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どこが梅雨になるかは北太平洋高気圧の「呼吸」にかかっている

登録:2025-07-24 08:23 修正:2025-07-24 09:28
22日、北太平洋高気圧が韓国を覆う中、猛暑警報が発令された大邱達西区の啓明大学そばの道路で、市民が日傘や衣類などで日差しを遮りながら移動している/聯合ニュース

Q.「夏の天気を決める」北太平洋高気圧が、「一日に1回息をする」とは?

A.韓国では全国で本格的な猛暑と熱帯夜が続いていますが、気象庁は「北太平洋高気圧が朝鮮半島を覆っているため」と説明しています。先週、全国が「極限豪雨」に見舞われた際には、「北太平洋高気圧が朝鮮半島の端に位置し、高温多湿な水蒸気を大量に供給したため」と説明しています。北太平洋高気圧とは、猛暑や熱帯夜から梅雨、集中豪雨に至るまで、韓国の夏の天候を左右する「決定者」役を果たしているのでしょうか。

 気象庁の人たちは、北太平洋高気圧は「一日に1回息をする」と言います。昼間は広がり、夜には縮むという特性があるからです。7~8月は膨張と収縮の差が最も大きく、実に70キロに達するそうです。おおよそ、ソウルから京畿道安城(アンソン)までの距離です。雨雲は北太平洋高気圧の縁(ふち)で発達するので、北太平洋高気圧がどれほどの大きさで息をするかによって、雨の降る位置がソウルになるか、安城になるかが決まるわけです。ですから、夏の気象庁は何にも増して北太平洋高気圧の動きに注目せざるを得ません。予測と実際の観測に誤差が生じたら、北太平洋高気圧の膨張と収縮の面積の変化まで参考にして修正するほどだといいます。

 北太平洋高気圧とは果たして何者でしょうか。東西と南北の長さが数千キロ、高さが約5キロの巨大な空気の塊(気団)です。赤道付近で太陽によって熱せられた空気が上昇し、緯度30度付近で下降する際に(「ハドレー循環」)形成される亜熱帯高気圧です。空気が下降する地域の天気は気圧が高いため、晴れになります。北アフリカではこの亜熱帯高気圧がサハラ砂漠を作りましたが、北太平洋高気圧はその中心が米国のハワイ近隣の北太平洋にあるため、幸い砂漠は作られませんでした。

 北太平洋高気圧はハドレー循環の強まる夏になると韓国にまで広がり、冬には東太平洋で小さく縮こまっています。最近のように朝鮮半島が覆われると、韓国では真夏に綿の布団を覆ったように猛暑と熱帯夜が発生します。ここに西の高温で乾燥したチベット高気圧までもが広がってきて韓国の大気上層にとどまると、「二重の綿布団」効果が発生します。体感温度40度前後の耐えがたい「サウナの暑さ」が発生するわけです。これまでで最も暑かった年とされる1994年、2018年、2024年はすべてそうでした。1994年は年間の全国の平均猛暑日数が3位(29.6日)かつ熱帯夜日数が2位(16.8日)、2018年は猛暑日数1位(31日)かつ熱帯夜日数3位(16.6日)、2024年は猛暑日数2位(30.1日)かつ熱帯夜日数1位(24.5日)です。過去30年間の平均猛暑日数が11日、熱帯夜日数が6.6日であることを考えれば、途方もなく「暑い」記録です。

 北太平洋高気圧は梅雨や集中豪雨にも重要な影響を及ぼします。高気圧は下降気流で、地球の自転の影響を受けて北半球では時計回りに回転します。北太平洋高気圧が時計回りに回転すると、左端から朝鮮半島へと南西の風を吹かせますが、それには熱帯の温かい水蒸気が豊富に含まれています。この高温多湿な空気が北から降りてきた冷たい空気とぶつかると停滞前線が作られ、梅雨の雨を降らせます。停滞前線が長くとどまったり、台風の影響を受けたりといった突発的な出来事まで加わると、先週全国各地を襲ったような「極限豪雨」も発生しえます。

 1994年、2018年、2024年と同様、今年も北太平洋高気圧の影響力が強いと予想されます。釜慶大学のキム・ベクミン教授(環境大気科学)は「今年の北太平洋高気圧は、平年(6月中旬ごろ)より早い5月末から6月初めに勢力が非常に強まった」と指摘しています。西太平洋赤道域の海水温が普段より高まっているため対流がより活発になり、北太平洋高気圧も強まっているというのです。ちょうど朝鮮半島周辺の海水温も高く、ここ数年は太陽活動も活発で、「太平洋十年規模振動(PDO)」によって北太平洋の海面温度も温かい時期だといいます。よってこの夏は「ゲリラ豪雨が多く、熱帯夜が厳しく、猛暑も平年より長期化する可能性がある」とキム教授は予想しています。秋雨がひどくなる可能性もあるそうです。

 残りの夏、私たちはあとどれくらい極端な猛暑と豪雨に耐えなければならないのでしょうか。

キム・ギュナム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1209620.html韓国語原文入力:2025-07-23 19:42
訳D.K

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