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[社説]苛酷な福祉給付の返還が冬をいっそう寒くする

原文入力:2012/01/04 19:01(1046字)
低所得貧困層が政府から受ける福祉給付が削られることがあちこちで発生している。保健福祉部が昨年下半期に実施した福祉給与サービスの確認調査を元に不正受給者を摘発して以来、今年に支給する福祉給与から不当給付分を差し引くことにしたためだ。突然飛び込んできた政府の通達に庶民の冬はいっそう寒く佗びしくならざるをえない。

給付が削られた受給者の事情は残念で痛ましい。基礎生活受給者である50代の男性はさまざまな病に苦しめられながらもときどき日雇をして1年かけて稼いだ40万ウォンが問題になったし、20代の障害者の大学生は休学期間にコンビニのアルバイトで稼いだお金のために数か月間、月給付が47万ウォンから17万ウォンに減額されたという。それでなくてもほんのわずかな政府の支援金がかけらを見つけるのも難しくなったわけだ。政府が確認調査を行った福祉給付は、基礎生活保障費、医療費、基礎老齢年金、障害者年金、保育料など全10種類というから、返還対象者は相当にのぼると推定される。

政府がサービス確認調査の理由に上げる福祉予算の効率化は必要なことではある。国民の税金がいいかげんに使われないようにするのは行政の重要な責務だ。だが、効率化にだけ偏より過ぎると‘南京虫を捕まえようとして藁葺き家を燃やす’ (訳注:あつものに懲りてなますを吹く」) 過ちを犯すのが常だ。それでなくても崖にかろうじてしがみついている人々の手を政府がとても冷酷に蹴り飛ばすことになりかねない。福祉部は嘆願が続出すると、すぐに高齢者と障害者、学生の日給所得について6カ月間、控除する補完策を準備したが、これも一時的な手だてに過ぎないようだ。

問題の根本原因は改めていうまでもなく我が国の福祉支出規模があまりにも小さい点にある。昨年の基準で、我が国の福祉支出の比重は国内総生産(GDP)9%水準だった。経済協力開発機構(OECD)の加盟国の平均の19%と比べれば半分に満たない。この程度では社会的弱者の人間らしい暮らしを保護するのは、はなから難しい。そのうえ低出産・高齢化や格差の進行などで社会福祉の需要は日増しに大きなっている状況だ。

政府はまず返還金の控除策を恒常的に運営してその対象を広げるなど、低所得な貧困層の足の甲に落ちた火を消す(訳注:差し迫った問題を解決する)のが良い。あわせてもう少し積極的な福祉財政拡大施策を整備して後進国のレベルである社会安全網を綿密かつ丈夫にしなければならない。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/513353.html :T.W