高率輸入関税の相互賦課などにより、世界各国でリショアリング(海外に生産施設を置く企業の本国回帰)が拡散すれば、世界の貿易が18%以上減少し、グローバル総生産(GDP)も5%以上後退するという分析が出た。
経済協力開発機構(OECD)が2日に発表した報告書「OECDサプライチェーンレビュー」によれば、世界的に高率輸入関税賦課および自国内生産に対する補助金支給、グローバル部品調達に対する制約政策などで、多くの国でリショアリングが広がっている。同報告書は、このようなリショアリング体制によって、従来の相互連結されたグローバルサプライチェーン体制に比べ世界の貿易は18%以上、世界の実質GDPは5%以上減ることになるだろうと分析した。リショアリング体制における国ごとのGDP減少幅は、自国経済がグローバルバリューチェーンに編入されている程度と特徴によって、最小1.1%~最大12.2%に達すると分析した。
特にリショアリング体制で世界経済の半分以上が「マクロの安定性後退」を経験することになると展望した。報告書は「実証分析の結果、リショアリング体制で各国の成長率・生産・消費の変動性が大きくなる可能性が高い」として「これはグローバルサプライチェーン体制で開放貿易が国際地理政治とつながって露出され、マクロの安定性を害することになるという一般的な主張に反する結果」だと話した。
グローバルサプライチェーンの亀裂の過程で、OECD加盟国の中で最も大きなリスクにさらされている国は韓国であることが分かった。報告書によると、品目別生産金額を加重値で適用した時、サプライチェーンショックにともなうGDP減少幅は、韓国(3.2%)、ドイツ(2.9%)、メキシコ(2.5%)の順で大きかった。韓国全体の産業部門にわたる平均的な生産減少幅が3.2%に達するという話だ。
また、主要海外経済と深くつながっている韓国、カナダ、フランス、ドイツ、英国の経済はグローバルサプライチェーンショックに大きく露出する反面、米国、中国、ブラジルの経済は生産要素(資本・労働・技術)調達の国内依存度が大きく、相対的に影響が少ないと報告書は指摘した。「各国の経済で回復力が改善されない限り、リショアリング体制への転換がグローバル経済に莫大な経済的コストを招くだろう」と報告書は診断した。