全羅南道海南(ヘナム)に移住したオ・ヨンサンさん(63)は2年前、バナナ栽培に挑戦した。温暖化の影響で、済州島だけでなく韓国本土でもバナナが栽培できるようになったからだ。
オさんの農場のビニールハウスには、5~6メートルにまで伸びたバナナの木が並んでいる。それぞれの木にたわわに実っているバナナが異国的な風景を演出する。オさんは「海南の気候は他地域より暖かいので、バナナ栽培が最も適していると判断して挑戦した。亜熱帯果樹の体験農場を造って農業現場を体験できるようにしたい」と話した。
亜熱帯作物が気候変動に対応する将来の所得作物として注目されるに従い、全羅南道海南でもバナナが栽培されはじめている。
■「十分に熟成させてから収穫する韓国産、優れた味と香り」
21日の海南郡の説明を総合すると、同郡の亜熱帯作物の栽培面積は、イチジク23ヘクタールをはじめ、キウイ、シラヌヒ、ゴーヤなど125ヘクタールで、全羅南道で最大規模を誇る。海南郡農業技術センターは、亜熱帯作物の実証栽培とモデル事業を通じて、様々な亜熱帯果樹を農家に広めている。
バナナは植えてから1年で収穫でき、生育が良ければ普通は2年に3回ほど収穫する。海南郡農業技術センターは「国内産のバナナは木で十分に熟成させてから収穫するので味と香りに優れており、環境にやさしい農法で栽培されるため輸入品より消費者に好まれる」と述べた。
海南で栽培されたバナナは、主に自然にやさしい学校給食用として、またはデパートなどに出荷されている。海南郡の関係者は「バナナ農場では、亜熱帯作物農場を回る農作業体験をしたり、気候環境教育をしたりもできるので、体験農場としても人気が高い」と話した。
全羅南道では海南、宝城(ポソン)、莞島(ワンド)、珍島(チンド)の各郡でバナナが栽培されている。農村振興庁が発表した「2023年亜熱帯作物栽培の現況」によると、韓国の亜熱帯作物の栽培面積(4125万7400平方メートル)に全羅南道の占める割合は59.4%にのぼる。全羅南道は2020年4月に全国で初めて「亜熱帯農業育成および支援条例」を制定するなど、亜熱帯農業の育成に積極的だ。