「米国、日本、中国、チェコ、ベトナム、オーストラリア、マレーシア、インドネシア」
6月27日現在、李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任後に首脳間で電話会談を行った国々です。当選後、米国、日本、英国、オーストラリア、インド、ベトナム、ウクライナ、オランダの順で通話首脳会談を行った尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領や、米国、中国、日本、インド、オーストラリア、英国、ドイツ、ロシアの順で電話会談をした文在寅(ムン・ジェイン)元大統領、そして米国、オーストラリア、カナダ、中国、日本、ロシア、国連の順で電話会談をした朴槿恵(パク・クネ)元大統領などと比較すると、「グローバルサウス」国家との電話会談がやや多いことが目を引きます。
グローバルサウスとはアジア、アフリカ、ラテンアメリカの開発途上・新興国をまとめて指す言葉ですが、これらの国々のほとんどが南半球にあるという点に着目したものです。先進国が布陣した「グローバルノース」と対比を成す概念です。グローバルサウスは世界人口の約85%を占めており、若年層の割合が高く、都市化のスピードが速いため「ブルーオーシャン」とみられています。
李在明大統領がグローバルサウスに関心を示したのは、今回が初めてではありません。李大統領は今回の第21代大統領選挙の公約集で、「新南方、新北方政策の継承・発展とグローバルサウスとの圏域別協力の促進」を強調しました。具体的に李大統領は、ASEAN、中央アジア、インド、中東、オセアニアまで地域協力の拡大と、グローバルサウス諸国との協力による戦略的自律性の拡大および輸出市場の多角化を公約に掲げました。
李大統領は就任後、外交の舞台でもグローバルサウスに大きな関心を示しています。李大統領は今月16日(現地時間)、カナダで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席し、ブラジルのルーラ大統領と会談し、両国の協力について話し合い、ブラジルが議長国の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)にも招待されました。韓国の中南米最大の交易国であるメキシコとの首脳会談では、クラウディア・シェインバウム大統領を今年慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に招待しました。特に、李大統領がルーラ大統領に幼い頃工場で腕を怪我したことを話し、ルーラ大統領が目を潤ませた事実が知られ、注目を集めたりもしました。
李大統領とは違い、尹前大統領は米国と日本をはじめとする西側諸国との連帯を強調する「価値観値外交」を追求しました。しかし、ドナルド・トランプ米大統領が就任した後、西側が分裂する状況で、もはや価値観を共有する国々との連帯だけに依存する外交路線は持続可能ではないと指摘されています。匿名の元外交官は「地政学的リスクが急増する中で、グローバルサウスは高い経済成長率、地政学的ブロック化対応、グローバルサプライチェーンの再編の側面でも非常に重要な国々」だと語りました。
主要国は長い間、グローバルサウスとの関係に力を入れてきました。中国外相は35年間、一度も欠かさず新年初の歴訪先としてアフリカを選んできました。それだけ中国の外交戦略でアフリカが占める割合が大きいという意味です。太平洋の島しょ国はかなり以前から米中競争の場となっています。李大統領が、文在寅政権が打ち出した新南方政策を超え、韓国の外交の裾野を広げることができるかどうかが注目されます。