を対立と緊張から週に558便の旅客機が往来する対話と協力の友好・平和関係に転換させた。その結果はよく知られている通り、両岸共に経済の好況と安保不安解消、日常的生活の相対的安定と豊かさをもたらした。 わずか4年で作り出されたこの画期的変化を台湾の有権者と企業家は歓迎し、太陽政策以前、すなわち民進党が主導した対立と緊張の両岸関係への復帰を拒否した。
台湾で起きたことは私たちにも起こり得ることだ。 こう言えば決まって両岸関係と南北関係は違うとか、それは台湾が中国に食われる道だとか言う人がいるが、本質的に違いはない。 その上、たとえそのような主張のとおりになるにしても、食われる可能性が圧倒的に高いのは南北関係では南ではなく北であるから、太陽政策反対の吸収統一論者がそのような主張をするのは自己矛盾だ。
台湾-中国関係は食うか食われるかの関係をすでに通り越した。 共に同時に変わりながらお互い勝者になることができる。
選挙が終わって雨の中で涙を流す支持者に向かって敗北した 蔡英文 候補が言った言葉は「民進党は両岸政策を再考し反省しなければならない」だった。 これは「正しい両岸政策のおかげで勝った」と言った馬総統の言葉と対比される。
4年前、私たちも“2008年効果”を夢見ることができた。 だが、台湾とは正反対に進んだ。 それがイ・ミョンバク政権の総体的失敗の 始まりであり終りであった。
ハン・スンドン論説委員 sdhan@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/520095.html 訳A.K