原文入力:2012/02/19 18:46(1861字)
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FTAを擁護して言葉を変えた野党代表
‘内容・状況が変わった’という弁解は困る
真摯な反省・謝罪があってこそ将来がある
2年余り前だ。 現政権の勢いが強力だった時だ。 李明博大統領はテレビ放送‘大統領との対話’で世宗(セジョン)市原案移転の公約を撤回しながら 「今考えてみれば恥ずかしくて後悔している」と話した。 だが、公約翻意に対する謝罪は一言もなかった。 世宗市移転に堂々と反対できなかったことを後悔しているという話だった。
正しいとか正しくないとかは次の問題だ。初めから最後まで弁解で一貫していた。 話法もめちゃくちゃだった。 誰が、誰に、何が申し訳ないということなのかもはっきりしなかった。 個人的に損をするが大義のために善なる心で言ったというような論理を展開した。 状況は悪化し、権力の絶頂期にあった李大統領の勢いはそこで折れた。
今回は民主統合党のハン・ミョンスク代表が言葉を変えたとして論難に包まれた。総理時期に韓-米自由貿易協定(FTA)を必ず成功させなければならないと言っておきながら、野党代表になった後には協定廃棄を持ち出したためだ。 それでは実際の発言はどうだったのだろうか?
「(FTA反対)不法暴力デモは国民的抵抗と怒りが残るだけだ。このような時代錯誤的な発想は今後あってはならず、政府の強力な対策が必要だ。 …すべての手段と方法を動員し厳しく処断するだろう」(2006年12月)。
「参与政府が推進してきた均衡外交、実利外交の結実だ。 開放は私たちの経済を跳躍させられる機会だ。」(2007年4月)
「自由貿易協定に対して沈黙したり肩を持つ勢力に政権を任せることはできない」と言っている現在とは完全に異なる状況だ。 釈明はこう言った。「内容と状況が変わった」ということだ。 当初は利益均衡だったが今は屈辱外交交渉を通じて作られた実益なき協定だという主張だ。
果たしてそうだろうか? 自動車分野での再協議があったが、実際の内容は過去も現在もほとんど差がない。 代表的な事例が投資家-国家訴訟制(ISD),ラチェット(逆進防止)等の毒素条項だ。 ‘内容が変わった’という主張は苦しい弁解に過ぎない。 状況変化論はどうなのか。 真に無責任な言葉だ。 状況は常に変わるものだ。 今後もいつでも立場が変わりうるという言葉として聞こえるだけだ。
屈辱交渉をしたことはその通りだ。 現政権は自動車分野で追加譲歩をした。 しかし更に深刻な屈辱交渉の当事者は参与政府であった。 交渉開始前に米国が要求する4大先決条件を聞き入れた。 米国産牛肉輸入再開、スクリーンクォーター縮小、排出ガス規制基準緩和、健康保険薬価の再調整などだ。 当初から利益均衡を達成できない交渉だった。
重要なことはハン代表の態度だ。 率直な反省と謝罪はなくて、弁解と沈黙で一貫している。 世宗市公約を翻意する李大統領を見ているようだ。 民主党は総選挙を控えてアイデンティティを核心的な公認審査基準とするといった。 しかし、指導部のアイデンティティと道徳性はどうなのか。 自由貿易協定だけが生きる道だと叫んで置きながら、今も何の反省と謝罪もせずにこれを廃棄するというならば、それこそアイデンティティと道徳性を疑わざるをえない。 政党を移る人だけが渡り鳥政治家ではない。 時流に応じていつも言葉を変えるなら、それがまさに渡り鳥政治家だ。 彼らもおそらくこのように弁解するだろう。 「内容と状況が変わった」と。
盧武鉉前大統領が生前に最も軽べつしたものは日和見主義であり、最も重視したものは原則と信頼であった。 彼は‘全てを書けなかった回顧録’<成功と挫折>で "信頼性のある人でこそ進歩もあり保守もある" と書いた。 また 「言葉をむやみに変える人々は指導者の領域から退出させなければならない」とも書いた。
弁解は嘘を産み、自身の歩みをより一層絡まるらせるはずだ。これ以上遅くなる前に、事実を認めて真剣な反省と謝罪が後に続かなければならない。それでこそ民主党も前に進むことができる。
チョン・ナムギ経済部長 jnamki@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/519728.html 訳J.S