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[イ・トンゴル コラム] 財閥家の貪欲、国の経済を殺す

原文入力:2012/02/19 19:06(1920字)

←イ・トンゴル翰林(ハンリム)大財務金融学科客員教授

 パン屋、スンデ屋、ラーメン屋、自動車整備業者、町内雑貨屋、コーヒー店、有名ブランド輸入等々、周囲を見回して金になりそうなら何でも、見境無く飲み込もうとする財閥家の子供たち。 自分の父親が営む巨大某グループの仕事を一気に引き受け子供たちが容易に大金を儲けられる楽しみを、これら財閥家の父子が見のがすわけはない。 食べても食べてもひもじがる我が国の財閥家。 彼らを見れば、うちの子が幼稚園に通っている時に一緒に読んだ絵本‘貪欲なニシキヘビ’(The Greedy Python)を思い出す。

 あるジャングルに食べても食べてもお腹がすくニシキヘビが住んでいた。 目に見えるものは何でも食べてしまった。 おやつほどにもならない小さなネズミの子から、家より大きな象まで、目に見えるのは何でも飲み込んだ。 胴体はますます大きくなり、周囲のものは見え次第より素早く、よりガツガツと飲み込んだ。 このようにしてすべてを飲み込むと、もはや周囲には食べるものは無くなった。 幾日か食べられなかった。 お腹はますますすすいたが、いくら歩き回っても食べ物は見あたらなかった。 食べ物を探して数日間、目を皿のようにしてジャングルの中を熱心に掻き回してみると、アーあそこにおいしそうな大きく長い肉の塊が見える。ニシキヘビは口をできる限り大きくあけて素早く駆け寄り、その肉の塊を急いで噛んで飲み込み始めた。 数日ぶりに食べる餌なのに、おいしくないわけはなかった。モグモグ、ムシャムシャ幸せな気持ちで熱心にその肉の塊を飲み込んだ。 そのようにしてしばらく食べていると、アー突然に自分の後頭部が目の前に現れたではないか。貪欲なニシキヘビはこのようにして尻尾から始め徐々に自分の身を食べてしまったというのがこの童話の内容だ。

 我が国の財閥一家たち、創業者から内孫、外孫、あらまし3代を経てきたので我が国で途方もない財力を所有した財閥家はおよそ200~300にはなるだろう。彼らも当然に人生で成功したいだろうし、財力のある一族の子供たちだけに、この社会で成功する可能性は誰よりも大きいことは当然の理だ。 ところで、彼らはなぜ金だけを知り、金で成功することだけを成功と考え、全てが金をもっと儲けることに血眼になっているのだろうか。金だけを成功の尺度とするなら既得権を利用して金をさらに儲け、また金をさらに儲けるために金で既得権をより大きくする。なぜ、彼ら一族の両親たちは子供たちを金しか知らないように育てたのだろうか。自分たちも金しか知らないためだろうか?

 古くさい話だがこの世には金のほかにも意味のあることがとてもたくさんある。金をたくさん儲けることだけが人生の成功ではない。 立派な企業を育てることも非常に意味のあることだが、トッポッキ、海外名品輸入、町内雑貨屋で世界的な企業を作る計画ではなかったではないか。資本主義社会で金でできることは金儲け以外にもたくさんある。「お父さん、私の持分の財産をくれれば私はその金で貧しい芸術家を助ける仕事をしたいです。」とか 「病院をいくつか作り、貧しい人々を無料で治療し、医術も発展させたいです。」とか、いったいどうして我が国のその多くの財閥一族にはこのような子供たちがいないのか。

 手段・方法を選ばずに金さえ儲ければ良く、金だけが成功だと教える財閥家の家庭教育、わが国の財閥家の貪欲な浅薄性がわが国の経済を殺す。 財閥家の繁殖率が私たちの経済の膨張速度に先んじているので財閥家が増えるのにあわせて新しい食べ物が生まれるわけでもない。 既得権に安住する財閥家の子供たちはますます冒険的な事業を恐れるようになる。 ところで財閥家の浅はかな貪欲はその限界を知らないから、その途方もない資金力と某グループの力を持って足を付いて泳ぐやり方で周辺の全てのものを食べてしまうだろう。 食べ物を奪い技術を奪取し中小企業を枯死させるだろう。 我が国企業の生態系を焦土化させて、起業はますます難しくなるだろう。 そしてある日、財閥が自分たちまで取って食べる日がくるだろう。 貪欲なニシキヘビが自分の身を全て嚙んで飲み込んで消えたように。

食い止める方法はないのか? 当然ある。 99%が力を合わせれば。

イ・トンゴル翰林(ハンリム)大財務金融学科客員教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/519733.html 訳J.S