「右派の戦略と論理を開発」、「ユーチューブ活用」、「各社会団体に拡張」、「作家、記者、芸能人発掘」
2018年8月24日に作成された「言論の自由なくして自由民主主義なし」と題する文書は、右派思想の開発と世論への拡散についての計画を詳細に列挙している。1年前の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾時の右派勢力について、「(右派の)リーダーたちは過激なデモを自制している」、「国民抵抗権の行使ができていない」などの穏健さを問題として指摘したうえで、文書が提示している戦略の要は、世論戦を通じた影響力の拡大だ。この文書は、2025年の第21代大統領選挙でコメントによって世論を操作した疑いで警察の捜査を受けている「リバクスクール」の事務所で発見されたもの。
ハンギョレは17日、ソウル仁寺洞(インサドン)のリバクスクールの事務所にあった公式文書、非公式の会議資料や報告資料、行事や講座のビラ、記者会見文、事業計画書などの数十部の文書を確保し、その内容を確認した。これらは、2017年から最近までリバクスクールと事務所を共用していた複数の団体(陸士総救国同志会(陸総)、全軍救国同志連合会(全軍連)、大韓民国歴史守り隊など)が作成、または管理していたものだ。
これらの文書は、朴槿恵元大統領の弾劾局面で形成された、いわゆる「アスファルト右派」の諸団体の連合、彼らが共有している荒唐無稽なニューライト歴史観、それを広げるためのオンライン戦略や教育戦略、制度圏に対するアプローチの痕跡を含んでいる。一部では暴力と違法に接近する過激な姿勢も見受けられる。これらは、コメント操作疑惑や制度圏への浸透疑惑など、このところ問題になっているリバクスクールの活動が、1つの団体の逸脱ではなく、「極端な保守勢力」の間で少なくとも9年近く議論されてきた体系的な戦略の一断面だった可能性を暗示する。
■右派結集:「青瓦台攻撃」計画とリバクスクール
朴槿恵元大統領の罷免後の2017年のリバクスクール事務所文書では、「保守右派大統合」と「結集」を強調する主張が多く見られる。全軍連が2017年10月31日に作成した「救国フォーラム(綱領、定款)」と題する文書には、「保守右派の大統合を目標として勢力を結集する愛国市民運動」が、追求する価値の一つとして記されている。最近明らかになったリバクスクールの活動がキリスト自由統一党、自由連帯、違憲政党解散国民運動本部、自由教員組合などの多くの右派団体と結び付いて表に出てきたのは、「結集」を強調する彼らの活動の結果だとみられる。
サラン第1教会のチョン・グァンフン牧師との連携も目立つ。リバクスクールの事務所を共用していた陸総の名義で2020年8月4日に作成された「8・15行事計画報告/討議」と題する文書は、チョン・グァンフン牧師が主導した光復節集会計画について記されている。集会計画には「青瓦台(大統領府)行進[攻撃]」という内容まで含まれている。軍を編成するかのように結集団体(17団体)を第1~3梯団(ていだん)に分けて「攻撃(行進)開始時間」まで記した計画において、リバクスクールは青瓦台の噴水台前の方向へと攻撃に向かう第2梯団に編成されている。当時の警察の対応により、実際には大統領府に対する「攻撃」は実現しなかった。ただし、警察のバスを破損するなど、結集した彼らのデモは過激な様相を呈した。
■ニューライト:「監獄に行く覚悟」と言えば聖人とあがめる
リバクスクールが特に物議を醸した「ニューライト歴史認識」も、多くの文書で過激なかたちで議論され、記されている。リバクスクールのソン・ヒョスク代表が運営していた大韓民国歴史守り隊、フリーダムカレッジ奨学会などの18の団体が名を連ねる「済州4・3特別法廃止市民連帯」による2020年8月10日の「済州4・3特別法改正案と麗水・順天事件特別法案に強く反対する!」と題する記者会見文では、4・3事件が「暴動」と規定されている。彼らは「済州4・3事件真相調査報告書は偽り」だとして、「偽りの報告書によって高校の教科書も歪曲記述されている。左偏向した歴史教科書はすべて廃棄すべきだ」と主張している。記者会見文は「済州平和公園(暴徒公園)内の史料館の展示物も偽物」だと述べている。
5・18民主化運動について「金大中(キム・デジュン)らの内乱陰謀による暴動だとの結論が出ている」という荒唐無稽な主張を記している文書もある。2019年に「5・18暴動」発言で自由韓国党のイ・ジョンミョン議員(当時)が党から除名される危機に立たされていた際に、それを糾弾するために陸総が作成したと推定される「イ・ジョンミョン議員の除名措置に対する糾弾声明書」がそれだ。
リバクスクールの事務所で複数発見された「4・15総選挙不正疑惑要約」と題する文書は、2020年の第21代国会議員選挙は「電算プログラムによって開票が操作された」と主張しており、今に続く不正選挙論の内容がそっくりそのまま記されている。特に、文書に添付されている「自由大韓民国を守護する側面からみた国民の分類」と題する文章は、「良心を欺くジャーナリスト、法曹人」を「獣にも劣る級」に分類している。一方、「自由大韓民国の守護のために監獄に行く覚悟をし、実践する人」を「聖人級」と持ち上げている。不正選挙論に対する態度で人の水準を分けているのだ。(2に続く)