ドナルド・トランプ米大統領は、近いうちに韓国の最大輸出品である半導体にも品目別関税を課すと明らかにした。すでに高い関税を課している鉄鋼(50%)・自動車(25%)に続き、韓国の主力輸出品である半導体にまで足かせをはめることにしたのだ。トランプ関税の「輪郭全体」が確定していない状態では、いくら早期妥結を望んでも合意案を導き出すことは難しい。米国が主要な同盟国の経済基盤を崩す「ヤクザ国家」になろうとするのでなければ、十分な時間を持って真剣な協議がなされる合理的交渉環境を作らなければならない。
トランプ大統領は9日(現地時間)にもブラジルやスリランカなど9カ国に、来月1日から課される相互関税を通知する書簡を公開した。ブラジルには、クーデター容疑で起訴されたジャイル・ボルソナロ前大統領に対し「魔女狩りを直ちに止めろ」という無礼な言葉を交えながら、50%に達する関税爆弾を予告した。
トランプ大統領はその前日の8日には、「我々は医薬品、半導体、そして他の様々な大きなものに対して(品目別関税を)公表する。我々はすでに鉄鋼とアルミニウムに50%、銅と自動車に対してもこれを行った」と述べた。正確な関税率は明らかにしなかったが、半導体にもまもなく品目別関税を賦課するという意を再確認したのだ。半導体は韓国の昨年の輸出品で1位(1419億ドル)だが、米国向けの割合(7.25%・103億ドル)は高くない。問題は不確実性だ。
韓国政府は来月1日から復活する25%の相互関税だけでなく、鉄鋼・自動車にかかっている品目別関税もなくすか、削るべきだとの立場だ。これに対抗して米国は、様々な関税・非関税障壁の撤廃、米国商品の大規模購入、自国の「製造業復活」のための大規模な対米投資計画などを望んでいるという。韓国からより多くの譲歩を引き出すために米国が提供してきた拡大抑止などの安保公約を「交渉カード」として使う可能性もある。
韓米が現条件の中で「劇的な妥協案」を作り出すとしても、半導体など他の輸出品に対する品目別関税が一つまた一つと追加されれば「利益のバランス」は崩れてしまう。トランプ大統領の傍若無人な交渉スタイルからみて、米国が韓国の「追加交渉」要求を受け入れるかも非常に不透明だ。このような状況で米国が合意を強要することは、米国のために自分の肉を与えよという言葉に他ならない。同盟を荒廃させることは決して米国の利益にはならない。