大統領府がホルムズ海峡への派兵を検討中である事実を公式に認めたことで、これをめぐる論争が拡大している。米国のトランプ大統領からの圧力が日増しに強まっており、米国との通商・安全保障交渉なども考慮しないわけにはいかないが、派兵は韓国国民の命にかかわることだ。韓国政府は、派兵問題についてはどれほど慎重を期しても慎重すぎることはないと強く意識しなければならない。
大統領府高官が4日、「朝鮮半島の準備態勢に大きな支障がない範囲内で動けると考えている」とし、ホルムズ海峡に軍事資産を送る可能性があることを示唆し、大きな波紋を呼んでいる。早速、イランの高官は4日、「韓国がホルムズ海峡でイランに対抗する行動を取れば、これをイランに対する侵略戦争への韓国の直接的な軍事参加とみなす」と警告した。与党内からも反発が出ている。与党「共に民主党」のイ・ギホン議員はフェイスブックで、「先の見えない戦争に韓国の国民と軍を追い込むことはできない」と主張し、進歩系政党「祖国革新党」のキム・ジュンヒョン院内代表は声明で、「いったいなぜ、この違法な侵略戦争に大韓民国が派兵を検討しなければならないのか」と述べた。
派兵問題がいかに敏感な事案であるかを分かっている韓国政府が派兵を検討している背景には、トランプ大統領からの圧力がますます強まっていることがある。トランプ大統領は先月16日、「最近、韓国の大統領にイランの非核化への努力に参加する意思があるのかどうかを尋ねたところ、『遠慮する(No thanks)』という答えが返ってきた」と言及して以降、最近に至るまで数回にわたり同じ趣旨の不満を述べた。4日(現地時間)には、自身のソーシャルメディアで「韓国は国産の防空ミサイル『天弓2』をウクライナに売るべきだ」と主張する内容のコラムをシェアし、これまで水面下で進められていたウクライナ支援問題もふたたび浮上した。米国はすでに先月、韓米合同演習を一方的に縮小し、ウラン濃縮や原子力潜水艦をめぐる安全保障交渉は進展がみられなくなっている。関税の脅しも依然として続いている。国益を総合的に考慮しなければならない政府としては、派兵要求を無視し続けることは難しかったのだろう。
しかし、ホルムズ派兵はイランとの関係を破綻に追い込み、派遣される将兵だけでなく、海外の同胞まで危険にさらす恐れがある。侵略戦争を否定する韓国憲法にも反する。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代のイラク派兵のように、深刻な国論分裂を招く可能性もある。政府は、派兵ではなく人道的支援など軍事面以外での貢献策を探り、米国を説得する努力を最後まであきらめてはならない。